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春人ルート
第2話
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その日の夜、どうしても眠れなくてキッチンへ向かう。
この部屋以外ならどこでも入っていい…春人さんの指示通り、その鍵がかけられた部屋には近づかないようにしている。
「まだ寝てなかったの?」
「えっと、眠れなくてお水をいただこうかと思いまして…」
「水じゃなくても、好きなものを淹れていいよ。…今から少し出掛けてくるけど、絶対に勝手に外へ行かないように」
「え、あ、分かりました」
こんな真夜中に出掛けるのは、普通のことなのだろうか。
分からないことだらけの私には、ただ背中を見送ることしかできなかった。
「…お願い蕀さんたち」
手袋を外し蔦を繰り出す。
これが普通のことではないと知ったのは、一体いつのことだったか。
どうして自分にこんな力があるのかは分からない。
ただ、この事を知られればきっと出ていくように言われてしまうだろう。
「…痛っ」
手のひらからぽたぽたと血が滴り落ちていく。
ここまで大きく出すつもりはなかったのに、時々どうしても上手くコントロールできない。
雑巾で床掃除をしていると、がちゃりと扉が開かれる。
「えっと…おかえりなさい」
「眠れない?」
「ごめんなさ…」
春人さんは眉を寄せ、私の手を強めに掴む。
「床掃除よりも自分の心配をして。…この怪我、いつからしているものなの?」
「随分前からなので、正確には分かりません。ごめんなさい、床を汚してしまったのも傷が開いたせいで…」
「…ちょっと待ってて」
春人さんは小走りで奥の部屋へと向かってしまう。
もしも怒らせてしまっていたらどうしよう、出ていけと言われてしまったら…不安に思っていると、真っ白な箱を抱えて戻ってきた。
「こういう傷は、2,3日してからが1番痛む。だから今のうちに消毒して、それが軽くなるようにした方がいい」
「あ、ありがとうございます」
どうしてそんなことを知っているのだろう。
それとも、私が知らないことが多いだけ…?
「…春人」
「え?」
「さん付け、あんまり慣れないからそう呼ばれた方が嬉しい。
あと敬語はなし。多分年が近いから、そういう相手にまで畏まって話す必要はない」
「分かりました…春人」
「敬語は外すまで時間がかかりそうだね」
「ごめんなさい」
「別に責めた訳じゃない。…その気持ちはなんとなく分かる」
丁寧に包帯を巻いてくれた春人は、そのまま白い箱を持って奥の部屋へと吸いこまれるように消えてしまう。
怪我について詮索せずに黒柿色の髪をくしゃっと撫でる後ろ姿は、なんだかとてもかっこよかった。
この部屋以外ならどこでも入っていい…春人さんの指示通り、その鍵がかけられた部屋には近づかないようにしている。
「まだ寝てなかったの?」
「えっと、眠れなくてお水をいただこうかと思いまして…」
「水じゃなくても、好きなものを淹れていいよ。…今から少し出掛けてくるけど、絶対に勝手に外へ行かないように」
「え、あ、分かりました」
こんな真夜中に出掛けるのは、普通のことなのだろうか。
分からないことだらけの私には、ただ背中を見送ることしかできなかった。
「…お願い蕀さんたち」
手袋を外し蔦を繰り出す。
これが普通のことではないと知ったのは、一体いつのことだったか。
どうして自分にこんな力があるのかは分からない。
ただ、この事を知られればきっと出ていくように言われてしまうだろう。
「…痛っ」
手のひらからぽたぽたと血が滴り落ちていく。
ここまで大きく出すつもりはなかったのに、時々どうしても上手くコントロールできない。
雑巾で床掃除をしていると、がちゃりと扉が開かれる。
「えっと…おかえりなさい」
「眠れない?」
「ごめんなさ…」
春人さんは眉を寄せ、私の手を強めに掴む。
「床掃除よりも自分の心配をして。…この怪我、いつからしているものなの?」
「随分前からなので、正確には分かりません。ごめんなさい、床を汚してしまったのも傷が開いたせいで…」
「…ちょっと待ってて」
春人さんは小走りで奥の部屋へと向かってしまう。
もしも怒らせてしまっていたらどうしよう、出ていけと言われてしまったら…不安に思っていると、真っ白な箱を抱えて戻ってきた。
「こういう傷は、2,3日してからが1番痛む。だから今のうちに消毒して、それが軽くなるようにした方がいい」
「あ、ありがとうございます」
どうしてそんなことを知っているのだろう。
それとも、私が知らないことが多いだけ…?
「…春人」
「え?」
「さん付け、あんまり慣れないからそう呼ばれた方が嬉しい。
あと敬語はなし。多分年が近いから、そういう相手にまで畏まって話す必要はない」
「分かりました…春人」
「敬語は外すまで時間がかかりそうだね」
「ごめんなさい」
「別に責めた訳じゃない。…その気持ちはなんとなく分かる」
丁寧に包帯を巻いてくれた春人は、そのまま白い箱を持って奥の部屋へと吸いこまれるように消えてしまう。
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