314 / 385
冬真ルート
第2話
しおりを挟む
夜になってもあまり眠れなくて、結局そのまま起きている。
目を閉じるとどうしても嫌なことを思い出してしまう。
ぼんやりしていると、雪みたいに綺麗な翼を動かしている何かがベッドにぶつかった。
「…あの、大丈夫ですか?」
怪我をしていないか心配になっていると、ホーと鳴いて首を傾げている。
「迷子さん、ですか?」
冬真さんに話を聞きたいけれど、この時間なら普通の人たちはきっと寝ているだろう。
追い出してしまうのも申し訳なくて、その鳥さんをよく観察した。
「…梟さん、なんですね。あなたはどこから来たんですか?」
触っていいのか分からなくて伸ばした手を引っ込めようとすると、ばさばさと音をたててこちらに近づいてきた。
足元をよく見ると、そこには何か紙がくくりつけられている。
何かの罠なのか、飼い主さんがいる印なのか…外の世界のことを、私はよく知らない。
「怪我、してないみたいですね」
腕にぴたりととまられて、そのままの体勢でじっと見つめる。
どうしようか困っていると、扉が勢いよく開かれた。
「…やっぱりここにいた」
「あの、この子は、」
「スノウ」
「え…?」
「その子の名前。スノウっていうんだ。僕が飼ってるんだけど、随分君に懐いたみたいだね。
初対面の相手には警戒して、そんなふうに近づいたりしないのに」
冬真さんはぽつりとそう呟くと、そっと手をこちらに差し出した。
「スノウ、そのお姉さんを困らせないで」
言葉の意味が分かったのか、スノウと呼ばれた梟は羽を動かして冬真さんに向かって飛んでいく。
「あ、あの、」
「…どうかした?」
「スノウさんの足に結んでいるものって、何ですか?」
「仕事関係」
「お仕事、ですか?」
「…スノウって呼ばないと反応しないから、できればさん付けはしない方がいい。
それから、眠れそうにないなら飲み物飲んで横になってて。飲み物はこれから持ってくる」
「あ…」
お礼を言いたかったのに、冬真さんはスノウとふたりで足早に部屋を出てしまった。
まだまだ戸惑うことも多いけれど、次はちゃんとお礼を言いたい。
「…淹れてきた。アレルギーは?」
「多分ないと思います。ありがとうございます。…いただきます」
それは初めて飲むもので、なんだか少し甘い気がした。
「…そんなに美味しかった?」
「あ、えっと…ごめんなさい」
「別に怒ってない。ただ、飲んだことなかったんだなって思っただけ」
「どうして分かるんですか…?」
「見ていればなんとなくは」
こんなふうにあの場所の人たち以外と話すのは初めてで、なんだかいつもとは違う緊張がはしる。
開いている窓から風が入ってきて、冬真さんの漆黒の髪がふわふわと揺れた。
目を閉じるとどうしても嫌なことを思い出してしまう。
ぼんやりしていると、雪みたいに綺麗な翼を動かしている何かがベッドにぶつかった。
「…あの、大丈夫ですか?」
怪我をしていないか心配になっていると、ホーと鳴いて首を傾げている。
「迷子さん、ですか?」
冬真さんに話を聞きたいけれど、この時間なら普通の人たちはきっと寝ているだろう。
追い出してしまうのも申し訳なくて、その鳥さんをよく観察した。
「…梟さん、なんですね。あなたはどこから来たんですか?」
触っていいのか分からなくて伸ばした手を引っ込めようとすると、ばさばさと音をたててこちらに近づいてきた。
足元をよく見ると、そこには何か紙がくくりつけられている。
何かの罠なのか、飼い主さんがいる印なのか…外の世界のことを、私はよく知らない。
「怪我、してないみたいですね」
腕にぴたりととまられて、そのままの体勢でじっと見つめる。
どうしようか困っていると、扉が勢いよく開かれた。
「…やっぱりここにいた」
「あの、この子は、」
「スノウ」
「え…?」
「その子の名前。スノウっていうんだ。僕が飼ってるんだけど、随分君に懐いたみたいだね。
初対面の相手には警戒して、そんなふうに近づいたりしないのに」
冬真さんはぽつりとそう呟くと、そっと手をこちらに差し出した。
「スノウ、そのお姉さんを困らせないで」
言葉の意味が分かったのか、スノウと呼ばれた梟は羽を動かして冬真さんに向かって飛んでいく。
「あ、あの、」
「…どうかした?」
「スノウさんの足に結んでいるものって、何ですか?」
「仕事関係」
「お仕事、ですか?」
「…スノウって呼ばないと反応しないから、できればさん付けはしない方がいい。
それから、眠れそうにないなら飲み物飲んで横になってて。飲み物はこれから持ってくる」
「あ…」
お礼を言いたかったのに、冬真さんはスノウとふたりで足早に部屋を出てしまった。
まだまだ戸惑うことも多いけれど、次はちゃんとお礼を言いたい。
「…淹れてきた。アレルギーは?」
「多分ないと思います。ありがとうございます。…いただきます」
それは初めて飲むもので、なんだか少し甘い気がした。
「…そんなに美味しかった?」
「あ、えっと…ごめんなさい」
「別に怒ってない。ただ、飲んだことなかったんだなって思っただけ」
「どうして分かるんですか…?」
「見ていればなんとなくは」
こんなふうにあの場所の人たち以外と話すのは初めてで、なんだかいつもとは違う緊張がはしる。
開いている窓から風が入ってきて、冬真さんの漆黒の髪がふわふわと揺れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる