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第13章『来訪者』
第66話
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「私は何をすればいい?」
担当のお客様がいなかったこの日、氷雨君に真っ直ぐ疑問をぶつける。
「死者還りは危険だから、別に何もしなくていい」
「何かやらせてほしい」
「…考えておく」
氷雨君の後をついていくと、車両と車両の間で突然立ち止まる。
「それよりも、今は目の前の仕事に集中して。じゃないと死ぬことになるから」
「どういうこと?」
「…どうしてこんなに巡回の数を増やしているんだと思う?」
いつも車両内を見回る人はいるけど、たしかに今夜は人数が増えている気がする。
「問題がおこりそうだから?」
「半分当たり。この時期は死者が増えるんだ。…世の中に絶望した人たちがね」
夜空を走っているのに、突然扉が開いてお客様が乗りこんでくる。
今まで途中で停まることなんてなかったから、驚いてその光景を見ていることしかできない。
「あの人たちは今夜突然亡くなった人たちだ。切符を持っていないし、緊急だから座席も決まっていない」
「えっと…」
話しかけようとしたけど、上手く言葉にできない。
「毛布持ってきて」
「あ、うん」
その場にいる人たちは、寒いと言っている人と熱いと言っている人に分かれている。
氷雨君はじっと見つめて小さく呟く。
「多分多重事故だ。車が燃えた人や近くにいて押しつぶされた人、勢いよくぶつかられて海か川に落ちた人もいるんだと思う」
「どうして分かるの?」
「経験則。…お客様、よろしければお食事をお持ちいたします」
しばらく冷たい飲み物や温かい飲み物、ご飯やおやつを注文する人で溢れかえっていたけど、氷雨君が指示を出してくれたおかげで今は全員席についている。
「この人たちは大半が死んでいることに気づいてる」
「そうなんだ。…気づいてない人のサポート、できるかな?」
「やるしかない。データがないってことはそれだけ突然だったってことだから」
支え合う子どもたちに、互いを労る大人、怖かった記憶が呼び起こされたのか泣いてしまう人もいる。
そのなかで、どこの輪にも入ろうとしない少女の姿が目に入った。
「あ、あの、飲み物はいかがですか?」
《…それ、私に言ってます?》
「はい。もし必要なものがあるなら、」
《温かいお茶をください》
「かしこまりました」
ずっと床に座っているのが不思議で、大型ワゴンの中にあった車椅子を取り出す。
「座れますか?」
《足が悪いのもお見通しなんだ…。ありがとう》
「い、いえ」
少女はずるずると体を引きずるようにして、なんとか車椅子に座る。
《できれば人から離れたいから、後ろの席にしてくれる?》
「かしこまりました」
人が全くいない一角まで車椅子を押すと、笑顔でお礼を言われる。
少女の顔には大きな痣があった。
担当のお客様がいなかったこの日、氷雨君に真っ直ぐ疑問をぶつける。
「死者還りは危険だから、別に何もしなくていい」
「何かやらせてほしい」
「…考えておく」
氷雨君の後をついていくと、車両と車両の間で突然立ち止まる。
「それよりも、今は目の前の仕事に集中して。じゃないと死ぬことになるから」
「どういうこと?」
「…どうしてこんなに巡回の数を増やしているんだと思う?」
いつも車両内を見回る人はいるけど、たしかに今夜は人数が増えている気がする。
「問題がおこりそうだから?」
「半分当たり。この時期は死者が増えるんだ。…世の中に絶望した人たちがね」
夜空を走っているのに、突然扉が開いてお客様が乗りこんでくる。
今まで途中で停まることなんてなかったから、驚いてその光景を見ていることしかできない。
「あの人たちは今夜突然亡くなった人たちだ。切符を持っていないし、緊急だから座席も決まっていない」
「えっと…」
話しかけようとしたけど、上手く言葉にできない。
「毛布持ってきて」
「あ、うん」
その場にいる人たちは、寒いと言っている人と熱いと言っている人に分かれている。
氷雨君はじっと見つめて小さく呟く。
「多分多重事故だ。車が燃えた人や近くにいて押しつぶされた人、勢いよくぶつかられて海か川に落ちた人もいるんだと思う」
「どうして分かるの?」
「経験則。…お客様、よろしければお食事をお持ちいたします」
しばらく冷たい飲み物や温かい飲み物、ご飯やおやつを注文する人で溢れかえっていたけど、氷雨君が指示を出してくれたおかげで今は全員席についている。
「この人たちは大半が死んでいることに気づいてる」
「そうなんだ。…気づいてない人のサポート、できるかな?」
「やるしかない。データがないってことはそれだけ突然だったってことだから」
支え合う子どもたちに、互いを労る大人、怖かった記憶が呼び起こされたのか泣いてしまう人もいる。
そのなかで、どこの輪にも入ろうとしない少女の姿が目に入った。
「あ、あの、飲み物はいかがですか?」
《…それ、私に言ってます?》
「はい。もし必要なものがあるなら、」
《温かいお茶をください》
「かしこまりました」
ずっと床に座っているのが不思議で、大型ワゴンの中にあった車椅子を取り出す。
「座れますか?」
《足が悪いのもお見通しなんだ…。ありがとう》
「い、いえ」
少女はずるずると体を引きずるようにして、なんとか車椅子に座る。
《できれば人から離れたいから、後ろの席にしてくれる?》
「かしこまりました」
人が全くいない一角まで車椅子を押すと、笑顔でお礼を言われる。
少女の顔には大きな痣があった。
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