裏世界の蕀姫

黒蝶

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秋久ルート

第52話

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「どうしたらこんな酷い貧血状態になるの?」
借りている部屋に戻った瞬間、冬真さんは眉をひそめて私の方を見つめる。
そんな視線から逃げるように目を逸らした。
「ごめんなさい…」
「短期間に同じ場所を怪我する理由に心当たりはある?」
「…ごめんなさい」
流石に手から蕀さんたちを出しています、とは言えない。
だからといって嘘を吐くのもいけないと思うと、言葉が出てこなかった。
「冬真、そこまでにしてやってくれないか?」
「…言われなくても、これ以上困らせるようなことを言うつもりはない。
僕が怒らないといけない人はこの人だけじゃないから」
「どういうことですか?」
首を傾げていると、冬真さんは秋久さんに向き直る。
「あんな人数を倒したってことは、足に相当負担がかかってるはず。そこ座って」
「いや、俺は、」
「診察させてくれたら満足するから…お願い」
冬真さんの声には切なさが滲んでいて、秋久さんは苦笑いをしながら椅子に腰掛けた。
「分かった。それじゃあ頼むな、冬真」
足の調子を診てもらう様子を見ながら、自分の腕に繋がれたチューブを見つめる。
なかなか終わりそうになくて、冬真さんに迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思った。
「点滴が終わるまでもう少しかかるから、取り敢えずふたりの話を聞かせてほしい」
「あの男たちはディアボロのメンバーだ。だが、何人か捜査線上に浮上していない顔があった」
「…別の組織が関与してるかもしれないってこと?」
秋久さんの言葉に深刻さを感じる。
もし知らない人たちがいたら、カルテットを狙っているのはもっと沢山いるんじゃないか…そう考えると不安になった。
「お嬢ちゃん、そんな顔をしなくていい。他の組織が動いていたとしたら好都合だ」
「何か思いついたの?」
冬真さんの質問に秋久さんは丁寧に答えた。
「複数の組織が絡んでいるなら、集まった隙をついて一網打尽にするしかない。
だが、大きな組織がひとつで動いている場合より噂に流されやすいから、互いの信頼関係が綻びやすい」
「仲違いしやすいってことは、お互いで潰し合う可能性があるってことになるね」
「こっちは限られた人数で動かないといけないからな。少し気の毒な気もするが、相手にはばらばらになってもらう」
作戦を練るふたりの隣で横になっていると、足に何かが絡みついてくる。
「あ、甘栗…?」
可愛らしい声で鳴きながら、するすると腕の方にやってくる。
点滴をしていることを理解したのか、反対側の腕の側で丸くなった。
「すみません。遅くなりました」
話しかけながら、指先に当たるもふもふの体に少し安心する。
…誰かを護る為になら、蕀さんの力を借りてもいいだろうか。
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