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第30章『満たされない感情』
第180話
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「お客様、大変おまたせしました」
《ありがとうございます。もうすぐ手紙を書き終えるので、それから食べちゃいますね》
少女はさっきよりすっきりした顔をしていて、それだけが救いだった。
《美味しい…。あの喫茶店の味がする》
「喜んでいただけたようでよかったです」
《すごく美味しいです。それから、手紙をしっかり書きました》
そこには、大切な人に対する気持ちがこめられているのだろう。
「たしかにお預かりしました」
《ありがとうございました。できることは全部やれたはず。…これで満足です》
少女はにっこり笑って、安心したように降りていった。
車両を確認していると、後ろから騒ぎ声が聞こえる。
《モモは悪くない!》
──嗚呼、またあの人か。
「あなたが悪くないと思っているならそれで構いません」
《もういいでしょ、離してよ!》
私はその人に近づいて、目の前を凍らせた。
《ひっ…》
足が痛い。腕もぴりぴりする。
それでも、私にできることを考えたい。
「……あなたは、とても可哀想な方ですね」
《モモが、可哀想?》
「人が嫌がることをしてはいけませんって、誰にも教えてもらえなかったのでしょう?
誰からの愛も受け取れなかったから、今の状況に陥っているんですよね…?」
《そんなこと…》
お客様相手なのに、どうしても言葉を止められなかった。
「いつか、あなたの愛を受け止めてくれる方が現れることを祈っています」
《うるさい!黙れ!》
「すみません。こちらのお客様はかなり興奮状態でして…おまかせしてもよろしいでしょうか?」
なんだか強そうな駅員さんたちが現れて、そのまま連行されていく。
怒られると思っていたのに、氷雨君はただ微笑んでいた。
「まさかあそこまではっきり言っちゃうとは…」
「ごめんなさい。やっぱりあの態度はまずかったよね」
「いや、あれでいい。話が通じない相手にはがつんと言っていいと思う。それに、嘘は言ってないから」
いつも以上にお客様に感情移入してしまった気がする。
これでよかったのか分からない。
「それに、君が怒らなかったら俺が爆発してたかもしれない。
そうなる前にあのお客様に伝わるように話してくれて助かった」
氷雨君の言葉に安心していると、全身からふっと力が抜ける。
そのまま倒れそうになった私を氷雨君が支えてくれた。
「怪我してるの?」
「…ん、少し、」
「少しなんてものじゃない。そのまま動かないで」
自分が思っていた以上に重傷だったらしくて、体に激痛がはしるのを感じながらぎゅっと目を閉じる。
そこまでで意識がぷっつり途切れた。
《ありがとうございます。もうすぐ手紙を書き終えるので、それから食べちゃいますね》
少女はさっきよりすっきりした顔をしていて、それだけが救いだった。
《美味しい…。あの喫茶店の味がする》
「喜んでいただけたようでよかったです」
《すごく美味しいです。それから、手紙をしっかり書きました》
そこには、大切な人に対する気持ちがこめられているのだろう。
「たしかにお預かりしました」
《ありがとうございました。できることは全部やれたはず。…これで満足です》
少女はにっこり笑って、安心したように降りていった。
車両を確認していると、後ろから騒ぎ声が聞こえる。
《モモは悪くない!》
──嗚呼、またあの人か。
「あなたが悪くないと思っているならそれで構いません」
《もういいでしょ、離してよ!》
私はその人に近づいて、目の前を凍らせた。
《ひっ…》
足が痛い。腕もぴりぴりする。
それでも、私にできることを考えたい。
「……あなたは、とても可哀想な方ですね」
《モモが、可哀想?》
「人が嫌がることをしてはいけませんって、誰にも教えてもらえなかったのでしょう?
誰からの愛も受け取れなかったから、今の状況に陥っているんですよね…?」
《そんなこと…》
お客様相手なのに、どうしても言葉を止められなかった。
「いつか、あなたの愛を受け止めてくれる方が現れることを祈っています」
《うるさい!黙れ!》
「すみません。こちらのお客様はかなり興奮状態でして…おまかせしてもよろしいでしょうか?」
なんだか強そうな駅員さんたちが現れて、そのまま連行されていく。
怒られると思っていたのに、氷雨君はただ微笑んでいた。
「まさかあそこまではっきり言っちゃうとは…」
「ごめんなさい。やっぱりあの態度はまずかったよね」
「いや、あれでいい。話が通じない相手にはがつんと言っていいと思う。それに、嘘は言ってないから」
いつも以上にお客様に感情移入してしまった気がする。
これでよかったのか分からない。
「それに、君が怒らなかったら俺が爆発してたかもしれない。
そうなる前にあのお客様に伝わるように話してくれて助かった」
氷雨君の言葉に安心していると、全身からふっと力が抜ける。
そのまま倒れそうになった私を氷雨君が支えてくれた。
「怪我してるの?」
「…ん、少し、」
「少しなんてものじゃない。そのまま動かないで」
自分が思っていた以上に重傷だったらしくて、体に激痛がはしるのを感じながらぎゅっと目を閉じる。
そこまでで意識がぷっつり途切れた。
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