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42 深紅の玉
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「……王…あなたは、私の苦労を一瞬で…。」
ルドンは静かに言った。
「……苦労したのは認めるが…。
じぃ先生に言われ、お前とは毎日戦ったからな…。
悪いが、お前の術は全て知り尽くしているし
全て解ける。
そうそう、じぃ先生と言えば……。」
無駄話を始めようとした王の言葉を
女の、大きな声が遮った。
「──王!どこまであなた甘いの?
手負いの状態で、私とどうやって戦おうと?」
そう言うが早いか、レジーは手の中に毒々しい
深紅の光の玉を作り出し、手のひらを大きく
開げると、王に向かって放った。
ルドンは、その動きを捉えると
王の周りに一瞬にして透明なシールドを張る。
そして、茫然としているスピナの上に
ふわりと覆いかぶさった。
王のシールドに弾き飛ばされた深紅の玉は
強烈な勢いで、レジーに跳ね返る。
ルドンを頭数に入れていなかったレジーは
慌てて身を翻し被弾しないように玉を躱す。
そして、悔しそうにうめいた…。
「…くっ…!ルドン様、手を出さないで…!」
ルドンは、スピナを抱きながら
聞き取れないほどの声で呟いた。
「………すまぬが…これが私の仕事だ…。」
ルドンも参戦したと分かったレジーは
次の攻撃を躊躇した……。
レジーの放った深紅の玉は、空に向かって
何の障害物もない、真っすぐな軌道を
突き進んで行った。
そして威力を、徐々に落としながら
遂にはキラリと光って跡形もなく消え去った。
静寂が戻ると、王はため息をつき
ゆっくりとした足取りでレジーに近づいた。
レジーは、反逆は死罪だった事を今さらながら
思い出す…。
冷静になった今、じわりと背後に恐怖がにじり寄る。
その場にハタハタと力なく座り込み
額に冷や汗をかきながら、輝きを失った
深紅の瞳で、レジーは王を見返す……。
そのレジーとは対照的に、王はまるで
何事もなかったという雰囲気を漂わせている。
そして、レジーの前まで来るとゆっくりと
屈んでレジーの顔を覗き込んだ。
「──もう、そなたとは…喧嘩したくないな。
後で…ベッドの中で…決着をつけた方がお互い
色んな意味で…よくは…ないか……?」
そして、恐怖で固まっているレジーの細い首に
長い指でそっと触れ、レジーの耳元に顔を
寄せると小声で囁く。
「…いい子にして…少し待っててくれないか?
レジー…後でちゃんとそなたの不満は聞く…。
そして…その解消に精一杯…励むと…するよ……。」
ルドンは静かに言った。
「……苦労したのは認めるが…。
じぃ先生に言われ、お前とは毎日戦ったからな…。
悪いが、お前の術は全て知り尽くしているし
全て解ける。
そうそう、じぃ先生と言えば……。」
無駄話を始めようとした王の言葉を
女の、大きな声が遮った。
「──王!どこまであなた甘いの?
手負いの状態で、私とどうやって戦おうと?」
そう言うが早いか、レジーは手の中に毒々しい
深紅の光の玉を作り出し、手のひらを大きく
開げると、王に向かって放った。
ルドンは、その動きを捉えると
王の周りに一瞬にして透明なシールドを張る。
そして、茫然としているスピナの上に
ふわりと覆いかぶさった。
王のシールドに弾き飛ばされた深紅の玉は
強烈な勢いで、レジーに跳ね返る。
ルドンを頭数に入れていなかったレジーは
慌てて身を翻し被弾しないように玉を躱す。
そして、悔しそうにうめいた…。
「…くっ…!ルドン様、手を出さないで…!」
ルドンは、スピナを抱きながら
聞き取れないほどの声で呟いた。
「………すまぬが…これが私の仕事だ…。」
ルドンも参戦したと分かったレジーは
次の攻撃を躊躇した……。
レジーの放った深紅の玉は、空に向かって
何の障害物もない、真っすぐな軌道を
突き進んで行った。
そして威力を、徐々に落としながら
遂にはキラリと光って跡形もなく消え去った。
静寂が戻ると、王はため息をつき
ゆっくりとした足取りでレジーに近づいた。
レジーは、反逆は死罪だった事を今さらながら
思い出す…。
冷静になった今、じわりと背後に恐怖がにじり寄る。
その場にハタハタと力なく座り込み
額に冷や汗をかきながら、輝きを失った
深紅の瞳で、レジーは王を見返す……。
そのレジーとは対照的に、王はまるで
何事もなかったという雰囲気を漂わせている。
そして、レジーの前まで来るとゆっくりと
屈んでレジーの顔を覗き込んだ。
「──もう、そなたとは…喧嘩したくないな。
後で…ベッドの中で…決着をつけた方がお互い
色んな意味で…よくは…ないか……?」
そして、恐怖で固まっているレジーの細い首に
長い指でそっと触れ、レジーの耳元に顔を
寄せると小声で囁く。
「…いい子にして…少し待っててくれないか?
レジー…後でちゃんとそなたの不満は聞く…。
そして…その解消に精一杯…励むと…するよ……。」
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