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第27章『散り桜』
閑話『星まで届くように』
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矢田さんから渡された色紙には、見覚えのある文字が並んでいた。
【星影さん、いつもありがとう。整備班一同、美味しいお菓子で元気をもらっています】
整備班の人たちと話すのは、毎晩列車を降りるときと早めに駅についたときだけだ。
それに、どうしても人見知りを発動してしまって上手く話せない。
そんななか、声をかけてくれたことがある。
仕事に慣れていない私に、頑張れと声をかけてくれた。
それからお礼につまめるお菓子やコーヒーを差し入れたことがあった。
「あ、あの、迷惑だったら捨ててください」
《いやいや、まさか!こんなものをもらったのが初めてでびっくりしただけだよ。ありがとう、みんなでいただくよ》
それから時々話すことはあったけど、最近はおばさんのところへ立ち寄る時間が長くなって顔を合わせなくなっていた。
【シェフとして料理を褒められるのは素直に嬉しい】
それは、食堂車にいるシェフからの言葉だ。
料理を作るところを見せてほしいとお願いしたけど断られてしまった。
《企業秘密だ》
「そう、ですか…」
《…まあ、味見はしていっていい》
そう言って作ってくれたサンドイッチは、今まで食べた中で1番美味しいサンドイッチだった。
「美味しい…。こんなに美味しいものが食べられるなら、きっとお客様も笑顔になりますね」
《…そうか》
無口な人だと聞いていたけど、掃除をしていると時々声をかけてくれた。
【また元気になったら一緒にお菓子でも食べようね!】
【氷空ちゃん、いつも雪のことをありがとう】
長田さんと矢田さんにも、沢山お世話になっている。
…やっぱり、ここにいると独りじゃないんだと感じた。
【氷空ちゃん
いつもお見舞いに来てくれたおかげで、私は寂しくありませんでした。本当にありがとう。
これから沢山寂しい思いをさせてしまうかもしれないけど、私はあなたの笑顔が大好きよ。
あなたはあなたの幸せを見つけて、これから先も笑っていてください】
「おばさん…」
「君が知らないだけで、色々な人たちが救われているんだ。…俺も含めて」
絶対に泣かないって決めていたのに、もう堪えられない。
ぽろぽろと零れる涙を、氷雨君がそっと拭ってくれる。
「返さなくていいから」
「え…」
ハンカチを渡されて、何も聞かずに受け取ってしまった。
氷雨君は私を真っ直ぐ見つめて問いかける。
「君は、まだ仕事を続けたい?」
「…ここにいていいなら、少しでも誰かを笑顔にしたい」
「分かった。ならこれ」
いつものバッジより少しきらきらした星が特徴的なバッジを渡される。
「この仕事には色々権限がある。…それを1段階上げる」
「いいの?」
「君の仕事ぶりを評価する。あと、仲間からの信頼の証」
おばさんくらい周りの人たちを笑顔にするのは難しいと思う。
それでも、私は──
「ありがとう」
「…そろそろ帰らないとまずい」
「分かった。それじゃあ、また今夜」
列車を降りて空を見る。
星がひとつ輝いていて、道を示してくれているような気がした。
【星影さん、いつもありがとう。整備班一同、美味しいお菓子で元気をもらっています】
整備班の人たちと話すのは、毎晩列車を降りるときと早めに駅についたときだけだ。
それに、どうしても人見知りを発動してしまって上手く話せない。
そんななか、声をかけてくれたことがある。
仕事に慣れていない私に、頑張れと声をかけてくれた。
それからお礼につまめるお菓子やコーヒーを差し入れたことがあった。
「あ、あの、迷惑だったら捨ててください」
《いやいや、まさか!こんなものをもらったのが初めてでびっくりしただけだよ。ありがとう、みんなでいただくよ》
それから時々話すことはあったけど、最近はおばさんのところへ立ち寄る時間が長くなって顔を合わせなくなっていた。
【シェフとして料理を褒められるのは素直に嬉しい】
それは、食堂車にいるシェフからの言葉だ。
料理を作るところを見せてほしいとお願いしたけど断られてしまった。
《企業秘密だ》
「そう、ですか…」
《…まあ、味見はしていっていい》
そう言って作ってくれたサンドイッチは、今まで食べた中で1番美味しいサンドイッチだった。
「美味しい…。こんなに美味しいものが食べられるなら、きっとお客様も笑顔になりますね」
《…そうか》
無口な人だと聞いていたけど、掃除をしていると時々声をかけてくれた。
【また元気になったら一緒にお菓子でも食べようね!】
【氷空ちゃん、いつも雪のことをありがとう】
長田さんと矢田さんにも、沢山お世話になっている。
…やっぱり、ここにいると独りじゃないんだと感じた。
【氷空ちゃん
いつもお見舞いに来てくれたおかげで、私は寂しくありませんでした。本当にありがとう。
これから沢山寂しい思いをさせてしまうかもしれないけど、私はあなたの笑顔が大好きよ。
あなたはあなたの幸せを見つけて、これから先も笑っていてください】
「おばさん…」
「君が知らないだけで、色々な人たちが救われているんだ。…俺も含めて」
絶対に泣かないって決めていたのに、もう堪えられない。
ぽろぽろと零れる涙を、氷雨君がそっと拭ってくれる。
「返さなくていいから」
「え…」
ハンカチを渡されて、何も聞かずに受け取ってしまった。
氷雨君は私を真っ直ぐ見つめて問いかける。
「君は、まだ仕事を続けたい?」
「…ここにいていいなら、少しでも誰かを笑顔にしたい」
「分かった。ならこれ」
いつものバッジより少しきらきらした星が特徴的なバッジを渡される。
「この仕事には色々権限がある。…それを1段階上げる」
「いいの?」
「君の仕事ぶりを評価する。あと、仲間からの信頼の証」
おばさんくらい周りの人たちを笑顔にするのは難しいと思う。
それでも、私は──
「ありがとう」
「…そろそろ帰らないとまずい」
「分かった。それじゃあ、また今夜」
列車を降りて空を見る。
星がひとつ輝いていて、道を示してくれているような気がした。
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