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第17章『英雄譚』
第94話
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「あの、こちらになります」
《ありがとうございます。助かりました》
このあたりに学ランの学校はほとんどない。
男子生徒の顔が腫れているのは、死因に関係するのだろうか。
「な、何か、召しあがられませんか?」
《なんでも注文できるんですか?》
「はい。基本的には」
《それなら、豆乳オレください。友だちと飲みに行く約束してるので、どんな味か知りたくて…》
「かしこまりました」
急いで用意してサーブすると、男子学生は笑顔で受け取ってくれた。
《ありがとうございます。…成程、こういう味なのか》
初めて飲んだという彼は、何度か頷いて味わっている様子だった。
《友だちがいつも飲んでいて、美味しいと教えてくれたんです。まだあまり知っていることがないから嬉しくて…》
「ご、ご友人の話も含めて、お客さまのお話を聞かせていただけませんか?」
《俺の話なんてそんなに面白くないと思いますよ?》
「それでも聞きたいんです」
ここで話を聞けなかったら、目の前の男子生徒は自分が死んでいることに気づかないまま駅で降りることになってしまう。
男子生徒は思案した後、少しずつ話しはじめた。
《俺の学校には、いじめのようなものがあるんです。それで何人か転校してるんですが、徹底的に隠蔽されてしまって…》
どこでも同じなのかもしれない。
面倒事は関わらず、都合が悪いことには蓋をして隠す。
決して珍しくはない話だけど、もっと男子生徒の話を聞きたかった。
《最近は真面目そうなやつが目をつけられたんです。新田とは、そこから親しくなっていって…》
「新田さん、というんですね」
《はい。あいつ、すごくいい奴で、こんな見た目だから怖がられてる俺にも優しく接してくれて…すごくありがたいんです》
確かに大きな体をしているからから、少し怖く見えてしまうのかもしれない。
だけど、この人の目はすごく優しそうだ。
《だから方っておけなくて、何回か加害者たちと喧嘩しました》
「それで怪我をしたんですか…?」
《こんなのかすり傷ですよ。新田が無事ならそれでいい》
体を張ってまで助けたいと思ったのは、何か理由があるのだろうか。
「あ、あの…とても勇気がいることだと思うのですが、怖くなかったんですか?」
《全然!…というか俺、弟がいたんです。弟の友だちと親御さんで行ってたんですけど、あいつあんまり泳げないのに落とされた荷物を拾いに行ったみたいなんです。
そのとき深いところに入っちゃったみたいで、そのまま溺れて…。でも、他の大人や救急車を呼んでくれなかった》
そこで一旦言葉を切って、男子生徒は悲しそうに告げた。
《あの日、俺が体調を崩さなければ一緒に行って助けられたかもしれない…そう思ったんです。
もうあんな後悔をしないために、できる限りのことはしようって》
《ありがとうございます。助かりました》
このあたりに学ランの学校はほとんどない。
男子生徒の顔が腫れているのは、死因に関係するのだろうか。
「な、何か、召しあがられませんか?」
《なんでも注文できるんですか?》
「はい。基本的には」
《それなら、豆乳オレください。友だちと飲みに行く約束してるので、どんな味か知りたくて…》
「かしこまりました」
急いで用意してサーブすると、男子学生は笑顔で受け取ってくれた。
《ありがとうございます。…成程、こういう味なのか》
初めて飲んだという彼は、何度か頷いて味わっている様子だった。
《友だちがいつも飲んでいて、美味しいと教えてくれたんです。まだあまり知っていることがないから嬉しくて…》
「ご、ご友人の話も含めて、お客さまのお話を聞かせていただけませんか?」
《俺の話なんてそんなに面白くないと思いますよ?》
「それでも聞きたいんです」
ここで話を聞けなかったら、目の前の男子生徒は自分が死んでいることに気づかないまま駅で降りることになってしまう。
男子生徒は思案した後、少しずつ話しはじめた。
《俺の学校には、いじめのようなものがあるんです。それで何人か転校してるんですが、徹底的に隠蔽されてしまって…》
どこでも同じなのかもしれない。
面倒事は関わらず、都合が悪いことには蓋をして隠す。
決して珍しくはない話だけど、もっと男子生徒の話を聞きたかった。
《最近は真面目そうなやつが目をつけられたんです。新田とは、そこから親しくなっていって…》
「新田さん、というんですね」
《はい。あいつ、すごくいい奴で、こんな見た目だから怖がられてる俺にも優しく接してくれて…すごくありがたいんです》
確かに大きな体をしているからから、少し怖く見えてしまうのかもしれない。
だけど、この人の目はすごく優しそうだ。
《だから方っておけなくて、何回か加害者たちと喧嘩しました》
「それで怪我をしたんですか…?」
《こんなのかすり傷ですよ。新田が無事ならそれでいい》
体を張ってまで助けたいと思ったのは、何か理由があるのだろうか。
「あ、あの…とても勇気がいることだと思うのですが、怖くなかったんですか?」
《全然!…というか俺、弟がいたんです。弟の友だちと親御さんで行ってたんですけど、あいつあんまり泳げないのに落とされた荷物を拾いに行ったみたいなんです。
そのとき深いところに入っちゃったみたいで、そのまま溺れて…。でも、他の大人や救急車を呼んでくれなかった》
そこで一旦言葉を切って、男子生徒は悲しそうに告げた。
《あの日、俺が体調を崩さなければ一緒に行って助けられたかもしれない…そう思ったんです。
もうあんな後悔をしないために、できる限りのことはしようって》
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