王に振られた公爵令嬢は王の側近に拾われる

空田かや

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16 マント

王はスピナによって、涙と化粧と鼻水でマントが汚れていくのを見て
一瞬、うっ…と思ったがスピナへの憐憫の気持ちもあり、よしとした。

しばらくして王が言った。

「…ルドンが結婚して、私が絡んでもとりあわず、毎日、足早に帰っていくのが
少し面白くなかった。それで、そなたの事を悪く言った…。
すまなかった…。」

王は形のいい自分の頭に手をのせて、スピナが泣き止むのを
しばらく待っていた。

が、いつまでも泣き止まないのを見て

「参ったな…。」

と金髪をぐしゃっとし、部屋に戻るとガサッゴソッと音をたてて何かを探す。

そしてスピナの前にもどると、王は片方の手にカラフルな包み紙に包まれた
チョコレート菓子を持っていた。

「こういうの、女性は大抵お好きだろう。」

王はスピナの固く握りしめている、華美な飾りの付いている銀色の扇子を
すっと抜くとスピナの両手にチョコレート菓子をのせた。

「ルドンにはうまく言っておこう…。今日はそれを食べて寝てしまうといい…。」

そう言うが早いか、スピナの肩に手をのせる。

その瞬間スピナは、お菓子と共に自宅のソファーの上に座っていた。

スピナは一体何事かと、初めての瞬間移動に怯えたが
思いのほか優しい王が、気遣って部屋に送ってくれたのだと気がつくと
ぐったりとソファーの背に寄りかかり、王から貰ったチョコレート菓子の
包みを一つ開け、口にふくんだ。


王宮の廊下にスピナが居なくなった後に残ったのは
涙と化粧と鼻水で汚れたマントだった。

「…たくっ。口は災いのもとだな…。」

そう言って、スピナの扇子で軽く自分の肩を叩く。

王は自分を嘲るように笑うとしぶしぶそのマントをはおり
茶会に出向いたのだった…。

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