【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第2章 奴隷を買いました。

第21話

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「で、どうするんだ狐人。少し休むか?」

「いや、大丈夫。喋ってる内に休めたよ」

「では……」と、私は蝶ネクタイの男に向き直る。

「少し外に出ていてくれないか? 大きな声が聞こえても部屋に入って来ないで欲しい。どうせ貸し切りなんだ、問題ないだろ?」

「承知しました。では、何かありましたらお気軽にお声掛けください」

 そう言って、恭しく礼をした後、ほくほくとした顔で応接室を出て行った。

(現金な奴だな、急に従順になって……)

 私は装備していたサバイバルナイフをホルダーから引き抜いて、ポイント先端を左の人差し指に刺し、契約書に血を垂らした。


────────────────────────────────
        血の契約書


⬛︎⬛︎この血の所有者は、本日から三年後下記の血の所有者を解放すると共に一年暮らせる程の金銭を充分に提供することをここに誓う。


___この血の所有者は、本日から三年間上記の血の所有者の元で労働することをここに誓う。

 双方共に契約違反した場合、天命に従うことをここに誓う。

────────────────────────────────


 狐人にナイフを渡そうとしていたら、彼はすでに親指に自分の牙を立てていたので、私はナイフを仕舞った。狐人の親指の皮膚からぷくりと流出した血が契約書に垂らされる。


────────────────────────────────
        血の契約書


⬛︎⬛︎この血の所有者は、本日から三年後下記の血の所有者を解放すると共に一年暮らせる程の金銭を充分に提供することをここに誓う。


⬛︎⬛︎この血の所有者は、本日から三年間上記の血の所有者の元で労働することをここに誓う。

 双方共に契約違反した場合、天命に従うことをここに誓う。

────────────────────────────────

 そして、私と狐人は血の契約の正式な方法にのっとり、読み上げる。

「この血の所有者は、本日から三年後下記の血の所有者を解放すると共に一年暮らせる程の金銭を充分に提供することをここに誓う」

「この血の所有者は、本日から三年間上記の血の所有者の元で労働することをここに誓う」

「「双方共に契約違反した場合、天命に従うことをここに誓う」」

 瞬間、

「ゔぁ゛があ゛ぁぁああ゛あ゛ぁぁぁぁぁァァァア゛ア゛ァ゛ーーーーーー‼︎」

「グア゛ア゛ア゛アァァァ゛ァ゛ァァァァ゛ァァァ゛ァ゛ァ゛ァァーーーーーーー‼︎」

 隼人と狐人の悲痛な叫びが応接室に響く。主従契約よりも効力の強い契約だからか、狐人の声は先程よりも大きい。まるで地響きのようだ。

(痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)

 途方もない激痛と熱に襲われる。痛みと熱さの発生元は左胸──心臓部。心臓部の痛みと熱を取り除こうと、両手で急いで掻きむしる。治らない。どうしようもなくて、どうしたらいいかわからなくて頬を涙が伝い続ける。

 一方、狐人は主従契約で耐性がついたためか、隼人ほど苦しそうではない。響き渡る声も徐々におさまりつつある。彼は涙は流していないものの、額から尋常ではないほどの汗を流し、歯を食いしばり耐えていた。

 彼らが苦しみに耐えた時間はおよそ三分半。だが、そのたった数分は彼らにとって一時間、二時間と耐え続けていたのではないだろうかと錯覚させることだろう。




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