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夏彦ルート
第20話
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重苦しい空気になると思っていたのに、夏彦は飲み物を準備してからのんびりとした口調で話しはじめる。
「俺は、洋服屋以外に情報屋の仕事をしているんだ。
…こっちの方が本業なんだけどね」
時々遅くに出掛けたり、お巡りさんと知り合いだったり…今考えると不思議なことだらけだ。
「それは、危ないお仕事ですか?」
「時々危ないこともあるけど、基本的に俺は裏方だから平気だよ。
本当は知られないようにしないといけないんだけど、もうカルテットについても説明しておくね」
【カルテット】…以前病室で聞いた名前だ。
何のことか分からなかったものの、そんなに気にしてなかったこと…。
今はどんな小さなことでもいいから知りたい。
「俺にハル、マー君…それから、リーダーのアッキー。4人で悪人を捕まえたり、困っている人たちの助けになる活動をしているんだ。
たとえば、ストーカーから逃げる為の力になったり…月見ちゃんみたいに暴力を受けていた人に新しい人生を送れるようにちょっとしたものを渡したり」
「見つかったら大変なことになるんじゃ…」
「見つからないようにするのが俺たちの仕事だから。まあ、俺以外の3人の方が忙しいかも」
私はとんでもない人に助けてもらったんだ。
だから素性を強引に訊こうとしたり、別の人のところに行くように話したりしなかった。
……私についても、情報があるから?
ただひとつ、どうしても聞いておきたいことがある。
「あの、どうしてそのお仕事をやろうと思ったんですか?夏彦なら洋服屋さんだけでも生活には困らないはずなのに」
「俺の家は代々こんな仕事をしてて、跡を継がないといけなかったんだ。…まあ、今は色々あって家とは連絡をとってないんだけどね」
「え……」
「洋服屋は自分がやりたくてやってるんだ。楽しいからね。
【ハイドランジア】を作った理由に嘘はないよ」
もしかすると、彼にとって家族は枷なのかもしれない。
その部分は深く訊けず、そうなんですねと答えることしかできなかった。
訊かないでほしいという顔をしているのを見ると、どうしても勇気が出なかったのだ。
「月見ちゃん、今の話は…」
「私には話す相手もいないし、夏彦たちに迷惑をかけたくないから…誰にも言いません。秘密は絶対に守ります。
だから、どうかこれからもここに置いてください」
知ったから殺されてしまうのならそれでもいい。
けれど、もし生きていることが赦されるのなら…私はただ頭をさげた。
「顔をあげて。俺は君のことを追い出すつもりはないから。
改めてよろしくね、月見ちゃん」
「ありがとう、ございます…」
差し出された手をそっと握り、そのまま握手する。
いつかきっと、私が話す番もくるのだろう。
──それでも夏彦は、私を受け入れてくれるかな…。
「俺は、洋服屋以外に情報屋の仕事をしているんだ。
…こっちの方が本業なんだけどね」
時々遅くに出掛けたり、お巡りさんと知り合いだったり…今考えると不思議なことだらけだ。
「それは、危ないお仕事ですか?」
「時々危ないこともあるけど、基本的に俺は裏方だから平気だよ。
本当は知られないようにしないといけないんだけど、もうカルテットについても説明しておくね」
【カルテット】…以前病室で聞いた名前だ。
何のことか分からなかったものの、そんなに気にしてなかったこと…。
今はどんな小さなことでもいいから知りたい。
「俺にハル、マー君…それから、リーダーのアッキー。4人で悪人を捕まえたり、困っている人たちの助けになる活動をしているんだ。
たとえば、ストーカーから逃げる為の力になったり…月見ちゃんみたいに暴力を受けていた人に新しい人生を送れるようにちょっとしたものを渡したり」
「見つかったら大変なことになるんじゃ…」
「見つからないようにするのが俺たちの仕事だから。まあ、俺以外の3人の方が忙しいかも」
私はとんでもない人に助けてもらったんだ。
だから素性を強引に訊こうとしたり、別の人のところに行くように話したりしなかった。
……私についても、情報があるから?
ただひとつ、どうしても聞いておきたいことがある。
「あの、どうしてそのお仕事をやろうと思ったんですか?夏彦なら洋服屋さんだけでも生活には困らないはずなのに」
「俺の家は代々こんな仕事をしてて、跡を継がないといけなかったんだ。…まあ、今は色々あって家とは連絡をとってないんだけどね」
「え……」
「洋服屋は自分がやりたくてやってるんだ。楽しいからね。
【ハイドランジア】を作った理由に嘘はないよ」
もしかすると、彼にとって家族は枷なのかもしれない。
その部分は深く訊けず、そうなんですねと答えることしかできなかった。
訊かないでほしいという顔をしているのを見ると、どうしても勇気が出なかったのだ。
「月見ちゃん、今の話は…」
「私には話す相手もいないし、夏彦たちに迷惑をかけたくないから…誰にも言いません。秘密は絶対に守ります。
だから、どうかこれからもここに置いてください」
知ったから殺されてしまうのならそれでもいい。
けれど、もし生きていることが赦されるのなら…私はただ頭をさげた。
「顔をあげて。俺は君のことを追い出すつもりはないから。
改めてよろしくね、月見ちゃん」
「ありがとう、ございます…」
差し出された手をそっと握り、そのまま握手する。
いつかきっと、私が話す番もくるのだろう。
──それでも夏彦は、私を受け入れてくれるかな…。
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