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新たな絆
深夜と拓海
しおりを挟む病院までの道を僕とフェルは手を繋いで歩く。
いつも騎士団にいて、あまり外に出ない為、知らなかったけど、この街広い。さすがは王都って感じ
「えっと、フェル……」
「なぁに?」
フェル呼ぶと、僕の方を向いてくれる。
「慎也くんなんだよね?」
「そうだよ。学校ではお喋りしたことなかったね」
僕は頷く。
ずっと見てたけどお喋りはしなかった。
ただ見てるだけ。だって深夜くんは凄く人気者だったから、僕みたいに体が弱い子とお話なんてしてくれないと思ってた。
「僕、ずっと、拓海を見てたんだ」
「うそ!?」
「本当。可愛いなぁって思ってた。女の子みたいだしさ?本当に可愛くて、男であんな可愛い子いるの反則だなぁ思ってたよ」
フェルは僕を抱き上げてくれる。
なんかそのドキドキする。恋人なのに、もっと絆が深まってる感じが凄い。
そういや読んだ恋愛小説で、恋人同士が喧嘩して仲直りしたら愛が深まったみたいなのあったなぁ……
きっとこんな感じなのかも?
「ふふ。本当、ルナは前世も今も可愛いね」
「可愛くない。大体僕、ルナ嫌いなキャラだったもん!!」
「マジで!?」
フェルは驚いた声を上げる。
「な、なんで?」
「だってフェルに意地悪する……」
するとフェルは立ち止まる。
「もしかしてゲーム、全部プレイしてない?」
「え?あ、うん。途中で死んじゃったから……」
「そっか。ちなみに何周した?」
何周?
その言葉に僕は首を傾げる。
「何周ってなに?」
「あれ?知らないの?フェアリー・スクイズは二周はしないといけないんだよ?」
「嘘!?知らない!!なら、僕、一周目で死んだんだ……」
するとフェルはくすくす笑う。
「それならルナ嫌いでも仕方ないね」
「二周目したら好きになるの?」
「なるよ。凄く可愛いからルナ」
そうなんだ。なら今の僕はその可愛いルナに似てるのだろうか?
聞きたいけど聞きたくない。
違うと言われたらなんか落ち込みそう。
「大丈夫。今のルナ、凄く可愛いから。ゲームより可愛い」
「お世辞じゃないよね?」
「ないない。本音。拓海が混ざったルナ、凄く可愛い。今度騎士服も新しくしよ?」
「え!?」
今の服でいいのに。みんなと同じだし……
「ショートパンツとか似合いそうだよね。ルナ」
「なっ!?」
そう言って微笑むフェルに僕は何も言えず、はぁって小さく息を吐いたのだった。
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