警視庁雑務部雑務総務課〜父の無実の罪を晴らすため就職しました〜

産屋敷 九十九

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File1 自覚無き殺人犯

第二十七話 逮捕の裏側10 煽る役目はもう一つの思考

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「そんなことあるわけないだろう。犯人はおまえの兄貴だ。証拠もすべて揃ってるって警察が言っていた。ここに来たのは俺を犯人に仕立て上げようとしてるやつが誰か確かめにきたんだ」

服部が蔑むように言い放ったが、震えた声がプラネタリウムに反響していた。


もう一押しってとこかな? 思ったより早く終わりそうだな。


正人のもう一つの思考は、冷静でかつ余裕を見せていた。

「へぇそう。でも、ここにあんたがやったって証拠があるんだよな~」

正人がへらりと余裕な笑みを浮かべながらそう言うと、背に隠した大きな茶封筒を示指と母指で摘み前に掲げた。

「な、馬鹿な嘘にきまってるだろ!」

まさか証拠をここに持ってきているとは思わなかったのか服部は一瞬声を詰まらせ、声を荒げた。

正人が証拠と掲げた茶封筒はそこそこ分厚い。
この茶封筒は服部を煽るために課長が準備したものだった。中に入っているのは、証拠ではなくA4サイズのコピー用紙だ。

服部が茶封筒に釘付けになりながら、額に頬に尋常ではないほどの汗を浮かび上がらせた。

動揺する自分を落ち着かせようとしているのか、服部は掌に爪を食い込ませ拳を震わせていた。

「じゃあ一つだけ、あんたが殺人犯だっていう証拠をいま話してやる」

正人が満面笑みを服部に向けて続ける。
目は全く笑っていない。






「あんた、兄貴の身体乗っ取って、自分の妻を殺したんだろ?」




『さぁ、理性を飛ばしてとっとと本性みせやがれクソ野郎‼︎』





正人のもう一つの思考。





それは、正人自身よりも遥かに聡いが、過激な姿を持ち合わせている。
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