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春人ルート
第27話
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「──お願い、蕀さんたち」
この日は部屋で独りきり、蕀さんたちを少しだけ出してみている。
春人はどこかに出掛けていって、ラビとチェリーも連れて行ってしまったのだ。
掃除も終わらせて退屈になった私は、適度に蕀さんたちと戯れる。
隠し事をしなくてよくなった分、話す前より心穏やかに過ごせていると思う。
「…?」
そのとき、周辺の建物に人の気配を感じた。
正確に言えば、あまり感じたことがない気配が迫ってくるのを感じ取ったのかもしれない。
「おい、いるんだろ!開けろ!」
「…!」
少し油断していた。
聞いたことがない声だし、ここを開けてはいけないことはよく分かっている。
それでも、独りは怖い。
「開けろよ!」
ばんばんと音がして、扉が何度も蹴られているのが分かる。
手のひらを見ると、色々な形をした蕀さんたちが伸びてきていた。
「…外の、様子を確認しよう」
もしも今、春人が帰ってきたらどうなってしまうのだろう。
私はすぐに携帯電話に文字を打ちこむ。
大きな音や怒鳴り声は怖いけれど、彼に危ない目に遭ってほしくない。
《知らない人が家の扉をたたいています。
今は帰ってこない方がいいと思います》
蔦で覆って耳を塞いでいると、携帯電話が点滅しはじめる。
『もしもし、さっきのはどういうこと?』
「それは、」
話す前に大声が聞こえてきて、思わず肩を震わせる。
慌てそうになると、春人は優しい声で尋ねた。
『…状況は何となく理解した。どんな声が聞こえる?』
「いるんだろ、とか…開けろって言ってます」
『…すぐ戻るから、』
「駄目です。相手の人、多分武器を持っているんです」
蕀さんたちから伝わってくるのは、激しい怒りと恐ろしいほどの殺意だった。
「今帰ってきたら、春人が…」
その瞬間今までで1番大きな音が響き渡り、扉がばたんと倒れる。
「おまえはあいつの知り合いか?」
「あいつって、どなたのことですか?ここには、私が独りで住んでいて、」
「あいつはどこだ!」
周りの家具に当たり散らす姿はただただ恐ろしい。
逃げないといけないと思うのに、体に力が入らなくなってその場に座りこむ。
どんなことがあっても護ると彼は言ってくれた。
私に居場所やぬくもりをくれて、毎日が穏やかで…。
「や、やめてください…」
「煩い!」
頬が熱くなる。…久しぶりの、殴られた感触。
その瞬間、抑えこんでいた感情が一気に爆発した。
「ここから出ていってください…!」
止められない、止まらない。
痛くて怖くて逃げたくて辛くて苦しくて、そんなあの場所での生活を思い出す。
大切にしたい居場所を護りたい。
一気に発芽したところまでは覚えているけれど、気づいたときには相手の体じゅうに蔦が這っていた。
「は、は……」
これでもう、きっとここにもいられない。
この日は部屋で独りきり、蕀さんたちを少しだけ出してみている。
春人はどこかに出掛けていって、ラビとチェリーも連れて行ってしまったのだ。
掃除も終わらせて退屈になった私は、適度に蕀さんたちと戯れる。
隠し事をしなくてよくなった分、話す前より心穏やかに過ごせていると思う。
「…?」
そのとき、周辺の建物に人の気配を感じた。
正確に言えば、あまり感じたことがない気配が迫ってくるのを感じ取ったのかもしれない。
「おい、いるんだろ!開けろ!」
「…!」
少し油断していた。
聞いたことがない声だし、ここを開けてはいけないことはよく分かっている。
それでも、独りは怖い。
「開けろよ!」
ばんばんと音がして、扉が何度も蹴られているのが分かる。
手のひらを見ると、色々な形をした蕀さんたちが伸びてきていた。
「…外の、様子を確認しよう」
もしも今、春人が帰ってきたらどうなってしまうのだろう。
私はすぐに携帯電話に文字を打ちこむ。
大きな音や怒鳴り声は怖いけれど、彼に危ない目に遭ってほしくない。
《知らない人が家の扉をたたいています。
今は帰ってこない方がいいと思います》
蔦で覆って耳を塞いでいると、携帯電話が点滅しはじめる。
『もしもし、さっきのはどういうこと?』
「それは、」
話す前に大声が聞こえてきて、思わず肩を震わせる。
慌てそうになると、春人は優しい声で尋ねた。
『…状況は何となく理解した。どんな声が聞こえる?』
「いるんだろ、とか…開けろって言ってます」
『…すぐ戻るから、』
「駄目です。相手の人、多分武器を持っているんです」
蕀さんたちから伝わってくるのは、激しい怒りと恐ろしいほどの殺意だった。
「今帰ってきたら、春人が…」
その瞬間今までで1番大きな音が響き渡り、扉がばたんと倒れる。
「おまえはあいつの知り合いか?」
「あいつって、どなたのことですか?ここには、私が独りで住んでいて、」
「あいつはどこだ!」
周りの家具に当たり散らす姿はただただ恐ろしい。
逃げないといけないと思うのに、体に力が入らなくなってその場に座りこむ。
どんなことがあっても護ると彼は言ってくれた。
私に居場所やぬくもりをくれて、毎日が穏やかで…。
「や、やめてください…」
「煩い!」
頬が熱くなる。…久しぶりの、殴られた感触。
その瞬間、抑えこんでいた感情が一気に爆発した。
「ここから出ていってください…!」
止められない、止まらない。
痛くて怖くて逃げたくて辛くて苦しくて、そんなあの場所での生活を思い出す。
大切にしたい居場所を護りたい。
一気に発芽したところまでは覚えているけれど、気づいたときには相手の体じゅうに蔦が這っていた。
「は、は……」
これでもう、きっとここにもいられない。
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