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春人ルート
第88話
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「ハル、ちょっといい?」
ふたりでスープを飲んでいると、夏彦さんが笑顔で話しかけていた。
その表情が決して作られたものではないことに安心しながら、今この場所にいると邪魔になってしまうような気がして立ちあがる。
「すみません、私は一旦部屋に戻るので…」
「あれ、そうなの?」
「はい。失礼します」
取り敢えず一礼してその場を後にする。
なんだかどきどきして上手く言葉が出てこなかったし、1度冷静になろうと思った。
しばらく部屋でぼんやりしていると、遠慮がちに扉が開かれる。
入ってきたのは雪乃だった。
「お邪魔します」
「えっと、こんばんは…」
予想外の人物に少しだけ戸惑ってしまったけれど、体を起こしてじっと見つめる。
こんな遅い時間にきたということは、何かあったのかもしれない…そう考えて身構えていると、雪乃はただふっと笑った。
「私はただお見舞いにきただけ。少しだけ調べものはしたけど、そんなに危ないものじゃない」
「そう、なんですね…」
「今回【カルテット】が捕まえた人たちの身辺調査を手伝ってきた」
動揺しそうになるのをなんとか抑えながら、雪乃に疑問をぶつけてみる。
「誰かと一緒に調べた、ということですか?やっぱり危ないことだったんじゃ…」
「大丈夫。あの子は強いし、私の探偵力はそんなに衰えてないはずだから」
「探偵力、ですか?」
「そう。あの子は【カルテット】について知らないから、隠し通せるかは不安だったけど、なんとかなった」
「えっと、お疲れ様です…?」
「ありがとう」
もうひとりの人のことも気になったけれど、なんだか訊いてはいけないような気がしてそのまま流すことにした。
どうして私のところにきたんだろうと少し疑問に思ったけれど、それも訊いてしまっていいのか分からない。
「あの…占ってもらってもいいですか?」
「それは構わないけど、どんなこと?」
「春人が心に抱えているものが軽くなるかどうか、とか…」
どんな反応をされるか身構えていると、彼女は少し笑ってカードを取り出した。
「今、どこから出したんですか?」
「…秘密のポケットから」
「すごいです。全然分かりませんでした」
「あくまで占いだから気休めにしかならないと思うけど、頑張って占ってみる」
雪乃はぱらぱらとカードを広げて、そのうち3枚だけ選んで表にした。
「これは…」
「悪いカードなんですか?」
「その逆。この世界の正位置は最強のカード。これから春人はきっと前を向いて生きていける」
「そうなんですね。よかったです」
そう話すと彼女は私をじっと見て、首を傾げながら質問を投げかけてきた。
「…月見は、自分の運勢を見なくていいの?」
ふたりでスープを飲んでいると、夏彦さんが笑顔で話しかけていた。
その表情が決して作られたものではないことに安心しながら、今この場所にいると邪魔になってしまうような気がして立ちあがる。
「すみません、私は一旦部屋に戻るので…」
「あれ、そうなの?」
「はい。失礼します」
取り敢えず一礼してその場を後にする。
なんだかどきどきして上手く言葉が出てこなかったし、1度冷静になろうと思った。
しばらく部屋でぼんやりしていると、遠慮がちに扉が開かれる。
入ってきたのは雪乃だった。
「お邪魔します」
「えっと、こんばんは…」
予想外の人物に少しだけ戸惑ってしまったけれど、体を起こしてじっと見つめる。
こんな遅い時間にきたということは、何かあったのかもしれない…そう考えて身構えていると、雪乃はただふっと笑った。
「私はただお見舞いにきただけ。少しだけ調べものはしたけど、そんなに危ないものじゃない」
「そう、なんですね…」
「今回【カルテット】が捕まえた人たちの身辺調査を手伝ってきた」
動揺しそうになるのをなんとか抑えながら、雪乃に疑問をぶつけてみる。
「誰かと一緒に調べた、ということですか?やっぱり危ないことだったんじゃ…」
「大丈夫。あの子は強いし、私の探偵力はそんなに衰えてないはずだから」
「探偵力、ですか?」
「そう。あの子は【カルテット】について知らないから、隠し通せるかは不安だったけど、なんとかなった」
「えっと、お疲れ様です…?」
「ありがとう」
もうひとりの人のことも気になったけれど、なんだか訊いてはいけないような気がしてそのまま流すことにした。
どうして私のところにきたんだろうと少し疑問に思ったけれど、それも訊いてしまっていいのか分からない。
「あの…占ってもらってもいいですか?」
「それは構わないけど、どんなこと?」
「春人が心に抱えているものが軽くなるかどうか、とか…」
どんな反応をされるか身構えていると、彼女は少し笑ってカードを取り出した。
「今、どこから出したんですか?」
「…秘密のポケットから」
「すごいです。全然分かりませんでした」
「あくまで占いだから気休めにしかならないと思うけど、頑張って占ってみる」
雪乃はぱらぱらとカードを広げて、そのうち3枚だけ選んで表にした。
「これは…」
「悪いカードなんですか?」
「その逆。この世界の正位置は最強のカード。これから春人はきっと前を向いて生きていける」
「そうなんですね。よかったです」
そう話すと彼女は私をじっと見て、首を傾げながら質問を投げかけてきた。
「…月見は、自分の運勢を見なくていいの?」
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