裏世界の蕀姫

黒蝶

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秋久ルート

第58.5話

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「つまり、カルナが協力してくれたってこと?」
「そうなるな」
冬真は安堵したように息を吐く。
「それならちょっと安心かな。もうディアボロには後がなくなったってことだから」
「そうとは限らないんじゃないか?」
「どういうこと?」
たしかに冬真がそう感じるのも分かる。
だが、俺にはどうしてもそう思えなかった。
「次ホーソーンに見つかったらディアボロは終わるだろう。
だが、他の奴等と手を組んでいるならきっと終わらない。ディアボロが持っていた薬もそいつらが引き継いだら終わりだろ?」
「そっか…まだ終わらないんだね」
冬真が肩を落とすのも当然だ。
この一件があまりに長引けば、他の依頼を受けられなくなるかもしれない。
そつなってくるとカルテットの存在意義がなくなってしまう。
「本当にすまない。もっと大学に行く時間を作ってやりたいのに、こんなことに巻きこんで…」
「いいんだ。ただ頑張りたいだけだから」
「お待たせしました」
春人が夏彦の腕をひきながらやってくる。
ふたりの表情があまりに違いすぎて訊かずにはいられなかった。
「何かあったのか?」
「実は、ディアボロに色々なものを渡している存在が少し見えてきたんです。ただ…」
春人の不安そうな顔で何が言いたいのか理解した。
冬真も何かを察知したのか立ちあがる。
「お茶、淹れてくるね。春人さんも来て」
「分かりました」
ふたりがこの場を離れたのを確認して、憎悪がこもった目をしている夏彦に話しかけた。
「…まさかとは思うが、蔡原さいばらの家か?」
しばらく沈黙が続いていたが、夏彦はゆっくり話しはじめた。
「俺があの家についてずっと調べてたのは知ってるでしょ?そのときたまたま出てきたんだ」
分厚い書類が投げ出され、それに素早く目を通す。
そこに書かれていたのは間違いなく薬の精製法についてだった。
「つまり、あの家がディアボロに入れ知恵した結果が今ってことか」
「あの屑どもを駆逐したい」
その目は闇に覆われている。
「夏樹はそんなことを望んでいない。何よりおまえが傷つくのは嫌なんだ」
「そんなこと言ってられない。俺今ブチギレてるんだ。…今ならアッキーが相手でも殺せそうだよ」
その言葉には迷いがない。
ここで止められなかったら、夏彦は本気で相手のところに乗りこむだろう。
「…取り敢えず一旦冷静になれ。証拠があってもやったって認めさせるのが難しい相手なんだ。
もう少し様子を見ないとのらりくらりかわされるぞ」
「それもそっか。…今日は我慢するよ」
今日はということは近々動くつもりだろう。
夏樹にできなかったことをやろうと決めたあの日から、俺の意志は変わらない。
……ただ、近いうちに俺の後悔と夏彦の憎悪を清算することになりそうだ。
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