【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第3章 奴隷と暮らすまで

第18話

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 代金を支払い、ふたりに軽く頭を下げて礼を言う。

「リンジーさん、ウルジーさん、有難うございました」

「いいってことよ!」

「また何かあったら来いよ! あんちゃん!」

 人間とドワーフ、種族は違うのにニカッと白い歯を見せて笑った人の良さそうなふたりの顔は、まるで兄弟のようだと思った。

(血、繋がってたりして……なんてな)

「また来ます……必ず。行くぞ」

 背を向けた店主たちにそう言うと、隼人たちは『リンジーとウルジーの武器魔道具屋』を後にしたのだった。

 店を出て直ぐ、アイテムボックスをひとり一つずつと、魔石と各属性の魔結石を十個ずつ手渡した。すると、手のひらに乗せられた物と私を見比べるように見てきた。

(あぁ、そうか。私のじゃないって言わないとだな)

「それ、おまえらのな? 狼人、麻袋持ってくれて助かった。それ、アイテムボックスに入れるからくれ」

 私は、彼らの手のひらを指差してそう言うと、狼人から「どうぞ」と受け取った。そして、無属性の魔結石を手のひらサイズの長方形のアイテムボックスに埋め込まれた小さな魔石部分に触れさせて"開け"と念じると、ボックスがぱかりと開く。

 そして、サンタクロースのようにぱんぱんになった麻袋と先程購入した物をそこへ近づけると、ブラックホールに吸い込まれるかのように消えていった。

 直後、空中に黒いパネルが出現し、そこに白い文字が浮かび上がった。


────────────────────────────────

       【アイテムボックス】

麻袋(大)▽
魔石      ×10
魔結石(火属性)×10
魔結石(水属性)×10
魔結石(雷属性)×10
魔結石(土属性)×10
魔結石(風属性)×10
魔結石(無属性)×10
魔銃      ×2
魔銃・改    ×2

────────────────────────────────


(▽は何だ?)

 "麻袋(大)"の隣の記号、中身が表示されるのかと思い、念じてクリックする。


────────────────────────────────

       【アイテムボックス】

大きな麻袋▽
圧縮:皿(大)    ×100
圧縮:皿(中)    ×100
圧縮:皿(小)    ×100
圧縮:包丁      ×2
圧縮:鍋       ×3
圧縮:フライパン(大)×3
圧縮:フライパン(中)×3
圧縮:フライパン(小)×3
圧縮:エプロン(大)
圧縮:エプロン(中) ×4
圧縮:エプロン(小)
圧縮:保存容器(大) ×10
圧縮:保存容器(中) ×10
圧縮:保存容器(小) ×10
圧縮:ゴミ箱(大)  ×10
圧縮:ゴミ箱(中)  ×10
圧縮:ゴミ箱(小)  ×10
圧縮:ダブルベッド  ×4
圧縮:キングサイズベッド
圧縮:キングキングサイズベッド
圧縮:本棚      ×10
圧縮:テーブル(特大)
圧縮:椅子      ×18


以下、省略
────────────────────────────────


(おぉ……)

 大きさは表示されるが、デザイン名までは出ないのか、とじっくりアイテムボックスの表示を見ていると、たどたどしい様子でエルフが眉を下げながら手のひらの魔石と魔結石、アイテムボックスを見せてくる。たどたどしいというか、今にも泣きそうといった表現の方が近いだろうか。

「あああのごごごご主人様……本当に私たちに、これを?」

「護身用だ。ひとり十個ずつ持っておけ」

 そう言うと、「こんな貴重な物を……」とエルフが呟くように言い、その後放心状態になった。

 狐人は「もう僕は何も言わないからねー」と知らないといった風にぷいっと暫く空を見てから、アイテムボックスを使って手のひらにある物をしまった。

 龍人は、ずいっと手のひらを目の前に差し出して「ご主人、我は強い。これが無くとも問題ないぞ」と返そうとしてきた。

「いつ何があるか、わからんだろう? 用心に越したことはない。いざという時の為に持っておけ」

 そう言えば、パシンと勢いよく手のひらで顔を覆って空を向いた。覆った手のひらの隙間から赤くなった顔が覗き見える。

(なぜだ?)

「ぬぅ……これはかなり、クるな。思ったより……ご主人は、男だよな?」

「何を言っている。当たり前だ」

 一瞬、身体がビクッと反応しそうになったが、どうにか抑えてほぼ反射的にそう返した。

あっぶねええぇぇぇぇ!)

「……残念だ」

「何がだよ」

(何でそんなに落胆してんだよ……)

 龍人の不可解な言動に思わず顔が引き攣った。

 鬼人と狼人も何かしら言いたげな様子だったので、全員に向けて言うことにした。

「申し訳ないが、俺にはおまえらを守る力は一切ない。だからせめて自分で自分の身は守れるようにしてくれ。俺は守ってやれない代わりに、こうして与えることしかできないからな」

 そう話せば、何かしら言いたげな表情かおをしていたものの、誰も何も言わなくなった。ただじっと彼らの視線を感じるだけ。何も返ってこないということは、理解したということだろうか、と勝手に解釈して私たちはまた人混みに紛れたのだった。

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