物置小屋

黒蝶

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1人向け・看病系

旅路に必要なもの(失声症の恋人)

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デート、楽しかったね。
あと少し坂をのぼれば、綺麗な夜景が見られるはずなんだけど...どうかしたの?
さっきから全然話しかけてこないから...。
ここなら明かりがあるし、話したいことがあるときはゆっくりでいいからちゃんと教えてね。
え、『足が痛くなってきた』!?取り敢えずそこに座ってて。
怖いかもしれないけど、少しだけ待っててね。

...おまたせ。きょとんとした顔をしても駄目だよ。
いつから靴が壊れてたの?
首をかしげてるってことは、もしかして知らないうちにこうなってた?
...ごめん。俺の好みで申し訳ないんだけど、靴を買ってきたんだ。
でも、そのまま歩くのは危ないからここから天体観測をするのはどうかな?
それから、足を冷やした方がいいと思って色々買ってきたよ。
...?どうしてそんなに申し訳なさそうな顔をしているの?
『私のせいで景色のいい場所まで行けないから』...それはまた今度でもできるし、ここから見える景色も充分綺麗だよ。
沢山星が見えるし、すごく輝いてる。
無理をさせてごめんね。...『ありがとう』なんて言ってもらえるほどのことはしてないよ。
でも、暗いところに行くのはまだ早かったかもしれないね。
まさか今度は筆談ノートのバッテリーが切れるとは...。
今度のはちゃんと動いてくれるからよかったけど、もっと充電しておかないといけなかったのかもしれないね。
でも、俺はこうやって毎日一緒に話せるだけで楽しい。
どんなに不自由なことがあっても、君の気持ちをたくさん知ることができるのはすごく嬉しいんだ。
『ありがとう。大好き』...いきなりそういうことを言うのは禁止っていつも言ってるのに...。
もう少し冷やしてから、このスニーカーをはいてみて。
多分サイズはこれで合ってるはずだから。
またきょとんとしてるけど、どうしたの?『靴のサイズまで知られているとは思わなかった』って...それくらいは分かるよ。
なんとなくだから、もしかするとぴったりとまではいかないかもしれないけどね。
あとは靴擦れしちゃってるところに絆創膏を貼って...はい、完成。
靴、ぴったりだったみたいでよかった。
それに、今日の服にすごく合ってると思う。
喜んでもらえたみたいでよかった。
『これなら走れそう』、か...駄目。
メモ用紙はしっかり鞄にしまってて。それで...よっと。
また軽くなったような気がするけど、もしかして痩せた?
痩せすぎなような気がするんだけど...。
話なら後でちゃんと聞くから、今はこのまま一緒に帰ろう。
星見にはまた今度、別の場所に行こう。君と見られるなら、きっとどんなところでも楽しいから。
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数年履いた靴が壊れてしまったので綴ってみました。
まさか底が抜けるなんてことがあるとは思わず、少し驚きました。
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