転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

ジェーン

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知られてはならない過去

リナと水龍

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「騎士様、お願いです!僕の水龍を探してください!!」

 目の前に現れた青混じりのふわりとした白い髪の女の子は僕に頭を下げて、大声で頼み込む。

「えっと……君がこの水龍探しの依頼人かな?」

 僕は手に持ってる依頼書を女の子に見せる。

「はい。そうです!僕の名前はリナ。お願いします騎士様。僕の水龍──スイを探してください!!」

 青混じりの白髪の女の子──リナは僕に深々とまた頭を下げる。
 どうやら悪戯ではなく、この依頼は本当だったらしい。

「わかった。けど探す前に、君と水龍さんのお話を聞かせてくれないかな?」

 するとリナは顔を上げて、嬉しそうに僕を見つめる。

「はい!!けど……何処から話したらいいかな?とりあえず出会い?けどそうなると長くなっちゃうか……」
「出会いと別れを単純に話してくれたらいいよ。何処で出会って、なんで別れたのかだけで大丈夫」

 龍なんて本の中でしか登場しない生き物だし、あまり詳しく聞いても、僕が理解出来ないかもしれない。

「わかりました。えっと、僕とスイが出会ったのは、数ヶ月前。この街にある海で出会ったんです。スイは浜辺に倒れていて、僕が見つけて家に連れて帰りました。そこから一緒に暮らしてたんだけど、一昨日から、居なくなって……ずっと探してて……」
「だから騎士団に依頼してきたんだね」
「はい。僕一人だと見つけられなくて……」

 リナはワンピースをぎゅっと握って下を向く。

 余程に心配なのが、行動から見て取れる。

「けど、浜辺で倒れてただけで、どうして水龍って分かったの?龍って本の中にしかいないよね?」

 するとリナは綺麗な色違いの海色の瞳を何度か瞬かせる。

「スイには大きな尻尾があるんです。青い尻尾。それで、聞いたら、龍の尻尾だって言ってて……」

 確かに、尻尾があれば人外だとすぐ分かる。
 この世界には色々な種がいるらしいけど、人外だと必ず体に特徴がある。
 ルナだって、妖精と天使のハーフだけど、魔法を使う時は、天使の羽根が出るわけだし……

「尻尾。それなら、その尻尾を手がかりにスイさんを探してみようか。あとは髪型とか服装とかは分かる?失踪して、時間が少し経ってるから、服装は変わってるかもしれないけど……」
「スイはお腰まである長い銀の髪を持ってて、顔は騎士のお兄さんみたいにカッコいいです。あと目は紫?なんか不思議な色をしてます」

 リナが言うスイの身体的特徴を頭の中で思い浮かべてみると、ゲームに居そうなイケメンが誕生した。

 ……なんていうか、女の子受けしそうなキャラが誕生したんだけど、これ大丈夫かな?

 僕の頭の中に浮かぶスイさんはとんでもなくイケメンで、会ったらギャップに驚くみたいな事にならないといいなと思ってしまう。

 前世で実際、そういうギャップに苦しんだ事があるから、余計に警戒してしまう。

 するとリナが、僕を見つめて首を傾げる。

「お兄さんどうしたんですか?なんかその、困ったような顔をしてませんか?」
「大丈夫だよ。ちょっと昔のことを思い出してただけ」
「むかし?」
「そう。遠い昔のことだよ……」

 僕はリナの頭を撫でてから空を見上げる。
 どこまでも青い、夏の空が、僕とリナの頭上に広がっているのだった。






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