転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

ジェーン

文字の大きさ
51 / 108
絆の話

実験室

しおりを挟む

「ん……」

「ああ……起きましたか。天使の子」

目を覚ますと、冷たい床の上だった。

そして目の前にはヘムトがいる。長い黒い髪に黒い目。それに長い黒のローブと言う黒ずくめの姿だ。

歳はブラックの時より大人びていてお父様ぐらいだ。

「ここ…どこ?なんでこんなことするの?」

僕はヘムトを睨む。手足の拘束などは無く、体を起こせたが、恐怖から立ち上がることは出来ない。

「ここは私の実験室ですよ。ほらあなたの捜し物もここに……」

「え?っ!?」

ヘムトは僕の目の前にある容器に明かりを付ける。

容器の中には緑の水の中で眠るノルンくんがいた。

「ノルンの肉体です。憑依型の子の体はとても貴重なのでこうして特殊な液体に浸しているのですよ」

「酷い……なんでこんなことするの?」

どうして人にこんなことができるのだろう?

「それは、私の命の為です!」

「え?っ!?」

ヘムトはローブを脱ぐ。

ヘムトの体の心臓部分には黒い水晶玉が埋まっている。そして黒の線が体のあちこちに伸びている。

「私は悪魔の血を引いています。しかし悪魔の力は覚醒しなかった。私は何としてでも悪魔の力が欲しくて研究しました。そして自らの肉体を仮死状態にし、この水晶体を使い生き返らすという方法を取ったのです」

ヘムトは早口で僕に言う。

「悪魔の力には目覚めましたが体が悪魔の力について来れないのです。魔法使いは病で死ぬことはありませんが、悪魔の力の代償に歳を取るのが私は早くなった。だから不老不死になろうと調べたのですよ!」

「そんなの…ただの自分の欲望でしょ……」

僕は手を握りヘムトを睨む。

「欲望ですよ!けど私は悪魔の力をもっと研究したいのです!!そして調べた私は憑依型の子の力と天使の子の力があれば不老不死になれると知りました。だからこうして貴方とノルンをこの部屋に導いたのですよ!!」

狂ってるこの人は狂ってる。

人の道を外れてる。

そう思いながら僕は指輪を握る。

怖い。傍にフェルが居ないのは不安でたまらない。怖くてたまらない。けど僕がやらなきゃ……

「さあルナ。貴方の天使の力を私に見せてください。そしてノルンと一緒に私を不老不死にしてください」

「いや!!来ないで!」

首にかけている指輪を握った瞬間、バチンという音がした。

「凄いですね。その翼といいこの魔法といいやはり天使の子……」

僕の周りには白い羽根が舞っている。背中には大きな白い羽根が出ているのが分かる。

「さぁ早く私にその力を見せてください!」

「いや!やだ!!」

ヘムトが手を伸ばすと、またバチンという音がして僕の周りに黄色のバリアが現れる。

「そうですか。けどいつまでそのバリアが持ちますかね?」

ヘムトは黒い玉を手から出す。それもバリアが弾く。

「中々の強度ですね!!流石です!」

また黒い玉がバリアに当たる。怖くてたまらない。

いつこのバリアが破けるかもわからない。

フェル……怖いよ……怖い

目を閉じ、フェルを呼ぶ。

怖い…助けて……怖い……

「けほっ、けほっ」

「ふふ、貴方は不治の病の持ち主。あまり長く魔法を使うと発作がでますよ?」

「っ……けほっ……」

ドンッ、ドンッ、という音と共にバリアに黒い玉が当たる度に胸が痛くなり始める。

呼吸も苦しい……咳が止まらない。

僕は両手を握り、願う。

フェル…助けて!!

「なに!?」

「けほっ……なに?」

願った瞬間、すごい音がしてヘムトの驚いた声がした。

「ルナ!!」

「ふぇ…る?」

そして僕の前にはフェルが立ってた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...