警視庁雑務部雑務総務課〜父の無実の罪を晴らすため就職しました〜

産屋敷 九十九

文字の大きさ
22 / 99
File1 自覚無き殺人犯

第十一話 服部和毅の動向1

しおりを挟む
加藤が妻を殺して一週間程経った。

俺は変わらずパソコンと向き合って仕事をしている。目障りな加藤がいなくなってくれたおかげで、仕事がしやすい。

妻もいなくなったから、今は恋人の愛理と堂々と過ごせている。
 
流石に妻の死体が転がっていた家で寝んのは気味が悪いし、というか自宅は警察の立ち入り禁止テープが張られているから、今は愛理の家で寝泊まりしている。


邪魔な奴は綺麗さっぱり消えて清々しい気分だ。


「服部さん、警察の方がお見えです」
と女性職員が俺に声をかけてきた。


胸はイイが、顔は愛理かな? とセクハラまがいなことを考えながら、席を立った。


「こんにちは。服部和毅と申します。何かご用でしょうか?」


あ~あ、面倒くせぇなぁ。加藤が犯人でいいじゃねぇーか。まぁ、まだ一週間くらいしか経ってねーし、しゃーねーか。


内心そう悪態を吐きながら、表情には出さず営業スマイルで対応する。

「警視庁特殊捜査官の高良正人と申します。事前連絡も入れず申し訳ありません。今回の事件の裏付けを取るために貴方のパソコンを十分程度お借りできないかと思いまして……すみませんが、ご協力頂けませんでしょうか?」

「いいですよ」

──加藤に殺人犯になってもらうためにな、と続く言葉を心の中で吐いた。
 
職員の集まる場を離れ、個室に案内しパソコンを手渡した。

「すみません。奥さんを亡くされたばかりでお辛いでしょうに……証拠は揃ってはいるんですが、念のため共犯者がいないかも調べないといけないもので……」 
と申し訳なさそうに眉を下げながら若い男──高良が言った。

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。妻とは離婚協議中でしたし、仲も冷え切っていましたから思ったよりはダメージないんですよね。それに、警察は疑うのが仕事でしょう」

女取っ替え引っ替えしてたし、逆に円満を装った方が不自然だと思って、妻とは上手く行ってなかったことを前の取り調べでも話していた。

「そうですか、ご協力感謝致します」

高良はパソコンを立ち上げ、USBを差し込んでいた。

「ところで、加藤はどうしてますか? 同僚なので心配で」


そう簡単に話すわけねーよなぁ、と俺は思っていたんだが……


「捜査中で守秘義務もあるのであまり話しちゃいけないんですが、結構憔悴していますね。はじめて人を殺したということもあって、恐らくまだ混乱してるんでしょう。でも、それも時間の問題だと思います。証拠は十分に揃っていますし、加藤が犯人だと確信しています」

「そうですか、残念です。アイツ、凄く真面目で上司からも高く評価されてたのに」


マジかよ、ウケる! やっぱ若いだけあって経験浅いんだなコイツ。守秘義務って分かっててベラベラ喋りやがった。バカだねぇ、おまえの目の前にいるのが本当の殺人犯とも知らずに。

でもコイツがバカで助かったわ。
だって、俺が犯人だって疑われてないってことだよな?
 
警察が判断したんだ。


"加藤が犯人だと確信してる"って。


「傷が癒えるには時間が解決してくれるのを待つしかないでしょう。大変でしょうが、貴方が立ち直れることを祈っています。気の利いた言葉をかけられなくて申し訳ありません。ご協力、有難う御座いました」

作業が終わり、パソコンを閉じて俺に頭を下げながら返した。

「いえいえ、お気遣い頂き有難う御座います」


 ───おまえのおかげで安心したよ。


 そう述べながら、内心俺はほそく笑み喜んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。 毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。 一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。 いつもの日常。 いつものルーチンワーク。 ◆小さなパン屋minamiのオーナー◆ 南部琴葉(ナンブコトハ) 25 早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。 自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。 この先もずっと仕事人間なんだろう。 別にそれで構わない。 そんな風に思っていた。 ◆早瀬設計事務所 副社長◆ 早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27 二人の出会いはたったひとつのパンだった。 ********** 作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...