転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

ジェーン

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新たな絆

病院

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 フェルに抱っこされてついた病院は昔、僕が入院してた病院と同じで真っ白な大きな建物だった。
 消毒液の匂いがして、なんとなく嫌な気持ちになる。

 いつもは騎士団の医務室で治療するけど、昨日、僕の力で沢山、怪我させたから、精密な検査もしてこいとリア様に言われたし、僕も病院に行って欲しかった。

 とはいえ、やっぱりこの空気とか匂い苦手だと思ってしまう。

 ベンチに座りながらぼんやりと行き交う人を見る。
 白衣を着た先生や、看護師さんが忙しく走ってる。

「ルナは病院苦手?」
「う、うん。前世も病院生活だったからね……」
「ああ。そっか。ごめん、嫌なこと聞いた」

 僕は首を横に振る。

「大丈夫。それに病気でよかったとも思うんだ」
「なんで?」
「ルナの病に耐えられるから……」

 ルナは不治の病持ち。この病、本当に苦しい。
 今は発作も落ち着いてる方だけど、精神がおかしくなりそうだと思ってしまう。

「ルナの病は必ず僕が治すから……」
「ありがとうフェル」

 フェルは本当に優しい。きっと慎也くんもこんなに優しかったのだろう。そう思い、フェルの頬に手を伸ばそうとした瞬間、パンッという乾いた音が部屋に響き渡った。

「な、なに?」
「ルナ、僕の後ろから動かないで……」
「フェル?」

 フェルは立ち上がり、腰に差している黒の剣──黒翼の剣を抜く。

 そしてカツンとフェルの剣に何かが当たり、天井に刺さった。

「銃弾?な、なんで?」
「誰だお前……」

 僕が戸惑っているとフェルが低い声で話す。
 前を見ると、機械仕掛けの人形がフェルに銃を向けていた。

「フェル!!」
「ルナ、座って……うわっ!!」

 僕はフェルの首元を引っ張って後ろに下げて、天使の力を解放し、背中に翼を生やした。
 その瞬間、僕達に大量の弾丸が飛んできたけど、僕の周りに現れた結界が全てを弾く。

「はぁ……はぁ……」
「ルナ、無理したら駄目。守ってくれたのは嬉しいけど、まだその力制御できないでしょ?」
「う、うん。ごめん……」

 ヘムトの戦いで覚醒した天使の力。だけどまだ上手く制御できない。
 だから昨日、フェルを傷つけたのだ。
 咄嗟に体が動いたけど、やはり、防御魔法を一回使うだけでかなり胸が痛くなってしまう。僕は床に座り込み、フェルがそんな僕を抱き寄せてくれる。

「けどありがとう。ルナのお陰で敵は弾切れみたい」

 見れば、機械人形は弾がなくなり狼狽えてる。
 フェルは僕の額にキスをする。その瞬間、胸の苦しみが取れた。
 フェルの回復魔法だ。温かい……

「少し待ってて。倒してくるから」
「わかった」

 フェルは剣を握り、立ち上がる。そして機械人形に一気に間合いを詰めて、剣で粉々に砕いた。

「ふぅ。とりあえずは片付いたけど、こいつ中身空っぽだ」
「え?」

 フェルの言葉に戸惑い、立ち上がり粉々になった人形を見ると、確かに中身は空洞だった。

「魔法で動いてるの?」
「多分ね。遠隔魔法の一瞬。かなり高度な魔法だよ」

 フェルは壊れた人形の部品を手に取り、そして辺りを見渡す。

 いつのまにか人が集まってきている。当たり前だ。こんな騒ぎを大病院で起こしたら、みんなが注目する。

「とりあえず、この病院のトップの人に報告しないとね。まだ人形いるかもだから、騎士団にも動いてもらうよ」
「そうだね。あ、けど、フェル診察は?」

 病院には診察に来ているのだからそこは忘れたらまずいと思う。

「後でしてもらうよ。まずは病院の治安を守らなきゃね」

 フェルの優しい微笑みに、僕も自然と笑顔となる。

「わかった。騎士のお仕事も大切だけど診察忘れちゃ駄目だよ?」
「はーい」

 そして僕たちは隣り合わせで歩き出し、病院のトップ。院長先生に会うことになったのだった。




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