上 下
2 / 2
プロローグ

僕の平凡人生2

しおりを挟む


よくゲームの始まりの町とかで見る緑豊かな草原で僕は叫んでしまった
叫んだ瞬間周囲にいた人たちが びっくりしたのは言うまでもなく 遠巻きに見られる感覚はいたたまれない ので 平凡な村人っぽく 気配を薄めて 僕は草原から 森の中にと逃げ込んだ。

逃げ込んだ先にいたのは 農作業に精を出す老婆であり、その手には雑草(道草)が握られていた。





「ごめんなさいねぇ、旅人さんとかこの村来ないから こんなものしか提供できないけど」

目の前に差し出されたのは先程老婆が握っていた 雑草もとい道草である。

まあ、調理してくれたし、出会って数秒で家の中に入れてくれた優しいお婆さんの気配りを無駄にするのは流石に失礼にあたるので、
食べることにした。

食べた瞬間 口の中に広がる お茶っ葉のような酸味と旨味が凝縮されていてはっきりいって美味い。お茶漬けが好きなら何杯でも食べれるくらいに美味しい。
この、身体に染み渡る浸透感が半端なくて
語彙力が無くなるほど美味しい。

二度いったが、美味しい。

「美味っ!?なにこの回復感!?これただの雑草じゃないよね?ハーブとか?」

「おや?気がつくねえ、そうだよ自家製ハーブ(薬草)さ!お前さん見た目もだけど、疲れている感じがしたからね、内緒だよ」

どうやらこのおばあさんは、魔女らしい。
しかも、良い魔女さん。

「それはそうとお前さんなんであんな場所で叫んでいたんだい?」
おおっと?先程叫んでいたことを知ってらっしゃる!?なんで?なぜ?そんなに大きな声だったのかな

「ここは声を遮断する建物が建ってないからね、草原であんな馬鹿デカイ声で叫んだら森の奥まで丸聞こえだよ」

丸聞こえらしい。これはかなり赤っ恥である。
見ず知らずの人とはいえ、
「あ、草原で叫んでた人」というかなり、恥ずかしい称号が目の前に現れたかのようである。おまけに テッテレーという擬音まで聞こえてくる。


「実はその、僕転生者みたいなんです、元いた世界で死んだ記憶がありまして」


って、こんな非現実な事信じないよなぁ。


「お主で5人目ということじゃなぁ、なんでかねぇ、ここ数年こういったことが良く起きるようになったんじゃよー、摩訶不思議じゃろー?」

しかも転生者が現れるのは決まって
魔王が勇者に倒された翌日じゃし、
今回もそうゆう事なんじゃろなぁ。


「お主 名前は?」

「鈴木一郎」

「また。平凡な名前だねぇ」

「長男だから一郎って名前なんです」

「絵に描いたような平凡さだ」

「言われ慣れてます、でもそれが僕ですから」

「よし、お主に新しい名前を授けよう、お主はこれから【シエル・エトワレ】と名乗りなさい。お主空は好きじゃろ?」

空は昔から好きな自然の一つであったが、まさかこんなところで言われるとは思っても見なかった

「好きですけど、なぜ?」
「私はね魔女だから お主の背景が、見えるんじゃお主は星空の下にいるのが一番似合っている、だからお主の名前は」

「シエル・エトワレ」星空という意味の新しい名前を今さっき貰った。

名前なんか貰うつもりもなかったんだけれどこれも出会いだし、もう元の世界には戻っても入る肉体もないだろうし、僕は  これからシエルとして平凡に暮らすことにした。ずっと休みがなかったし文字通り羽を伸ばせるし良い事づくしだな!!


この時シエルは気がついていなかった

魔女に出会ってしまって名前までもらったことが平凡では無いことに。






シエル・エトワレ 年齢10 転生者
魔女から名前を貰った 名前持ち 
平凡スキル→隠密、透過(気配を消す)
魔女から授かったスキル(本人まだ無自覚)
女神の加護re99.薬草鑑定re99.



しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...