皓皓、天翔ける

黒蝶

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第23章『凍えそうな季節から』

第133話

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突然すぎる展開に、頭がついていけていない。
嫌がらせの首謀者がカンニングをしていて、それでもお客様には敵わなくて…だから嫉妬した、ということでいいんだろうか。
《正直に話すよう言ったら、雪ヶ崎公園に来てほしいって言われたんです》
雪ヶ崎公園というのは、このあたりではそこそこ有名な場所だ。
ただ、この時期は積雪量が多くなるから滅多に人が近づかない。
《俺は自首の手伝いをするんだって思っていました。でも、外から鍵をかけられて…そうだ、俺、その場所が寒くて寒くて、耐えられなくて…。
開けてって言っても返事はないし、スマホもバッテリー切れで助けを呼べなかった。…ここは天国ですか?》
お客様は自らの死を自覚したらしい。
「…この列車は、お客様にさいごの旅を楽しんでいただくためにはしっています」
《そうなんですね。…やっぱり俺、死んじゃったんだ》
少年の表情がしおれていくのを、申し訳ない気持ちで見つめる。
《俺はあの後見つけられたんですか?》
「申し訳ありません。そこまでは分からなくて…」
本当はちゃんと答えたいけど、嘘を吐きたくない。
何か方法はないか思案していると、後ろから声をかけられた。
「お客様、どうされました?」
氷雨君が声をかけた瞬間、少年は固まってしまった。
「あ、あの…お客様は人と話すときに緊張してしまうみたいで…」
「そうでしたか。何かご希望がありましたら遠慮なくおっしゃってください」
少年はしばらく黙っていたけど、かいつまんで事情を話していた。
カフェオレのおかわりを用意しながら少し聞かせてもらう。
《俺は小屋に閉じこめられて死んだんですけど、その、えっと…その後どうなっているのか知りたいんです》
「つまり、あなたが発見されたかどうか知りたいということですか?」
《はい…》
「…でしたら、こちらの記事をご覧ください」
氷雨君は新聞の切り抜きをポケットから取り出して、少年に渡す。
そこには、【少年の変死体発見 凍死か】という見出しが大きく載っている。
《あ…死んだことは認識されたんですね。俺なんかいなくても誰にも分からないはずなのに》
少年は寂しそうにそう小さく呟く。
氷雨君はすぐそれを否定した。
「あなたを大切に想っている方は、案外近くにいるかも知れませんよ」
《え…?ど、どういうことですか?》
「あなたが大切だから、あなたの死を悲しんでいる方がいらっしゃいます」
《俺には、誰も…》
自信なさげな少年に、氷雨君はいつもの姿見を持ってきた。
「ここに映し出されるのは事実のみです。…ご覧になってください」
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