裏世界の蕀姫

黒蝶

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春人ルート

第22.5話

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まさかこんな形で秘密を知ることになるとは思わなかった。
家族から無償の愛をもらえなかった理由はきっと隠された能力にあって…そう考えるとやりきれない。
自分も愛されたことがなかったからだろうか。
それとも、
「ハル!」
「…ああ、ごめん」
「ごめんじゃなくて、何があったの?」
「ちょっと色々、考え事をしてただけ」
ふたりで話していると、いつもの作戦場所まであっという間だった。
「それじゃあ話はじめるぞ。夏彦にはいつもどおり情報を集めてもらう。
それから、今回は春人に作ってもらうアレが重要だ。…悪いが頼む」
「了解しました」
秋久はいつも申し訳なさそうに頼んでくる。
別にそんな表情をしなくてもいいのにとは思うものの、それを口にしても彼の態度が変わることがないのも事実だ。
「そういえば、ひとつ共有しておきたいことがあります」
「…春人さん、何かあったの?」
冬真は鋭い。
実はこのメンバーのなかで1番洞察力があるのではないかと密かに思っている。
彼が訊いているのは共有しておきたいことについてではなく、俺自身に何かあったのではないかということだ。
「僕はいつもどおりですよ。ただ、先日雪乃の店が強盗のようなものに侵入されてしまいまして…」
「それは穏やかじゃないね」
秋久には事後処理を頼まなければならなかったので知っていたのだが、他のふたりにはまだ知らせていなかった。
突然話したところで、相手を混乱させてしまうことは分かっている。
「なので、時間があるときに彼女の様子を見てきてもらえるとありがたいです」
「春人にばっかり負担がいくのもあれだし、雪乃ちゃんのところには俺たちで行こう」
「…夏彦、おまえは店が休みの日だけでいい。冬真も忙しいだろ。基本的には俺がやるから気にするな」
リーダーの頼もしい姿を見て、まだまだ精進が足りていないと実感する。
「…すみません、先に失礼します」
俺の仕事はあくまで裏方の裏方だ。
普段ならこれから白熱するであろう討論を最後まで聞くのだが、今はその少しの時間さえも惜しい。
「春人、そういえば月見ちゃんの捜索願だけど…まだ出されてないよ」
「分かりました。ありがとうございます」
何故こんなにも彼女のことばかり気になってしまうのかは分からない。
ただ、もっと知りたいと思っている自分がいる。
【ハル】…そう呼んでくれたあの人や共に過ごした時間が長い対する感情とは、また別のものが俺の中で動いているらしい。
彼女が今まで隠していた理由に、夜眠れない理由…そして何より、能力についてもっと詳しく聞いておこう。
……場合によっては、他のメンバーにも話すべきなのかもしれないから。
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