物置小屋

１人向け・慰め系

いつか苦しみを(箱庭-2)

お疲れ様。なんだか疲れた顔してるけど、嫌なことでもあった？
…そっか。また苦しかったことを思い出しちゃったんだね。
僕にできることはある？…分かった。それならご飯の用意をするよ。
食べたいものがあるなら作るよ。何がいい？
…分かった。思い出の味なら、多分ここにあるはず。少し待っててね。

おまたせ。完成したけど食べられそう？
君の大切な味、ちゃんと残ってたよ。
きっと君の心に深く残っているんだろうね。そうじゃないと、いくら箱庭とはいえ現れたりしないだろうから。
嫌なことがあったときは、美味しいものを食べてゆっくりするに限るよ。
いただきます。…ごめん。急に手を上にあげたら驚くよね。
僕が怒鳴ったりしないの、知ってるでしょ？
だけどやっぱり、怖いものは怖いよね。
…頭、撫でてもいい？謝らないで。
君はずっと現実で苦しんできて、だからこの箱庭が生まれて…、現実に戻りたくないって思ってる。
そのくらい追いつめられて、それでもここで必死に生きていてくれるだけで僕は嬉しいよ。
信じてもらえないんじゃないかと思っていたのに、君が僕の手をとってくれて、今も一緒にいられてすごく楽しい。
何もなかった僕にも、少しは心が芽生えてきたみたいだ。
…君が望んでくれるなら、これからも一緒にいさせて。
いつか怖いことを思い出す日がなくなるように、側で支えるよ。
たとえ君が現実に戻りたいと願う日がきても、ずっと味方でいるから。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
箱庭-2で綴ってみました。