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10 色仕掛け
後ろにはルドンが立っていた。
「会いたかった…。昨夜は無理をさせた。体は…。」
ふわりといい香りがスピナを包む。
気づけば、ルドンが後ろからスピナを抱きしめていた。
昨夜のやりとりが、ありありとよみがえる。
「…問題ないです。おかえりなさいませ、だんな様。」
「ルドン…と。」
「ルドン…様。」
ルドンは後ろから抱きしめながら、スピナの簡単に一つにまとめていた髪を
勝手にパサリとおろす。
そして、満足したように優しくスピナの頭にキスをした。
「スピナ…これは私からのお願いなのだが…。
髪をおろすのは、私の前だけにしてほしい。
他の者に…この髪を…見せたくない。……スピナ…?」
「えっ…はっ…はい…。」
スピナはびくびくとしながら返事をし、ルドンの方に向き直る。
顔をあげると、美しい薄い水色の瞳がこちらを見つめていた。
今朝、スピナは寝所で果てていて
ルドンはそんな彼女を起こさず家を出た。
だから、スピナがルドンの顔を見るのは、昨夜以来だった。
一日働いたはずのルドンの顔は疲れなど知らないように輝いていた。
この男の体力はどこから来るのか…。
そのエネルギーにあてられたように、じわりとスピナの中心がぬれだす。
ルドンの顔を見るだけでぬれてくるとは…。
恥ずかしい、惨めな気持ちだ。
そしてルドンとの距離が近い。
おずおずとルドンから体を離し、後ろにさがりながら
スピナはルドンと距離をとる。
質問はシンプルだ。
( なぜ、私と結婚したんですか? )
「なっ…。」
距離をとられたことが不服なのか、ルドンは目を細めて聞き返す。
「…な?」
ルドンの答えは、知っていた。
( 爵位が欲しくて結婚した )……だ。
スピナは体を抱かれた事で、ルドンの事を男として見るようになっていた。
以前とは違う意味の、好き、という感情が生まれていた。
この気持ちを表すとすれば、恋をしていると言ってもいい。
たとえ、偽物であっても、自分から幸せの城は壊したくない。
「また、何かを考えているな…。」
機嫌が悪くなった声でルドンがぼそりと言う。
以前のルドンは、微笑をたやさず話していた。
結婚前までは…だ。
そもそもスピナもルドンといて、余計な事を考える事はなかった。
うれしい、つらい、ありがとう、ぐらいの感情しか見せていないと思う。
今は違う。
状況が複雑だ。
「あなたの考えが読めなかった事はないのに…!
近頃は本当に読めなくなってしまった…。」
イライラとルドンが呟く。
「ごっ…ごめんなさい。あの…、私…。」
注意深く、一言一句、聞き逃すまいとルドンは聞いている。
「私が知りたいのは…。」
今、この瞬間も幸福が体中を包んでいる。
が、それと共に身をえぐる程の痛みもキリキリと感じている。
二手、三手先の手駒として、今はその手の内で踊らされてる真っ最中なのでは…。
考えれば考える程しっくりくる。
そもそも、なぜスピナに王子の側近が、あんなにもしゃべりかけてきたのか。
いくら無能でも気づく。
ルドンは参謀だ。
要は作戦を考えたりする、本丸印の長だ。
相手の職業を理解してから、結婚すべきだったと後悔する。
しかし遅すぎた。
色仕掛けにまんまとはまった。
「会いたかった…。昨夜は無理をさせた。体は…。」
ふわりといい香りがスピナを包む。
気づけば、ルドンが後ろからスピナを抱きしめていた。
昨夜のやりとりが、ありありとよみがえる。
「…問題ないです。おかえりなさいませ、だんな様。」
「ルドン…と。」
「ルドン…様。」
ルドンは後ろから抱きしめながら、スピナの簡単に一つにまとめていた髪を
勝手にパサリとおろす。
そして、満足したように優しくスピナの頭にキスをした。
「スピナ…これは私からのお願いなのだが…。
髪をおろすのは、私の前だけにしてほしい。
他の者に…この髪を…見せたくない。……スピナ…?」
「えっ…はっ…はい…。」
スピナはびくびくとしながら返事をし、ルドンの方に向き直る。
顔をあげると、美しい薄い水色の瞳がこちらを見つめていた。
今朝、スピナは寝所で果てていて
ルドンはそんな彼女を起こさず家を出た。
だから、スピナがルドンの顔を見るのは、昨夜以来だった。
一日働いたはずのルドンの顔は疲れなど知らないように輝いていた。
この男の体力はどこから来るのか…。
そのエネルギーにあてられたように、じわりとスピナの中心がぬれだす。
ルドンの顔を見るだけでぬれてくるとは…。
恥ずかしい、惨めな気持ちだ。
そしてルドンとの距離が近い。
おずおずとルドンから体を離し、後ろにさがりながら
スピナはルドンと距離をとる。
質問はシンプルだ。
( なぜ、私と結婚したんですか? )
「なっ…。」
距離をとられたことが不服なのか、ルドンは目を細めて聞き返す。
「…な?」
ルドンの答えは、知っていた。
( 爵位が欲しくて結婚した )……だ。
スピナは体を抱かれた事で、ルドンの事を男として見るようになっていた。
以前とは違う意味の、好き、という感情が生まれていた。
この気持ちを表すとすれば、恋をしていると言ってもいい。
たとえ、偽物であっても、自分から幸せの城は壊したくない。
「また、何かを考えているな…。」
機嫌が悪くなった声でルドンがぼそりと言う。
以前のルドンは、微笑をたやさず話していた。
結婚前までは…だ。
そもそもスピナもルドンといて、余計な事を考える事はなかった。
うれしい、つらい、ありがとう、ぐらいの感情しか見せていないと思う。
今は違う。
状況が複雑だ。
「あなたの考えが読めなかった事はないのに…!
近頃は本当に読めなくなってしまった…。」
イライラとルドンが呟く。
「ごっ…ごめんなさい。あの…、私…。」
注意深く、一言一句、聞き逃すまいとルドンは聞いている。
「私が知りたいのは…。」
今、この瞬間も幸福が体中を包んでいる。
が、それと共に身をえぐる程の痛みもキリキリと感じている。
二手、三手先の手駒として、今はその手の内で踊らされてる真っ最中なのでは…。
考えれば考える程しっくりくる。
そもそも、なぜスピナに王子の側近が、あんなにもしゃべりかけてきたのか。
いくら無能でも気づく。
ルドンは参謀だ。
要は作戦を考えたりする、本丸印の長だ。
相手の職業を理解してから、結婚すべきだったと後悔する。
しかし遅すぎた。
色仕掛けにまんまとはまった。
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