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春人ルート
第95.5話
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冬真から様々な注意を受けた後、彼は神妙な面持ちで絞り出すように声を出す。
「春人さん、すごく言いづらいんだけど…」
「彼女の右手について、ですか?」
マッサージを施しながら、なんとなく理解していた。
彼女の指先は全く反応がなく、彼女自身も感覚がないと話している。
それならば、考えられる可能性のひとつとしてそれがあり得るのは分かっていた。
「下手をすれば、一生動くことはない…違いますか?」
「まだあくまで可能性の話だけど…ごめん。僕の処置が遅かったせいだ」
「あなたは僕に対しても全力を尽くしてくれました。だから、ちっとも謝る必要なんてないんです。
助けてくれて本当に感謝しています。それから…悪いのは僕です」
あの子が怪我をしたのは俺のせいだ。
だから、それに対する治療法を探さなければならなかったのも俺だった。
にも関わらず、その責任を全て冬真に押しつけるような形になってしまっている。
「冬真、本当に──」
「謝ったりなんてしないでね。僕の仕事だったのに、あの人を救えなかったんだから。
でも、春人さんが申し訳ないと自分を責め続けちゃいそうなら…1個だけお願いを聞いてくれる?」
「僕にできることなら」
「それなら、あの人の手を離さないであげて」
「え…?」
意外な一言に、口かららしくない間抜けな一言が零れる。
「置いていかれる辛さは、春人さんも知ってるでしょ?」
俺は肉親に置いていかれたわけではない。
ただ、春海さんがいなくなってしまったときの孤独感は今でも覚えている。
「それは冬真の方が詳しいでしょう?」
「詳しさとかじゃなくて、誰に側にいてほしいと思っているかが大事だと思う」
「彼女自身に選んでもらおうと思います」
「…そう」
俺の考えを察知したのか、それ以上は何も言われなかった。
俺自身の怪我はもうほぼ回復しているらしく、来週には家に帰れるらしい。
冬真が部屋を出た後、心には悔しさだけが歪な音を立てて積もっていく。
「…なんでだよ」
どうして俺は、いつも周りの人たちを不幸にしてしまうんだろう。
腕が動かなくなるのが俺ならよかった。
いっそ、あのときやられたのが俺だけだったら…考えても仕方ないのに、そんなことばかり思っている。
どんな顔をして彼女と話をすればいいだろう。
たとえまた怪我をさせる可能性があったとしても、彼女の腕の可能性を潰した俺と一緒にいてくれるだろうか。
そんな不安がぐるぐる廻りだしたとき、最も顔を合わせるのが気まずい人物が部屋に入ってくる。
「春人、何かあったんですか?」
「…なんでもない」
つい目を逸してしまい、誤解されないか不安になる。
月見は首を傾げつつ、優しく声をかけてくれた。
「夏彦さんが金平糖をくれたんです。一緒に食べませんか?」
「…ありがとう」
──あなたの指は一生動かないかもしれません…なんて、彼女にどう伝えればいい?
「春人さん、すごく言いづらいんだけど…」
「彼女の右手について、ですか?」
マッサージを施しながら、なんとなく理解していた。
彼女の指先は全く反応がなく、彼女自身も感覚がないと話している。
それならば、考えられる可能性のひとつとしてそれがあり得るのは分かっていた。
「下手をすれば、一生動くことはない…違いますか?」
「まだあくまで可能性の話だけど…ごめん。僕の処置が遅かったせいだ」
「あなたは僕に対しても全力を尽くしてくれました。だから、ちっとも謝る必要なんてないんです。
助けてくれて本当に感謝しています。それから…悪いのは僕です」
あの子が怪我をしたのは俺のせいだ。
だから、それに対する治療法を探さなければならなかったのも俺だった。
にも関わらず、その責任を全て冬真に押しつけるような形になってしまっている。
「冬真、本当に──」
「謝ったりなんてしないでね。僕の仕事だったのに、あの人を救えなかったんだから。
でも、春人さんが申し訳ないと自分を責め続けちゃいそうなら…1個だけお願いを聞いてくれる?」
「僕にできることなら」
「それなら、あの人の手を離さないであげて」
「え…?」
意外な一言に、口かららしくない間抜けな一言が零れる。
「置いていかれる辛さは、春人さんも知ってるでしょ?」
俺は肉親に置いていかれたわけではない。
ただ、春海さんがいなくなってしまったときの孤独感は今でも覚えている。
「それは冬真の方が詳しいでしょう?」
「詳しさとかじゃなくて、誰に側にいてほしいと思っているかが大事だと思う」
「彼女自身に選んでもらおうと思います」
「…そう」
俺の考えを察知したのか、それ以上は何も言われなかった。
俺自身の怪我はもうほぼ回復しているらしく、来週には家に帰れるらしい。
冬真が部屋を出た後、心には悔しさだけが歪な音を立てて積もっていく。
「…なんでだよ」
どうして俺は、いつも周りの人たちを不幸にしてしまうんだろう。
腕が動かなくなるのが俺ならよかった。
いっそ、あのときやられたのが俺だけだったら…考えても仕方ないのに、そんなことばかり思っている。
どんな顔をして彼女と話をすればいいだろう。
たとえまた怪我をさせる可能性があったとしても、彼女の腕の可能性を潰した俺と一緒にいてくれるだろうか。
そんな不安がぐるぐる廻りだしたとき、最も顔を合わせるのが気まずい人物が部屋に入ってくる。
「春人、何かあったんですか?」
「…なんでもない」
つい目を逸してしまい、誤解されないか不安になる。
月見は首を傾げつつ、優しく声をかけてくれた。
「夏彦さんが金平糖をくれたんです。一緒に食べませんか?」
「…ありがとう」
──あなたの指は一生動かないかもしれません…なんて、彼女にどう伝えればいい?
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