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夏彦ルート
第56.5話
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冬真とふたりで歩いていると、前から見知った顔が近づいてきた。
「アッキー?」
「よう。これからショーをやるんだろ?仕事終わりだから見に来た」
連絡したのは恐らく冬真だろう。
秋久はじっとこちらを見ると、ふっと笑って冬真の頭を撫でた。
「似合ってる。バイトはこういう楽しみがなくちゃな」
「あ、ありがとう…。秋久さん、いつも優しいから好き」
「そう言ってもらえるとありがたいよ」
ふたりの世界に入っている姿を見つめながら、秋久来た理由を探す。
次の仕事の資料はもう届けたし、月見ちゃんに関する書類も全部出し終わった。
それなら、本当にショーを観る為だけに来たのだろうか。
「はい、仲睦まじい兄弟みたいな会話はそこまで。まー君には特設したランウェイを歩いてもらわないといけないから、緊張しないようにね」
「…分かった」
冬真は相変わらず秋久以外に対してあまり感情が表に出ない。
いや、これでも以前よりは話すようになった方だろうか。
…俺に対しては特に素直じゃないように感じるけど、そういうところにこの子は面白いと感じているのかもしれない。
「店長、生地がアシンメトリーになりません!」
「すぐ行くから待ってて」
「店長…」
色々な場所から悲鳴があがっていて、急ぎで向かう必要があると判断した。
「まー君はそこで待ってて。アッキーはこっちね」
早口でそう告げ、一旦その場を離れた。
「…あんたって仕事のときだけは真面目だよね」
「まー君、だけってどういう意味かな?」
秋久が見当たらなかったけど、先に月見ちゃんにお菓子を差し入れておこう。
そう考えて様子を見に行ってみると、何故か奥の部屋の扉が開いていた。
「月見ちゃん…?」
「ありがとな、お嬢ちゃん」
「い、いえ…こちらこそありがとうございます」
何の話をしていたのかも気になるけど、なんだか楽しそうにしているふたりを見ていると胸がもやもやする。
「アッキー、この部屋は勝手に開けたら駄目だよ」
「悪かった。猫の様子とお嬢ちゃんの様子が気になってな。
いるならここだろうと思ったんだ」
「アッキーは探し物上手だから、本当に困っちゃうよ」
それから二言三言話して、月見ちゃんに笑いかける。
「突然だったのにありがとう。本当に助かったよ」
「役に立てて、よかったです」
月見ちゃんはそう言って、柔らかく微笑んだ。
太陽のように眩しい笑顔にどきっとする。
「ここからでもショーを楽しめるようにモニターを設定しておいたから、ここからでも楽しんでね」
「はい。ありがとうございます」
ぐっすり寝ているソルトを抱えて、彼女はまた微笑む。
そんな姿を見てからすぐ持ち場に戻った。
「…こんな感情、持っちゃいけないのに」
高鳴る鼓動に彼女の笑顔…その正体は分かっているけど、俺の事情に巻きこむわけにはいかない。
──この感情を咲かせる日は、きっとこない…きてはいけないんだ。
「アッキー?」
「よう。これからショーをやるんだろ?仕事終わりだから見に来た」
連絡したのは恐らく冬真だろう。
秋久はじっとこちらを見ると、ふっと笑って冬真の頭を撫でた。
「似合ってる。バイトはこういう楽しみがなくちゃな」
「あ、ありがとう…。秋久さん、いつも優しいから好き」
「そう言ってもらえるとありがたいよ」
ふたりの世界に入っている姿を見つめながら、秋久来た理由を探す。
次の仕事の資料はもう届けたし、月見ちゃんに関する書類も全部出し終わった。
それなら、本当にショーを観る為だけに来たのだろうか。
「はい、仲睦まじい兄弟みたいな会話はそこまで。まー君には特設したランウェイを歩いてもらわないといけないから、緊張しないようにね」
「…分かった」
冬真は相変わらず秋久以外に対してあまり感情が表に出ない。
いや、これでも以前よりは話すようになった方だろうか。
…俺に対しては特に素直じゃないように感じるけど、そういうところにこの子は面白いと感じているのかもしれない。
「店長、生地がアシンメトリーになりません!」
「すぐ行くから待ってて」
「店長…」
色々な場所から悲鳴があがっていて、急ぎで向かう必要があると判断した。
「まー君はそこで待ってて。アッキーはこっちね」
早口でそう告げ、一旦その場を離れた。
「…あんたって仕事のときだけは真面目だよね」
「まー君、だけってどういう意味かな?」
秋久が見当たらなかったけど、先に月見ちゃんにお菓子を差し入れておこう。
そう考えて様子を見に行ってみると、何故か奥の部屋の扉が開いていた。
「月見ちゃん…?」
「ありがとな、お嬢ちゃん」
「い、いえ…こちらこそありがとうございます」
何の話をしていたのかも気になるけど、なんだか楽しそうにしているふたりを見ていると胸がもやもやする。
「アッキー、この部屋は勝手に開けたら駄目だよ」
「悪かった。猫の様子とお嬢ちゃんの様子が気になってな。
いるならここだろうと思ったんだ」
「アッキーは探し物上手だから、本当に困っちゃうよ」
それから二言三言話して、月見ちゃんに笑いかける。
「突然だったのにありがとう。本当に助かったよ」
「役に立てて、よかったです」
月見ちゃんはそう言って、柔らかく微笑んだ。
太陽のように眩しい笑顔にどきっとする。
「ここからでもショーを楽しめるようにモニターを設定しておいたから、ここからでも楽しんでね」
「はい。ありがとうございます」
ぐっすり寝ているソルトを抱えて、彼女はまた微笑む。
そんな姿を見てからすぐ持ち場に戻った。
「…こんな感情、持っちゃいけないのに」
高鳴る鼓動に彼女の笑顔…その正体は分かっているけど、俺の事情に巻きこむわけにはいかない。
──この感情を咲かせる日は、きっとこない…きてはいけないんだ。
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