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泣けないver.
添い寝
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...どのくらいそうしていただろう。
詩音は恥ずかしそうに俯いて、なかなか顔をあげてくれない。
「ごめんなさい、私...」
「謝らないで。僕がこうしたいだけだから」
抱きしめていた腕を緩めて、すっかり冷めてしまった夕飯を温めなおす。
さっきの発言からして、詩音は明日が何の日なのか気づいていない。
「明日は学校休みでしょ?...ゆっくりしていって」
「え?」
「明日は創立記念日だったはずだよ。...ほら」
カレンダーを指差すと、詩音が安心したような表情になる。
「すっかり忘れてた...」
「だから、明日はここでデートしよう」
「...本当にいいの?」
「勿論。特に予定もなかったし、寧ろ一緒にいられると嬉しいな」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて...」
そこまで話してはっとしたような表情になる。
そして、言いづらそうに真っ直ぐ僕を見た。
「申し訳ないんだけど、その...1度家に戻らないといけないし、キッチンを借りてもいい?」
「それは構わないけど、今日は遅いから何か必要なものがあるなら明日車を出すよ」
「ごめんなさい...」
「謝られるようなことは何もされてないよ」
詩音がいつも謝ってしまうのは、きっと昔からの癖なのだろう。
ご飯を食べている間中ずっとそわそわしているのが気になったものの、その理由が分からない。
「...詩音、もしかしてご飯不味かった?」
「どうして...」
「それとも、明日は何か予定があるとか?言いたいことがあるならはっきり言ってくれていい」
詩音ははじめ口ごもっていたが、やがてぽつりと一言呟いた。
「あの...一緒に寝てほしいなって。駄目、だよね...」
「詩音がそうしたいならやろうか」
食器を片づけ、ふたりで寝るには少し狭いベッドに横になる。
片腕を差し出して、それを詩音の頭の下に通した。
「...これで少しは安心できる?」
「すごく温かくて、安心する...」
当然鼓動が高鳴らないはずもなく、心臓が破裂しそうなほどばくばくと動いているのを感じる。
ただ、恥じらいより愛しさが勝った。
「七海は色んな面ですごいけど、頑張りすぎだと思うんだ。たまには肩の力を抜いて、きちんと休むことも大事だと思う。
それから、困っているときはもっと僕に頼ってほしい。僕のことを、もっと困らせてほしいんだ」
「もう沢山我儘を聞いてもらっているよ?」
「...僕がもっと詩音を甘やかしたいんだ」
すると、背中に腕が回って抱きつかれるような体勢になる。
心臓はもう壊れそうなほどばくばくと音をたてていたけれど、ふたり分の音が鳴り響く。
「詩音も緊張してる?」
「...どきどきする」
「僕もどきどきしてる。...すごくね」
ふたりで話しているうちに、詩音は疲れていたのかすやすやと寝息をたてはじめる。
もう少し平和な日が続けばいいのにと、彼女の柔らかい髪を梳いた。
詩音は恥ずかしそうに俯いて、なかなか顔をあげてくれない。
「ごめんなさい、私...」
「謝らないで。僕がこうしたいだけだから」
抱きしめていた腕を緩めて、すっかり冷めてしまった夕飯を温めなおす。
さっきの発言からして、詩音は明日が何の日なのか気づいていない。
「明日は学校休みでしょ?...ゆっくりしていって」
「え?」
「明日は創立記念日だったはずだよ。...ほら」
カレンダーを指差すと、詩音が安心したような表情になる。
「すっかり忘れてた...」
「だから、明日はここでデートしよう」
「...本当にいいの?」
「勿論。特に予定もなかったし、寧ろ一緒にいられると嬉しいな」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて...」
そこまで話してはっとしたような表情になる。
そして、言いづらそうに真っ直ぐ僕を見た。
「申し訳ないんだけど、その...1度家に戻らないといけないし、キッチンを借りてもいい?」
「それは構わないけど、今日は遅いから何か必要なものがあるなら明日車を出すよ」
「ごめんなさい...」
「謝られるようなことは何もされてないよ」
詩音がいつも謝ってしまうのは、きっと昔からの癖なのだろう。
ご飯を食べている間中ずっとそわそわしているのが気になったものの、その理由が分からない。
「...詩音、もしかしてご飯不味かった?」
「どうして...」
「それとも、明日は何か予定があるとか?言いたいことがあるならはっきり言ってくれていい」
詩音ははじめ口ごもっていたが、やがてぽつりと一言呟いた。
「あの...一緒に寝てほしいなって。駄目、だよね...」
「詩音がそうしたいならやろうか」
食器を片づけ、ふたりで寝るには少し狭いベッドに横になる。
片腕を差し出して、それを詩音の頭の下に通した。
「...これで少しは安心できる?」
「すごく温かくて、安心する...」
当然鼓動が高鳴らないはずもなく、心臓が破裂しそうなほどばくばくと動いているのを感じる。
ただ、恥じらいより愛しさが勝った。
「七海は色んな面ですごいけど、頑張りすぎだと思うんだ。たまには肩の力を抜いて、きちんと休むことも大事だと思う。
それから、困っているときはもっと僕に頼ってほしい。僕のことを、もっと困らせてほしいんだ」
「もう沢山我儘を聞いてもらっているよ?」
「...僕がもっと詩音を甘やかしたいんだ」
すると、背中に腕が回って抱きつかれるような体勢になる。
心臓はもう壊れそうなほどばくばくと音をたてていたけれど、ふたり分の音が鳴り響く。
「詩音も緊張してる?」
「...どきどきする」
「僕もどきどきしてる。...すごくね」
ふたりで話しているうちに、詩音は疲れていたのかすやすやと寝息をたてはじめる。
もう少し平和な日が続けばいいのにと、彼女の柔らかい髪を梳いた。
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