77 / 385
春人ルート
第60話
しおりを挟む
「どうしてそのことを…」
そこまで話すと、春人ははっとしたようにこちらを見つめた。
ずっと確信が持てなかったけれど、今のではっきりと理解する。
「もしも本当に危なくない仕事なら、帰ってくる度に少しずつ傷が増えているはずありません」
ずっとひとりで怪我の手当てをしているのを知っていた。
はじめは何をしているのかなんて分からなかったけれど、消毒液のにおいや少しずつ増えていく絆創膏でなんとなく気づいていたんだ。
「君は鋭いね」
「教えてください。詳しく言えないって前に言っていたけど、やっぱり危ないお仕事なんですよね…?」
「…分かった、もう少し詳しく話す。【便利屋】は元々あの人がやっていたことで、俺なんかじゃ足元にも及ばない。依頼を受けてこなすことに意味があるけど、犯罪者の依頼は断って捕まえることにしてる。
基本的には身分を捨てて逃げたい人や盗まれたものを取り返すときに小道具を作ってる。…内容については守秘義務があるから言えないけど、そこには当然犯罪者が絡んでくることもある」
相手が平気で人を傷つけるような人ということもある、ということだろうか。
だからあんなふうに沢山の傷を負って、それでもまだ戦い続けて…だから彼らは強いのかもしれない。
「だけど、俺には誰かを逮捕する権利はない。…その為にあるのが【カルテット】だ」
「秋久さんがいれば、捕まえられるからですか?」
「そう。夏彦や冬真にも色々手伝ってもらってる。【カルテット】についてもあんまり詳しくは言えないけど、俺たちが目をつけた相手は必ず大変なことになるとだけ言っておく」
「それじゃあ、今ひとりで調べているものを皆さんに協力してもらうのは駄目なんですか?」
春人はきっと、迷惑をかけたくないから他の人たちに話さないようにしている。
ただ、これ以上ひとりで傷ついてほしくない。
「それは俺個人の問題だ。…だけど、みんなが巻きこまれている以上、もうそう言っていられる余裕はないのかもしれない」
「やっぱり、私にも手伝わせてください。どれだけやれるかなんて分からないけど、何もできないのは嫌なんです。
私は春人の力になりたい…。お願いします、無理はしないので、やらせてもらえませんか?蕀さんたちと一緒に頑張ってみたいんです」
断られてしまうかもしれない…そう思っていたけれど、頭をぽんぽんと撫でられる。
「分かった、俺の負け。その代わり、痛くて限界だと思ったらすぐやめて」
「ありがとうございます」
「これから危険なことに巻きこまれるのに、君は怖くないの?」
「誰かを護りたいって、ずっと思っていたので…役に立てるならそれが1番嬉しいです」
春人は一言、そう、と呟いた。
こちらから表情を確認することはできなかったけれど、今は何を考えているのだろうか。
「あいつらは近々直接俺を狙ってくるはずだ。…月見、君にはそのときに手を貸してほしい」
そこまで話すと、春人ははっとしたようにこちらを見つめた。
ずっと確信が持てなかったけれど、今のではっきりと理解する。
「もしも本当に危なくない仕事なら、帰ってくる度に少しずつ傷が増えているはずありません」
ずっとひとりで怪我の手当てをしているのを知っていた。
はじめは何をしているのかなんて分からなかったけれど、消毒液のにおいや少しずつ増えていく絆創膏でなんとなく気づいていたんだ。
「君は鋭いね」
「教えてください。詳しく言えないって前に言っていたけど、やっぱり危ないお仕事なんですよね…?」
「…分かった、もう少し詳しく話す。【便利屋】は元々あの人がやっていたことで、俺なんかじゃ足元にも及ばない。依頼を受けてこなすことに意味があるけど、犯罪者の依頼は断って捕まえることにしてる。
基本的には身分を捨てて逃げたい人や盗まれたものを取り返すときに小道具を作ってる。…内容については守秘義務があるから言えないけど、そこには当然犯罪者が絡んでくることもある」
相手が平気で人を傷つけるような人ということもある、ということだろうか。
だからあんなふうに沢山の傷を負って、それでもまだ戦い続けて…だから彼らは強いのかもしれない。
「だけど、俺には誰かを逮捕する権利はない。…その為にあるのが【カルテット】だ」
「秋久さんがいれば、捕まえられるからですか?」
「そう。夏彦や冬真にも色々手伝ってもらってる。【カルテット】についてもあんまり詳しくは言えないけど、俺たちが目をつけた相手は必ず大変なことになるとだけ言っておく」
「それじゃあ、今ひとりで調べているものを皆さんに協力してもらうのは駄目なんですか?」
春人はきっと、迷惑をかけたくないから他の人たちに話さないようにしている。
ただ、これ以上ひとりで傷ついてほしくない。
「それは俺個人の問題だ。…だけど、みんなが巻きこまれている以上、もうそう言っていられる余裕はないのかもしれない」
「やっぱり、私にも手伝わせてください。どれだけやれるかなんて分からないけど、何もできないのは嫌なんです。
私は春人の力になりたい…。お願いします、無理はしないので、やらせてもらえませんか?蕀さんたちと一緒に頑張ってみたいんです」
断られてしまうかもしれない…そう思っていたけれど、頭をぽんぽんと撫でられる。
「分かった、俺の負け。その代わり、痛くて限界だと思ったらすぐやめて」
「ありがとうございます」
「これから危険なことに巻きこまれるのに、君は怖くないの?」
「誰かを護りたいって、ずっと思っていたので…役に立てるならそれが1番嬉しいです」
春人は一言、そう、と呟いた。
こちらから表情を確認することはできなかったけれど、今は何を考えているのだろうか。
「あいつらは近々直接俺を狙ってくるはずだ。…月見、君にはそのときに手を貸してほしい」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる