290 / 385
秋久ルート
第52話
しおりを挟む
「どうしたらこんな酷い貧血状態になるの?」
借りている部屋に戻った瞬間、冬真さんは眉をひそめて私の方を見つめる。
そんな視線から逃げるように目を逸らした。
「ごめんなさい…」
「短期間に同じ場所を怪我する理由に心当たりはある?」
「…ごめんなさい」
流石に手から蕀さんたちを出しています、とは言えない。
だからといって嘘を吐くのもいけないと思うと、言葉が出てこなかった。
「冬真、そこまでにしてやってくれないか?」
「…言われなくても、これ以上困らせるようなことを言うつもりはない。
僕が怒らないといけない人はこの人だけじゃないから」
「どういうことですか?」
首を傾げていると、冬真さんは秋久さんに向き直る。
「あんな人数を倒したってことは、足に相当負担がかかってるはず。そこ座って」
「いや、俺は、」
「診察させてくれたら満足するから…お願い」
冬真さんの声には切なさが滲んでいて、秋久さんは苦笑いをしながら椅子に腰掛けた。
「分かった。それじゃあ頼むな、冬真」
足の調子を診てもらう様子を見ながら、自分の腕に繋がれたチューブを見つめる。
なかなか終わりそうになくて、冬真さんに迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思った。
「点滴が終わるまでもう少しかかるから、取り敢えずふたりの話を聞かせてほしい」
「あの男たちはディアボロのメンバーだ。だが、何人か捜査線上に浮上していない顔があった」
「…別の組織が関与してるかもしれないってこと?」
秋久さんの言葉に深刻さを感じる。
もし知らない人たちがいたら、カルテットを狙っているのはもっと沢山いるんじゃないか…そう考えると不安になった。
「お嬢ちゃん、そんな顔をしなくていい。他の組織が動いていたとしたら好都合だ」
「何か思いついたの?」
冬真さんの質問に秋久さんは丁寧に答えた。
「複数の組織が絡んでいるなら、集まった隙をついて一網打尽にするしかない。
だが、大きな組織がひとつで動いている場合より噂に流されやすいから、互いの信頼関係が綻びやすい」
「仲違いしやすいってことは、お互いで潰し合う可能性があるってことになるね」
「こっちは限られた人数で動かないといけないからな。少し気の毒な気もするが、相手にはばらばらになってもらう」
作戦を練るふたりの隣で横になっていると、足に何かが絡みついてくる。
「あ、甘栗…?」
可愛らしい声で鳴きながら、するすると腕の方にやってくる。
点滴をしていることを理解したのか、反対側の腕の側で丸くなった。
「すみません。遅くなりました」
話しかけながら、指先に当たるもふもふの体に少し安心する。
…誰かを護る為になら、蕀さんの力を借りてもいいだろうか。
借りている部屋に戻った瞬間、冬真さんは眉をひそめて私の方を見つめる。
そんな視線から逃げるように目を逸らした。
「ごめんなさい…」
「短期間に同じ場所を怪我する理由に心当たりはある?」
「…ごめんなさい」
流石に手から蕀さんたちを出しています、とは言えない。
だからといって嘘を吐くのもいけないと思うと、言葉が出てこなかった。
「冬真、そこまでにしてやってくれないか?」
「…言われなくても、これ以上困らせるようなことを言うつもりはない。
僕が怒らないといけない人はこの人だけじゃないから」
「どういうことですか?」
首を傾げていると、冬真さんは秋久さんに向き直る。
「あんな人数を倒したってことは、足に相当負担がかかってるはず。そこ座って」
「いや、俺は、」
「診察させてくれたら満足するから…お願い」
冬真さんの声には切なさが滲んでいて、秋久さんは苦笑いをしながら椅子に腰掛けた。
「分かった。それじゃあ頼むな、冬真」
足の調子を診てもらう様子を見ながら、自分の腕に繋がれたチューブを見つめる。
なかなか終わりそうになくて、冬真さんに迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思った。
「点滴が終わるまでもう少しかかるから、取り敢えずふたりの話を聞かせてほしい」
「あの男たちはディアボロのメンバーだ。だが、何人か捜査線上に浮上していない顔があった」
「…別の組織が関与してるかもしれないってこと?」
秋久さんの言葉に深刻さを感じる。
もし知らない人たちがいたら、カルテットを狙っているのはもっと沢山いるんじゃないか…そう考えると不安になった。
「お嬢ちゃん、そんな顔をしなくていい。他の組織が動いていたとしたら好都合だ」
「何か思いついたの?」
冬真さんの質問に秋久さんは丁寧に答えた。
「複数の組織が絡んでいるなら、集まった隙をついて一網打尽にするしかない。
だが、大きな組織がひとつで動いている場合より噂に流されやすいから、互いの信頼関係が綻びやすい」
「仲違いしやすいってことは、お互いで潰し合う可能性があるってことになるね」
「こっちは限られた人数で動かないといけないからな。少し気の毒な気もするが、相手にはばらばらになってもらう」
作戦を練るふたりの隣で横になっていると、足に何かが絡みついてくる。
「あ、甘栗…?」
可愛らしい声で鳴きながら、するすると腕の方にやってくる。
点滴をしていることを理解したのか、反対側の腕の側で丸くなった。
「すみません。遅くなりました」
話しかけながら、指先に当たるもふもふの体に少し安心する。
…誰かを護る為になら、蕀さんの力を借りてもいいだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる