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9日目
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「おはようございます」
「おはようございます」
笑顔を崩さずに話しかけてくれる新米看護師さんに感謝だ。
そのおかげで、嫌な検査も頑張れる。
「今日の体調はいかがですか?」
「全然元気です。ありがとうございます」
初めて会った日よりはリラックスしているように見える。
ただ、やっぱり何か不安に思うことがあるらしい。
「西田さん」
「彩ちゃん、おはよう。どうかしたの?」
「今日部屋に来ていた、えっと…芹沢さん?について一応話しておきたいことがありまして…」
「もしかして、何かトラブル?」
「いいえ。ただ、なんだか思いつめているように見えたので教えておこうと思ったんです。
笑顔で接してくれたけど、心では泣いているような気がして…西田さん、よく相談に乗ってるから話し相手になってほしいなって」
「彩ちゃんは優しいのね。ありがとう、気をつけておくね」
「お仕事中すみませんでした。これで失礼します」
私はただ、誰もいない病室にいるから気づいただけ。
病院生活が長いから、人より少しだけ変化を感じ取りやすいのかもしれない。
「今日は少しお昼ご飯の時間が早くなるから気をつけてね」
「はい。分かりました」
血液検査の後、そんな言葉をかけられる。
今の私にとってはそれが嬉しかった。
「…これで大丈夫でしょうか」
沢山弾いていれば、いつか私も奏多さんの隣で色々な曲を演奏できるようになるかもしれない。
だから、できるだけ練習時間が欲しかった。
「…今日も早いね」
「奏多さん!ごめんなさい、気づいてなくて…」
昨日血が出ていた方の腕を思わずじっと見てしまう。
「心配しなくても今日は出血してない」
「そうなんですね。すみません、じっと見てしまいました」
「別に気にしてないから謝る必要もない。僕の方こそ、あんな汚いものを見せてごめん。
一応買ってみたけど、これでいいのか分からない」
そう話していたものの、奏多さんは丁寧にハンカチを渡してくれる。
人からこんなものをもらうのは初めてで、なんだか今の経験がとても貴重なものに感じられた。
「奏多さんの傷は汚くなんかありません。ハンカチありがとうございます。大事にしますね」
「…やっぱり君は変わってるね」
「そんなことないですよ。…多分」
「多分ってどういうこと?」
「そうだ!今日はこういうものを考えてみたんです」
やっぱり彼のことを知らないままだけど、嬉しそうに笑ってくれるならそれでいい。
なんだか心がぽかぽかして明日も前を向けそうだ。
奏多さんにはまた歌ってもらったけど、毎日聴いても飽きない。
「それではまた明日」
「…また」
いつもどおりに別れたけれど、まだひとりで残っているのが見える。
今度ひとりでいるのを見かけたときは話しかけてみよう。
…どんな顔をするか楽しみだ。
【今日も森川はやってきた。今更だが、毎日キーボードを屋上まで運んでいるのだろうか。かなり重いはずなのに、彼女はいつも楽しそうに運んでいる。
もし本当に曲を作るなら、明日は歌詞のアイデアをまとめて話してみようと思う】
「おはようございます」
笑顔を崩さずに話しかけてくれる新米看護師さんに感謝だ。
そのおかげで、嫌な検査も頑張れる。
「今日の体調はいかがですか?」
「全然元気です。ありがとうございます」
初めて会った日よりはリラックスしているように見える。
ただ、やっぱり何か不安に思うことがあるらしい。
「西田さん」
「彩ちゃん、おはよう。どうかしたの?」
「今日部屋に来ていた、えっと…芹沢さん?について一応話しておきたいことがありまして…」
「もしかして、何かトラブル?」
「いいえ。ただ、なんだか思いつめているように見えたので教えておこうと思ったんです。
笑顔で接してくれたけど、心では泣いているような気がして…西田さん、よく相談に乗ってるから話し相手になってほしいなって」
「彩ちゃんは優しいのね。ありがとう、気をつけておくね」
「お仕事中すみませんでした。これで失礼します」
私はただ、誰もいない病室にいるから気づいただけ。
病院生活が長いから、人より少しだけ変化を感じ取りやすいのかもしれない。
「今日は少しお昼ご飯の時間が早くなるから気をつけてね」
「はい。分かりました」
血液検査の後、そんな言葉をかけられる。
今の私にとってはそれが嬉しかった。
「…これで大丈夫でしょうか」
沢山弾いていれば、いつか私も奏多さんの隣で色々な曲を演奏できるようになるかもしれない。
だから、できるだけ練習時間が欲しかった。
「…今日も早いね」
「奏多さん!ごめんなさい、気づいてなくて…」
昨日血が出ていた方の腕を思わずじっと見てしまう。
「心配しなくても今日は出血してない」
「そうなんですね。すみません、じっと見てしまいました」
「別に気にしてないから謝る必要もない。僕の方こそ、あんな汚いものを見せてごめん。
一応買ってみたけど、これでいいのか分からない」
そう話していたものの、奏多さんは丁寧にハンカチを渡してくれる。
人からこんなものをもらうのは初めてで、なんだか今の経験がとても貴重なものに感じられた。
「奏多さんの傷は汚くなんかありません。ハンカチありがとうございます。大事にしますね」
「…やっぱり君は変わってるね」
「そんなことないですよ。…多分」
「多分ってどういうこと?」
「そうだ!今日はこういうものを考えてみたんです」
やっぱり彼のことを知らないままだけど、嬉しそうに笑ってくれるならそれでいい。
なんだか心がぽかぽかして明日も前を向けそうだ。
奏多さんにはまた歌ってもらったけど、毎日聴いても飽きない。
「それではまた明日」
「…また」
いつもどおりに別れたけれど、まだひとりで残っているのが見える。
今度ひとりでいるのを見かけたときは話しかけてみよう。
…どんな顔をするか楽しみだ。
【今日も森川はやってきた。今更だが、毎日キーボードを屋上まで運んでいるのだろうか。かなり重いはずなのに、彼女はいつも楽しそうに運んでいる。
もし本当に曲を作るなら、明日は歌詞のアイデアをまとめて話してみようと思う】
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