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春人ルート
第67話
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春人に渡したキーホルダーの蕀さんから、非常に深刻な状態が伝わってくる。
連絡せずに待っているべきかもしれないと思っていたけれど、念の為秋久さんにメッセージを送った。
《夜遅くにすみません。春人が怪しい人に呼び出されて、危険な状態なんです。中洲公園に来られたしと書かれていたので、そのあたりにいると思います。
これから私も向かいますが、春人にとって大切なことが解決するかもしれないんです。お願いします。どうか力を貸してください》
それからは蕀さんの気配を辿って、辿って、辿って…そうしているうちに見つけたのは、ぼろぼろになりながら必死で戦っている春人だった。
相手に銃をつきつけられて、絶体絶命な状況だ。
目を閉じる彼は死を受け入れているように見えて、咄嗟に呟いた。
「──お願い、蕀さんたち」
蔦で春人と男の間に壁を作って、相手に見えないように彼の側に立つ。
「…どうして」
彼は驚いた表情でこちらを見上げる。
「くそっ、なんなんだこの仕掛けは!?」
その声が怖くないといえば嘘になるけれど、今の私にはもっと怖いことがある。
「今のうちに逃げましょう」
「家で待っててって、言ったのに」
「ごめんなさい。でも、危険な状態の春人を独りにしたくなかったんです。…立てますか?」
早くここから離れないと、あの人が来てしまう。
急げば間に合う、きっと大丈夫。
「く……」
「すみません、もう少しなので、」
そこまで話したとき、間近で殺気を感じた。
すぐ春人に頭を伏せさせて、覆いかぶさるような姿勢をとる。
…多分、銃弾が体にあたったのは初めてだ。
「おや?ごめんね、見えないから誰に当たったか分からないな」
いつの間にか目の前に迫っていた相手に、春人は絶望したような瞳を向けている。
「もう1発喰らわせれば、大人しくなってくれるよね?」
駄目だ。痛くてまともに考えられない。
春人はいつもこんな痛みに耐えていたんだ。
本当にすごい人で、だけど誰より春のような陽だまりが似合う人…。
だから、ここから動くわけにはいかない。
これが死ぬ覚悟というもので、誰かのぬくもりを感じるということ…。
指先の感覚がない。
こんな終わり方なら、私がこうして外に出たことにも意味はきっとあった。
「な、おまえ…」
私をゆっくり地面に寝させて、春人が立ちあがるのが見える。
手には沢山のキャンディを持って、それで相手を刺そうとしているのは明白だった。
「だ、駄目…」
「もう少しで終わるのに、どうして止めるの?」
相手の銃を奪って勢いよくキャンディを喉元に当てながら、銃口は男の口の中に入っている。
「大切な人に褒めてもらった、あなたの才能なのでしょう…?そんな大切なもので、相手を傷つけたら…きっと、悲しみます」
「…!」
「もう、独りで頑張らないって、言ってた、のに…」
視界が暗くなってきて、もうほとんど何も感じない。
さっきまであんなに痛かったはずなのに、魔法にかかったみたいだ。
「…心配しなくても、俺はこいつを殺さない。遠くから援軍が来てる音がするんだ」
足音なんてどこからも聞こえない。
春人の言葉でさえ、途切れ途切れにしか耳に入ってこなかった。
ただ分かるのは、私の前に春人でも男でもない誰かが立ったことだけ。
「──そろそろ遊びの時間は終わりだ」
連絡せずに待っているべきかもしれないと思っていたけれど、念の為秋久さんにメッセージを送った。
《夜遅くにすみません。春人が怪しい人に呼び出されて、危険な状態なんです。中洲公園に来られたしと書かれていたので、そのあたりにいると思います。
これから私も向かいますが、春人にとって大切なことが解決するかもしれないんです。お願いします。どうか力を貸してください》
それからは蕀さんの気配を辿って、辿って、辿って…そうしているうちに見つけたのは、ぼろぼろになりながら必死で戦っている春人だった。
相手に銃をつきつけられて、絶体絶命な状況だ。
目を閉じる彼は死を受け入れているように見えて、咄嗟に呟いた。
「──お願い、蕀さんたち」
蔦で春人と男の間に壁を作って、相手に見えないように彼の側に立つ。
「…どうして」
彼は驚いた表情でこちらを見上げる。
「くそっ、なんなんだこの仕掛けは!?」
その声が怖くないといえば嘘になるけれど、今の私にはもっと怖いことがある。
「今のうちに逃げましょう」
「家で待っててって、言ったのに」
「ごめんなさい。でも、危険な状態の春人を独りにしたくなかったんです。…立てますか?」
早くここから離れないと、あの人が来てしまう。
急げば間に合う、きっと大丈夫。
「く……」
「すみません、もう少しなので、」
そこまで話したとき、間近で殺気を感じた。
すぐ春人に頭を伏せさせて、覆いかぶさるような姿勢をとる。
…多分、銃弾が体にあたったのは初めてだ。
「おや?ごめんね、見えないから誰に当たったか分からないな」
いつの間にか目の前に迫っていた相手に、春人は絶望したような瞳を向けている。
「もう1発喰らわせれば、大人しくなってくれるよね?」
駄目だ。痛くてまともに考えられない。
春人はいつもこんな痛みに耐えていたんだ。
本当にすごい人で、だけど誰より春のような陽だまりが似合う人…。
だから、ここから動くわけにはいかない。
これが死ぬ覚悟というもので、誰かのぬくもりを感じるということ…。
指先の感覚がない。
こんな終わり方なら、私がこうして外に出たことにも意味はきっとあった。
「な、おまえ…」
私をゆっくり地面に寝させて、春人が立ちあがるのが見える。
手には沢山のキャンディを持って、それで相手を刺そうとしているのは明白だった。
「だ、駄目…」
「もう少しで終わるのに、どうして止めるの?」
相手の銃を奪って勢いよくキャンディを喉元に当てながら、銃口は男の口の中に入っている。
「大切な人に褒めてもらった、あなたの才能なのでしょう…?そんな大切なもので、相手を傷つけたら…きっと、悲しみます」
「…!」
「もう、独りで頑張らないって、言ってた、のに…」
視界が暗くなってきて、もうほとんど何も感じない。
さっきまであんなに痛かったはずなのに、魔法にかかったみたいだ。
「…心配しなくても、俺はこいつを殺さない。遠くから援軍が来てる音がするんだ」
足音なんてどこからも聞こえない。
春人の言葉でさえ、途切れ途切れにしか耳に入ってこなかった。
ただ分かるのは、私の前に春人でも男でもない誰かが立ったことだけ。
「──そろそろ遊びの時間は終わりだ」
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