24 / 52
24 甘言
その言葉を無視して、スピナはふとんを引っ張ると背を向けて横になった。
「……スピナ…思ったのだが……あなたは少し顔色が悪いな…。」
──夫が愛人を連れ帰った日に、血色のいい顔の妻がどこにいるというのだろう。
すると不意を突くように、ルドンが言った。
「……もしかして…とは思うが、あなたは妊娠しているのではないか…?」
そう言われ、スピナの胸は詰まった。
今月も、月のものが来ていたからだ。
毎月、月のものが来るたび微かな期待が散って虚しい思いをしていた。
「…いえ。子を授からず…申し訳ないです。
昨日まで月のもの…来ていましたので…それはない…です。」
それを聞くと、ルドンはスピナのふとんの上にそっと手を置いて言った。
「…ああ…そうか…。それは少し残念…だが……。」
ルドンはふとんに置いていた手を、スピナの頭に移動させ
黒茶色の髪を、優しく撫でる。
「アフェリエアにたった夜、様子がおかしかったあなたを…私は無理に
抱いてしまったから…。
妊娠していたのだとしたら…と少し焦った。
体に障ってしまったのかと…。」
──よく考えてみると、なぜ今までルドンは避妊魔法を施さなかったのだろう?
子どもができてしまったら、面倒くさい事になるのでは?
離婚の際、子どもがいた方が財産分与などでルドンに有利に働く…とか?
そんな事、あるのだろうか…?
……ああ…考えたところで法律の細かい裏技など、分からない。
暗い顔で横になったままのスピナに、ルドンは静かに言った。
「…スピナ…もしかしてあなたは…私との子どもを望んでは…いない…?」
スピナはその言葉を聞き、思わず起き上がってルドンに向き直った。
「そんな…まさか…!」
その顔を見て、ルドンはほっとしたように笑った。
「ああ…やっと目を合わせてくれた。
では…今晩、私があなたを抱くのに何も問題ないな?」
そう、熱っぽい瞳で見られスピナはすぐに目を伏せた。
「……レジー様を抱いて来たあなたとは寝たくない…。」
すると、ルドンはふっと笑いゆっくりとスピナに顔を近づける。
そして、スピナの耳元で呟く。
「レジーとは寝ていない…。
寝ていなければ、あなたを抱いてもいいのか?」
スピナは耳が、かっと熱くなるのを感じた。
この男は…。
王との会話、レジーとの逢瀬。
スピナがこの二回とも立ち聞きしたとは知らずに、簡単に寝所で嘘をつく。
そして甘言をささやく。
もう、爵位譲渡書があり、スピナに気を使わなくていいというのに。
「……スピナ…思ったのだが……あなたは少し顔色が悪いな…。」
──夫が愛人を連れ帰った日に、血色のいい顔の妻がどこにいるというのだろう。
すると不意を突くように、ルドンが言った。
「……もしかして…とは思うが、あなたは妊娠しているのではないか…?」
そう言われ、スピナの胸は詰まった。
今月も、月のものが来ていたからだ。
毎月、月のものが来るたび微かな期待が散って虚しい思いをしていた。
「…いえ。子を授からず…申し訳ないです。
昨日まで月のもの…来ていましたので…それはない…です。」
それを聞くと、ルドンはスピナのふとんの上にそっと手を置いて言った。
「…ああ…そうか…。それは少し残念…だが……。」
ルドンはふとんに置いていた手を、スピナの頭に移動させ
黒茶色の髪を、優しく撫でる。
「アフェリエアにたった夜、様子がおかしかったあなたを…私は無理に
抱いてしまったから…。
妊娠していたのだとしたら…と少し焦った。
体に障ってしまったのかと…。」
──よく考えてみると、なぜ今までルドンは避妊魔法を施さなかったのだろう?
子どもができてしまったら、面倒くさい事になるのでは?
離婚の際、子どもがいた方が財産分与などでルドンに有利に働く…とか?
そんな事、あるのだろうか…?
……ああ…考えたところで法律の細かい裏技など、分からない。
暗い顔で横になったままのスピナに、ルドンは静かに言った。
「…スピナ…もしかしてあなたは…私との子どもを望んでは…いない…?」
スピナはその言葉を聞き、思わず起き上がってルドンに向き直った。
「そんな…まさか…!」
その顔を見て、ルドンはほっとしたように笑った。
「ああ…やっと目を合わせてくれた。
では…今晩、私があなたを抱くのに何も問題ないな?」
そう、熱っぽい瞳で見られスピナはすぐに目を伏せた。
「……レジー様を抱いて来たあなたとは寝たくない…。」
すると、ルドンはふっと笑いゆっくりとスピナに顔を近づける。
そして、スピナの耳元で呟く。
「レジーとは寝ていない…。
寝ていなければ、あなたを抱いてもいいのか?」
スピナは耳が、かっと熱くなるのを感じた。
この男は…。
王との会話、レジーとの逢瀬。
スピナがこの二回とも立ち聞きしたとは知らずに、簡単に寝所で嘘をつく。
そして甘言をささやく。
もう、爵位譲渡書があり、スピナに気を使わなくていいというのに。
あなたにおすすめの小説
その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
悪女は愛より老後を望む
きゃる
恋愛
――悪女の夢は、縁側でひなたぼっこをしながらお茶をすすること!
もう何度目だろう? いろんな国や時代に転生を繰り返す私は、今は伯爵令嬢のミレディアとして生きている。でも、どの世界にいてもいつも若いうちに亡くなってしまって、老後がおくれない。その理由は、一番初めの人生のせいだ。貧乏だった私は、言葉巧みに何人もの男性を騙していた。たぶんその中の一人……もしくは全員の恨みを買ったため、転生を続けているんだと思う。生まれ変わっても心からの愛を告げられると、その夜に心臓が止まってしまうのがお約束。
だから私は今度こそ、恋愛とは縁のない生活をしようと心に決めていた。行き遅れまであと一年! 領地の片隅で、隠居生活をするのもいいわね?
そう考えて屋敷に引きこもっていたのに、ある日双子の王子の誕生を祝う舞踏会の招待状が届く。参加が義務付けられているけれど、地味な姿で壁に貼り付いているから……大丈夫よね?
*小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。