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第13章『来訪者』
第69話
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《できた…》
「お疲れ様です」
少女は何度かお茶をおかわりしながら、なんとか書き終えた。
《あなたは懐が深いのね。あんなに酷いことをしたのに…》
申し訳なさそうにしている少女の肩に手をおいて、できるだけ口角をあげて声をかけた。
「大丈夫です。お客様が悪い人だったら、私にもっと酷いことをしていたと思います」
《…ありがとう》
今回はなんとか氷雨君に迷惑をかけずに自力で解決できた。
「それでは、いってらっしゃいませ」
ほとんどの人が降りた後、ゆっくり車椅子を押して少女をおろす。
彼女は最後まで穏やかな表情を浮かべていた。
「…幸せになれるといいな」
「あの子ならなれる」
いつの間にか後ろに立っていた氷雨君に声をかけられる。
「首の痕、なんとかした方がいい」
「後で隠す方法を探してみるよ」
少し暑いかもしれないけど、カッターシャツの上までボタンをしめれば見えないだろう。
「…あのお客様も暴走車が原因で亡くなられた方だった?」
「それ以外にも原因があったよ」
もし、クラスの人間に遭遇しなければ死なずにすんだかもしれない。
そう考えた瞬間、少女が話していた人物のことが気になりだす。
「いつもお世話してくれている人がいたって言ってた」
「…そう」
このままだとその人が自分を責め続けることになるかもしれない。
「そういえば、これ…」
「お客様の手紙?」
「うん」
何故かは分からないけど、お客様から手紙を預かったときは氷雨君に渡すことになっている。
「あの、手紙ってどうしてるの?」
「それは──」
列車が折り返すのと同時に激しい頭痛に襲われる。
「大丈夫。俺が支えるから」
その言葉を最後に意識がぷっつりと途切れた。
「おい、伊藤!早くどけよ!」
「これ以上スピードを出せないから、もう少し、」
「この速水様に逆らおうってのか?ああん?」
車椅子の少女は手を震わせながら自力でなんとかしようとしている。
エレベーターに乗った後も表情が曇っていた。
その後すぐ、今度は別の生徒にこそこそ悪口を言われている。
「見た?あの顔」
「やばくない?化け物じゃん」
げたげた嗤う生徒に思いやりの心なんて欠片も感じない。
こんな環境のなか、少女は前を向いていたのだ。
「菜穂さん、迎えに来ました」
「城之内さん、いつもありがとう」
「いえ。それより、その…帰ったらパフェを食べましょう。今日は買えたんです」
「本当?あんなに人気のお店なのに…」
城之内さんという人は、20代くらいの爽やかなお姉さんだった。
ふたりは友人というより、家族に近い関係だったのかもしれない。
「もう敬語はやめて。距離を感じるから」
「……ごめんなさい。どうしてもかしこまっちゃって」
仲良さげなふたりはご飯とデザートを食べている。
この瞬間だけは少女も心から笑っているようだった。
「お疲れ様です」
少女は何度かお茶をおかわりしながら、なんとか書き終えた。
《あなたは懐が深いのね。あんなに酷いことをしたのに…》
申し訳なさそうにしている少女の肩に手をおいて、できるだけ口角をあげて声をかけた。
「大丈夫です。お客様が悪い人だったら、私にもっと酷いことをしていたと思います」
《…ありがとう》
今回はなんとか氷雨君に迷惑をかけずに自力で解決できた。
「それでは、いってらっしゃいませ」
ほとんどの人が降りた後、ゆっくり車椅子を押して少女をおろす。
彼女は最後まで穏やかな表情を浮かべていた。
「…幸せになれるといいな」
「あの子ならなれる」
いつの間にか後ろに立っていた氷雨君に声をかけられる。
「首の痕、なんとかした方がいい」
「後で隠す方法を探してみるよ」
少し暑いかもしれないけど、カッターシャツの上までボタンをしめれば見えないだろう。
「…あのお客様も暴走車が原因で亡くなられた方だった?」
「それ以外にも原因があったよ」
もし、クラスの人間に遭遇しなければ死なずにすんだかもしれない。
そう考えた瞬間、少女が話していた人物のことが気になりだす。
「いつもお世話してくれている人がいたって言ってた」
「…そう」
このままだとその人が自分を責め続けることになるかもしれない。
「そういえば、これ…」
「お客様の手紙?」
「うん」
何故かは分からないけど、お客様から手紙を預かったときは氷雨君に渡すことになっている。
「あの、手紙ってどうしてるの?」
「それは──」
列車が折り返すのと同時に激しい頭痛に襲われる。
「大丈夫。俺が支えるから」
その言葉を最後に意識がぷっつりと途切れた。
「おい、伊藤!早くどけよ!」
「これ以上スピードを出せないから、もう少し、」
「この速水様に逆らおうってのか?ああん?」
車椅子の少女は手を震わせながら自力でなんとかしようとしている。
エレベーターに乗った後も表情が曇っていた。
その後すぐ、今度は別の生徒にこそこそ悪口を言われている。
「見た?あの顔」
「やばくない?化け物じゃん」
げたげた嗤う生徒に思いやりの心なんて欠片も感じない。
こんな環境のなか、少女は前を向いていたのだ。
「菜穂さん、迎えに来ました」
「城之内さん、いつもありがとう」
「いえ。それより、その…帰ったらパフェを食べましょう。今日は買えたんです」
「本当?あんなに人気のお店なのに…」
城之内さんという人は、20代くらいの爽やかなお姉さんだった。
ふたりは友人というより、家族に近い関係だったのかもしれない。
「もう敬語はやめて。距離を感じるから」
「……ごめんなさい。どうしてもかしこまっちゃって」
仲良さげなふたりはご飯とデザートを食べている。
この瞬間だけは少女も心から笑っているようだった。
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