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騎士団
しおりを挟むいつの間にか眠って居たらしく、目を覚ますとフェルは居なかった。
「フェル…どこ?」
この世界に来てからほとんどフェルといたから居ないのは寂しい。
ベッドから降りて、シーツを体に巻き付ける。
眠る時にフェルに服を全て脱がされてしまった。
ドアを開けて、外に出る。
「フェル…どこ?どこなの?」
寂しい。怖い…
ずっとフェルが居たから一人で居ることがこんなにも怖いなんて思わなかった。
「ひくっ…フェル…フェルどこ?」
涙が溢れて僕は目を擦りながらフェルを探す。
しかし涙は止まらなくて、立ち止まってしまった。
「ひくっ…ひくっ…フェル…フェル……」
「ルナ様?」
「え?」
名前を呼ばれて振り向くと、騎士の方が居た。
「どうしました?このような場所で…」
「フェルが居ないんです…どこにも…」
すると騎士の方は屈んで僕を見つめる。
「フェル様は急な騎士団会議に呼ばれているのです。お伝えしてなくて申し訳ありません」
「そうなんですね。僕こそごめんなさい。泣いて困らせて…」
「いやいや大丈夫ですよ。何なら騎士団の方に来られますか?素敵なフェル様が見られますよ」
「行きたいです」
「では直ぐにお召し物を持って来ます」
騎士の方、名前はアルト様って言うらしく、その方に部屋まで送ってもらい、しばらく待っていたら可愛らしい男の子がアルト様と一緒に入ってきた。
「は、初めまして。ルナ様。僕はミルラといいます」
「フェル様から許可を頂きお召し物を持って来ました」
するとアルト様がミルラ様の背中を触る。
「ほら、ルナ様困ってるから早く渡してあげて?」
「う、うん」
ミルラ様は僕に服を渡してくれる。そして二人は外で待つと行って出ていく。
渡されたのは騎士団の制服。
フェルが選んでくれたのだろうか?
そう思いながら、服を着て、ドアを少し開けると、声がした。
「アルト…すき…大好き」
「俺もミルラが好きだよ。よく頑張ったね」
「ん…」
外でミルラ様とアルト様が抱き合っている。
この二人恋人なんだ。
お似合いだ。すごくお似合い。
ミルラ様可愛らしいしアルト様はかっこいい。
「ミルラ。遠征は大丈夫だったの?」
「うん。僕は後衛だから…」
「フェル様に次からは外してもらうように話したからね。フェル様も怒ってたし」
「ありがとうアルト」
なんだろ?フェルが怒るような事がこの二人には襲いかかっていたのかな?
優しいフェルが怒るなんてきっとかなり酷いことだ。
僕はゆっくりとドアを開ける。
「ルナ様!?」
「す、すみません…僕…」
「大丈夫ですよ。二人ともお似合いですし…」
するとミルラ様はアルト様の後ろに隠れてしまう。
とても可愛らしい子だなって思い僕は二人と一緒に騎士団の訓練所に向かう。
そして騎士団の訓練所に付くと、フェルがいた。
「ルナ!!」
「フェル!」
フェルは僕を抱きしめてくれる。
「ごめんね。急な会議で離れたんだ。アルトとミルラもありがとう。あとはゆっくりしていいよ」
「は、はい」
「あ、そうだ。ミルラおいで」
フェルはミルラ様に手招きして、そしてポケットから沢山のお菓子を出した。
「アルトと食べて?お礼だよ。」
「ありがとうございます!!」
ミルラ様はアルト様の傍に戻り楽しそうに話している。
「可愛いよね。けどミルラも不治の病の持ち主なんだよ」
「そうなの?」
僕はミルラ様の背中を見る。確かに細い。
「アルトとは幼なじみなんだよ。婚約もしてる。ただちょっとそれを妬む騎士がいて、その会議だったんだ」
「そうだったんだ……」
フェルは僕を支えて、近くの椅子に座らしてくれる。
「僕が居ない間に副団長代理が勝手にミルラを遠征に行かせたんだ。僕も昨日戻って来たばかりだし、たまたま父上もその間、公務でいなくて気づかなくて、アルトがさっき言ってくれたんだ」
フェルは僕の手を握る。
「ミルラもルナと同じで不治の病が重いんだ。騎士団にいるのは父がアルトが何時でも守れるようにする為だったのに。騎士団にいるから遠征に行かされたと聞いた時は怒りでおかしくなりそうだったよ」
「フェル…」
フェルは本当に優しい。騎士の鏡って言うんだろうな…
「大切な人を守るために騎士になる人は多いんだよ。僕もそうだし。それを覆したらダメなのに…」
僕はフェルに抱きつく。
「ルナ…」
「大丈夫だよ。フェルの優しさはアルト様やミルラ様に届いてる」
「ありがとうルナ。ちなみに副団長代理は退社させたからね」
「そうなんだ。じゃあ二人も平和になるね」
「そうだね」
他人の恋だって応援してあげたい。だって好きな人に愛されるってとても幸せなことだから……
あの二人が幸せになれますように
そう願った。
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