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1人向け・看病系
何も聞かないから(クラシオンシリーズです)
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さて、もうそろそろ閉めておかないとまずいことになりそうだな...。
こんな森の奥だと色々なものが近づいてきてしまうし、最近町で俺の店についておかしな噂がたっているようだしね。
あれ?あそこで誰か襲われてる?...行ってみるか。
こんばんは。こんな夜更けにこんな場所にいるのはおすすめできませんよ。
どうしてそんな泣きそうな顔をして...おっと。
寝てる、訳じゃなさそうだな。...とにかく店まで運んでおけば、さっきの何かに襲われるようなこともないだろう。
それにしても...最近うちにやってくる人間たちは、どうして沢山傷つけられているんだろう。
目が覚めたみたいだね。
失礼します。...ああ、無理に体を起こさないでください。
お客様を大切にするのも、この店での仕事ですから。
ここは俺の店で、お客様はさっきここよりもさらに山奥で倒れました。
物凄く体調がみたいだし、今夜は無理に下山せずに眠っていればいい。
ただ、もし眠れないようなら食べられそうなものを持ってきますね。
それでは、少々お待ちください。
...おまたせしました。お茶漬けとおじや、どっちが食べたい?なんて、失礼なことを聞くつもりはないよ。
どっちも賄いメニューで申し訳ないんだけど、多分おじやの方が美味しいからどうぞ。
体、起こせそうですか?それならよかった。...俺もここで食べていいかな?
ありがとう。それじゃあ、いただきます。
やっぱり炊飯器に中途半端に残ったご飯はこうやって食べるに限る...。
よかった、やっと笑ってくれた。
さっきはかなり思い詰めたような顔をしていたから、何かあったんだろうなって思ったんだ。
それよりも腕は平気?スプーンを持つ手が震えてるけど...大丈夫、こうやって支えてるから。
君のはちゃんとお米から炊いたんだけど、もしかして美味しくない?
...そうか、それなら食べられるだけ食べてね。
食べずにいたら栄養失調になりかねないから...しっかり食べて。
ご飯、どのくらい食べてないの?...え、そんなに!?
あんまり眠れてなさそうだけど、他に欲しいものはある?
俺に用意できるものならなんでもするけど...え、裁縫道具?
...もしよければ、新しい服を用意しようか?
やっぱり。膝のあたりが破れているから縫うつもりなんじゃないかって思ったんだけど...。
それから、包帯は新しいのに換えておいたから...どうして泣いてるの?
優しい?俺はただ、俺がやりたいことをやっているだけだよ。
怪我の理由も聞かれたくないなら聞かないし、話したくないなら何も言わなくていい。
泣くだけ泣いてもいいし、寝たくないなら寝なくていい。
...ただ、ここでゆっくり休んでほしいんだ。
ここはその為の場所だから...独りで抱えて、我慢しなくてもいいんだよ。
これで涙をふいて。いくら泣いても、誰も君を責めたりしないから。
それではゆっくりお休みくださいませ。
やっと少し落ち着いてくれたみたいでよかった。
...家族からの暴力か。人間ってどうしてあんな残酷なことができるんだろうな...。
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彼女にとって、『クラシオン』は居場所になり得る場所でした。
ここからどんなふうになっていくのかは、ふたりのみぞ知る話です。
こんな森の奥だと色々なものが近づいてきてしまうし、最近町で俺の店についておかしな噂がたっているようだしね。
あれ?あそこで誰か襲われてる?...行ってみるか。
こんばんは。こんな夜更けにこんな場所にいるのはおすすめできませんよ。
どうしてそんな泣きそうな顔をして...おっと。
寝てる、訳じゃなさそうだな。...とにかく店まで運んでおけば、さっきの何かに襲われるようなこともないだろう。
それにしても...最近うちにやってくる人間たちは、どうして沢山傷つけられているんだろう。
目が覚めたみたいだね。
失礼します。...ああ、無理に体を起こさないでください。
お客様を大切にするのも、この店での仕事ですから。
ここは俺の店で、お客様はさっきここよりもさらに山奥で倒れました。
物凄く体調がみたいだし、今夜は無理に下山せずに眠っていればいい。
ただ、もし眠れないようなら食べられそうなものを持ってきますね。
それでは、少々お待ちください。
...おまたせしました。お茶漬けとおじや、どっちが食べたい?なんて、失礼なことを聞くつもりはないよ。
どっちも賄いメニューで申し訳ないんだけど、多分おじやの方が美味しいからどうぞ。
体、起こせそうですか?それならよかった。...俺もここで食べていいかな?
ありがとう。それじゃあ、いただきます。
やっぱり炊飯器に中途半端に残ったご飯はこうやって食べるに限る...。
よかった、やっと笑ってくれた。
さっきはかなり思い詰めたような顔をしていたから、何かあったんだろうなって思ったんだ。
それよりも腕は平気?スプーンを持つ手が震えてるけど...大丈夫、こうやって支えてるから。
君のはちゃんとお米から炊いたんだけど、もしかして美味しくない?
...そうか、それなら食べられるだけ食べてね。
食べずにいたら栄養失調になりかねないから...しっかり食べて。
ご飯、どのくらい食べてないの?...え、そんなに!?
あんまり眠れてなさそうだけど、他に欲しいものはある?
俺に用意できるものならなんでもするけど...え、裁縫道具?
...もしよければ、新しい服を用意しようか?
やっぱり。膝のあたりが破れているから縫うつもりなんじゃないかって思ったんだけど...。
それから、包帯は新しいのに換えておいたから...どうして泣いてるの?
優しい?俺はただ、俺がやりたいことをやっているだけだよ。
怪我の理由も聞かれたくないなら聞かないし、話したくないなら何も言わなくていい。
泣くだけ泣いてもいいし、寝たくないなら寝なくていい。
...ただ、ここでゆっくり休んでほしいんだ。
ここはその為の場所だから...独りで抱えて、我慢しなくてもいいんだよ。
これで涙をふいて。いくら泣いても、誰も君を責めたりしないから。
それではゆっくりお休みくださいませ。
やっと少し落ち着いてくれたみたいでよかった。
...家族からの暴力か。人間ってどうしてあんな残酷なことができるんだろうな...。
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彼女にとって、『クラシオン』は居場所になり得る場所でした。
ここからどんなふうになっていくのかは、ふたりのみぞ知る話です。
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