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25日目
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『看護師さんから聞いたよ。最近仲がいい子ができたみたいだって…どういう子なんだ?』
「とても優しい、歌の神様です」
この日は月に2回くらいあるオンライン登校の日だ。
本当は週に1回学校に通う予定だったけど、私にはそうするくらいの体力も気力もなかった。
その結果、先生がこうしようと提案してくれたのだ。
「毎日病院まで来てくれて、いつもリクエストした曲を歌ってもらっているんです」
『いいな、そういうミニコンサートみたいなの…。そのことは仲良くできそうか?』
「はい。奏多さんはとてもいい人なんです」
『奏多さんって、もしかして穂村奏多か?』
「どうしてそう思ったんですか?」
先生は画面越しに少し困ったような表情を浮かべている。
もしかして、先生は奏多さんのことをよく思っていない…?
『ちょっと気になることがあってよく話しかけているんだが、最近放課後に呼び止めると嫌そうな顔をするんだよ。
いつも感情を表に出さないから驚いたよ。何か理由があるんだろうとは思っていたけど…そうか、森川のところに行ってたのか』
「やっぱり先生も知っている方だったんですね。制服が学園のものだったので、もしかするととは思っていました」
「…入るよ」
その直後、いつものように扉が開く。
私はパソコンに向き合ったまま呆然とした。
『誰か来たのか?』
「あの、えっと、」
「…ごめん、邪魔だった?」
「いえ。先生に授業をしてもらっていただけですよ。もう今回の分は終わりましたし…」
『それじゃあまた次回』
「ありがとうございました」
奏多さんは気づいていないのか、はたまた気づかないふりをしているのか。
また今度先生に話を聞いてみようと思いつつ、目の前の彼に向きなおる。
「そういえば、今日は何をするんですか?昨日の荷物を何かするんですよね?」
「そのつもりだったんだけど、今日はあまり時間がないから取り敢えず着てみて」
「着るだけですか?一体何が…」
中から出てきたのは、全日制の制服だった。
「ごめん。これくらいの大きさっていうのは検討がついたんだけど、スカートまでは用意できなかったんだ」
「私が、着ていいんですか?」
中学のときは行けなくて着るのを諦めた。
高校も1度も通うことなく終わりそうで、通信制の制服すら持っていない。
そんな私が、いきなり全日制の制服に袖を通していいのだろうか。
「ズボンならベルトで調節できるから、好きなように使って。僕が履けなくなったものだけど、それでよければ」
「ありがとうございます!」
新品同様のそれは私にとって輝いていて、まさしく希望の光だ。
「明日、具合が悪くなかったらそれを着て待ってて。それで、君がやりたかったことをやってみよう」
「ありがとうございます。嬉しいです…」
「そこまで喜んでもらえるとは思ってなかった」
そう話す彼にお願いしてみることにした。
「奏多さん、もしよければ、」
「…森川が言ってた曲、途中までなら解明できたから今日はそれを歌うよ」
彼はいつもどおり歌ってくれた。
嫌がられていたらどうしようと考えることもあるけど、こんなふうに沢山聴かせてもらえるのが嬉しい。
そうしているうちに、時間を告げる鐘が鳴る。
「…それでは奏多さん、また明日」
「うん。また」
今日の背中は寂しそうじゃない…そのことに少し安心した。
【今日は森川に制服を渡した。ネクタイとリボンはともかく、スカートを用意できなかった。
制服のズボンをリメイクして渡したが、まさかあそこまで喜んでもらえるなんて想定外だ。
また明日、弁当を用意して訪ねてみようと思う】
「とても優しい、歌の神様です」
この日は月に2回くらいあるオンライン登校の日だ。
本当は週に1回学校に通う予定だったけど、私にはそうするくらいの体力も気力もなかった。
その結果、先生がこうしようと提案してくれたのだ。
「毎日病院まで来てくれて、いつもリクエストした曲を歌ってもらっているんです」
『いいな、そういうミニコンサートみたいなの…。そのことは仲良くできそうか?』
「はい。奏多さんはとてもいい人なんです」
『奏多さんって、もしかして穂村奏多か?』
「どうしてそう思ったんですか?」
先生は画面越しに少し困ったような表情を浮かべている。
もしかして、先生は奏多さんのことをよく思っていない…?
『ちょっと気になることがあってよく話しかけているんだが、最近放課後に呼び止めると嫌そうな顔をするんだよ。
いつも感情を表に出さないから驚いたよ。何か理由があるんだろうとは思っていたけど…そうか、森川のところに行ってたのか』
「やっぱり先生も知っている方だったんですね。制服が学園のものだったので、もしかするととは思っていました」
「…入るよ」
その直後、いつものように扉が開く。
私はパソコンに向き合ったまま呆然とした。
『誰か来たのか?』
「あの、えっと、」
「…ごめん、邪魔だった?」
「いえ。先生に授業をしてもらっていただけですよ。もう今回の分は終わりましたし…」
『それじゃあまた次回』
「ありがとうございました」
奏多さんは気づいていないのか、はたまた気づかないふりをしているのか。
また今度先生に話を聞いてみようと思いつつ、目の前の彼に向きなおる。
「そういえば、今日は何をするんですか?昨日の荷物を何かするんですよね?」
「そのつもりだったんだけど、今日はあまり時間がないから取り敢えず着てみて」
「着るだけですか?一体何が…」
中から出てきたのは、全日制の制服だった。
「ごめん。これくらいの大きさっていうのは検討がついたんだけど、スカートまでは用意できなかったんだ」
「私が、着ていいんですか?」
中学のときは行けなくて着るのを諦めた。
高校も1度も通うことなく終わりそうで、通信制の制服すら持っていない。
そんな私が、いきなり全日制の制服に袖を通していいのだろうか。
「ズボンならベルトで調節できるから、好きなように使って。僕が履けなくなったものだけど、それでよければ」
「ありがとうございます!」
新品同様のそれは私にとって輝いていて、まさしく希望の光だ。
「明日、具合が悪くなかったらそれを着て待ってて。それで、君がやりたかったことをやってみよう」
「ありがとうございます。嬉しいです…」
「そこまで喜んでもらえるとは思ってなかった」
そう話す彼にお願いしてみることにした。
「奏多さん、もしよければ、」
「…森川が言ってた曲、途中までなら解明できたから今日はそれを歌うよ」
彼はいつもどおり歌ってくれた。
嫌がられていたらどうしようと考えることもあるけど、こんなふうに沢山聴かせてもらえるのが嬉しい。
そうしているうちに、時間を告げる鐘が鳴る。
「…それでは奏多さん、また明日」
「うん。また」
今日の背中は寂しそうじゃない…そのことに少し安心した。
【今日は森川に制服を渡した。ネクタイとリボンはともかく、スカートを用意できなかった。
制服のズボンをリメイクして渡したが、まさかあそこまで喜んでもらえるなんて想定外だ。
また明日、弁当を用意して訪ねてみようと思う】
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