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絆の話
突破口
しおりを挟むフェルに引っ付いて寝ていたらドアが叩かれた。
「どうぞ」
フェルが体を起こして声をかけると、バンっという音がして、リア様とノルンくんが入ってくる。
「ヘムトの魔法解除がわかった!今、家からアルトとミルラにも手紙が届いているはずだ」
「本当!?」
フェルと僕はリアの傍に寄る。
「親父に聞いたんだ。叔父がどんな人だったか」
「リアのお父様の話では、ヘムト様は亡くなってるはずの人なんだ」
「え?」
「亡くなってる??」
どういうことなのだろう。だってヘムトは実際、ブラックと騎士団にいる。そんなおかしい話があるはずない。
フェアリースクイズの世界に死んだ人が生き返るなんて物語はないはずだ。
「ああ。ヘムトは、十数年前のある時騎士団から消え消息不明だった。そしてその数年後、悪魔の力に取り憑かれ死亡したとなっていた。だが、どういう訳か、ヘムトは戻ってきたんだ」
「けどそれならヘムトの噂はどうなる?リアだって言ってた。ヘムトは研究ばかりしてるって...それはリアだって知って...」
「ああ。そうだよ。けどな、フェル。貴族は罪すら揉み消せるんだ。死んだやつが生き返った。そんな話も簡単に改変できたんだ。ヘムトは研究ばかりしてる。憑依型の魔法使いの研究と悪魔の力。そして悪魔に取り憑かれてる。という本当を混じえた嘘に改変した。」
貴族は罪すら揉み消せれるという。
それはノルンくんが来た日に聞いた。
確かにゲーム内でも、ルナがフェルにそんなこと言ってた。
貴族は罪だってなんだって揉み消すんだって...
フェルといる時間が幸せで忘れかけてたけどこれはフェアリースクイズの世界。ゲームとは話が違っても根本的なものは変わってない。世界観みたいなのはそのままだ。
「じゃあヘムトは生き返ったってこと?だからノルンやルナを狙うわけ?不老不死になりたいから」
フェルの言葉にリア様とノルンくんは顔を見合わせ頷く。
「お前たちもそこにたどり着いてたのか。そうだ。奴の狙いは不老不死。悪魔の力では飽き足らず、成長を止める憑依型の魔法使いと、そして天使の血筋を探しながら不老不死の研究をしている狂ったゴースト」
「っ!?」
声が出ない。元から狂ってるとは思ってたけど、死んで生き返って、そして不老不死を求めるなんて頭がイカれてる。
「けどさ、ゴーストならどうやって肉体を手に入れたわけ?死んだ人は蘇らないんじゃ...」
「これは推測だけどな。魔法書の中に闇属性の魔法で人を仮死状態にする魔法がある。何をしようとしたのかは知らないが、ヘムトは自分を仮死状態にして、そして蘇った」
「そんなことして何になるの?」
「仮死状態になり生き返ると魔力が増えるんです。もしかしたらヘムトはそれを使って悪魔の力を使おうとしたのかもしれません」
「ヘムトがルナみたいに悪魔の血筋なのかはわからないが、血筋でも発現するのには条件がある可能性はある。その条件をクリアしようとしたのかもしれない」
その可能性はあると思う。ヘムトはきっとなんでもする人だから
力が欲しいなら仮死状態にだってなりそう。
「そしてここからが本題だ。ヘムトのなんでも弾く魔法。あれの突破口はな、ルナ。フェル。お前らにある」
僕達は顔を見合わせ、そしてお互いにリア様を見つめるのだった。
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