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序章

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赤みがかった月が照らす、和の都。だが、想像とは少し違う。

「んん…。ダメだってぇ…」

ある二人がコトに及びかけていた。

二の腕から首へと撫でられ上擦った声をあげている。息も少し荒いようだ。

「んふふ…何がダメだって…?先に誘ったのは君じゃないか…。」

「そ…そうだけどぉ…。」いじらしく、俯き、火照った顔でチラチラと男を見る。
おまけに着崩れた着物で男は理性の糸が切れたのか、

「…そろそろ、本番といこうではないか…!」自身の着物を脱ぎだした。

そして唇を貪ろうとした時、

男の首に小刀が宛がわれた。

「…え?」男は固まり、小刀と女の顔を目線で追う。


「……ばーか。」…その大きな目は冷えきっていた。

…ザシュッ
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