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第31章『雨の足音』
番外篇『苦悩』
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とあるライブスタジオで、必死に練習している少年を見つけた。
「こんばんは。四季の夏鈴さんでしょうか?」
「そうですが、何か問題でもありましたか?時間はまだあるはずですけど…」
「いえ、そうではありません。私はただ、山城小春様からの手紙を届けに来ただけなのです」
「小春から?…からかっているんですか?」
その反応になるのも無理はない。
「からかっているかどうかはお読みになっていただければすぐ分かると思います」
今はこう答えるしかない。
少年は訝しげな表情のまま封を開けた。
【夏鈴
ずっと一緒にライブしたかったのに、約束守れなくてごめんね。
夜遅くに出かけたら危ないってあんなに言われてたのに、どうしても出かけたくなったんだ。
外の風を全身で感じたかった。だけど、それがこんな結果になるなんて思わなかった。
あんまり早くこっちに来ちゃ駄目だよ。これからも四季の演奏楽しみにしてるから。
あと、夏鈴が楽しく演奏してくれるのもずっと楽しみにしてるよ。あなたに出会えたことは私の自慢です】
「小春、どうして…」
「あなたのことをずっと心配されていました。これからも見守っていると、いつか再会したときまた語らおうと仰っていました」
少年は膝をつき、その場で泣き崩れた。
どうしようもない思いがこみあげてくる気持ちは、なんとなくだが理解できる。
「…小春は、僕が音楽を続けることを望んでいるんですか?」
「私はそう思っています。おそらく、バンドの継続も誰より願っているのではないでしょうか」
「そうですか。…そうですね。いつか届くと信じて、もうちょっとやってみます」
「それでは、私はこれで失礼します」
「あ、あの!よかったらライブ、聞きにきてください。それじゃあ!」
「え…」
受け取ってしまったチケットは2枚。
他に誘う相手も思いつかないしと、スマホで連絡してみる。
毎回追憶の夢を見ていたなんて知らなかったとはいえ、少しは詫びになるだろうか。
それにしても、気になるのは夢への干渉だ。
星影氷空は言っていた。…こんなにも不明瞭なものは初めてだと。
だが、俺にはひとつ心当たりがある。
「…もういるはずがないのに」
最後に話したのはいつだったか。
他人の夢に干渉し、歪にねじ曲げる力を持った人がいた。
彼女が現れるはずはないのだが、どうしても不安になってしまう。
【氷雨、ごめんね】
今でも思い出すと胸が痛い。
これが苦しいという感情なら、一生消えることはないだろう。
今のところ、この痛みを忘れるつもりはない。
『今から向かいます』
相変わらず律儀な彼女の返信に少しだけ和む。
チケットを握りしめ、待ち合わせ場所へ向かった。
「こんばんは。四季の夏鈴さんでしょうか?」
「そうですが、何か問題でもありましたか?時間はまだあるはずですけど…」
「いえ、そうではありません。私はただ、山城小春様からの手紙を届けに来ただけなのです」
「小春から?…からかっているんですか?」
その反応になるのも無理はない。
「からかっているかどうかはお読みになっていただければすぐ分かると思います」
今はこう答えるしかない。
少年は訝しげな表情のまま封を開けた。
【夏鈴
ずっと一緒にライブしたかったのに、約束守れなくてごめんね。
夜遅くに出かけたら危ないってあんなに言われてたのに、どうしても出かけたくなったんだ。
外の風を全身で感じたかった。だけど、それがこんな結果になるなんて思わなかった。
あんまり早くこっちに来ちゃ駄目だよ。これからも四季の演奏楽しみにしてるから。
あと、夏鈴が楽しく演奏してくれるのもずっと楽しみにしてるよ。あなたに出会えたことは私の自慢です】
「小春、どうして…」
「あなたのことをずっと心配されていました。これからも見守っていると、いつか再会したときまた語らおうと仰っていました」
少年は膝をつき、その場で泣き崩れた。
どうしようもない思いがこみあげてくる気持ちは、なんとなくだが理解できる。
「…小春は、僕が音楽を続けることを望んでいるんですか?」
「私はそう思っています。おそらく、バンドの継続も誰より願っているのではないでしょうか」
「そうですか。…そうですね。いつか届くと信じて、もうちょっとやってみます」
「それでは、私はこれで失礼します」
「あ、あの!よかったらライブ、聞きにきてください。それじゃあ!」
「え…」
受け取ってしまったチケットは2枚。
他に誘う相手も思いつかないしと、スマホで連絡してみる。
毎回追憶の夢を見ていたなんて知らなかったとはいえ、少しは詫びになるだろうか。
それにしても、気になるのは夢への干渉だ。
星影氷空は言っていた。…こんなにも不明瞭なものは初めてだと。
だが、俺にはひとつ心当たりがある。
「…もういるはずがないのに」
最後に話したのはいつだったか。
他人の夢に干渉し、歪にねじ曲げる力を持った人がいた。
彼女が現れるはずはないのだが、どうしても不安になってしまう。
【氷雨、ごめんね】
今でも思い出すと胸が痛い。
これが苦しいという感情なら、一生消えることはないだろう。
今のところ、この痛みを忘れるつもりはない。
『今から向かいます』
相変わらず律儀な彼女の返信に少しだけ和む。
チケットを握りしめ、待ち合わせ場所へ向かった。
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