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43 息をするようにキスをする男
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レジーはそう言われ、考えていた展開とは
異なる状況にまごついた。
王の真意を見極めようと、目の前にあった
青い瞳をレジーは深紅の瞳でじっと見つめた…。
瞳を、間近で見てはいけないと最初の逢瀬で
王に教えられていたにもかかわらず……。
次の瞬間、魔力の引力に引っ張られたレジーは
王の唇を、むさぼり始めた。
それを静観していたルドンは、スピナと王の
裏切りを思い出したのか、スピナを
抱きしめていた腕をふっと離す…。
そして、素早く立ち上がって歩き出すと
スピナから離れた場所で、腕を組んで
王を見守り始めた。
身を包んでいたルドンの香りと体温が
急に消え、スピナの瞳から再び涙が
静かに溢れ出す…。
一方で、王は、魔力が強いせいで
惹きつけられる力が極端に強いレジーに
手こずっていた。
前回の時に、レジーに目隠しをしたのは
正解だったと痛感するほど……。
──しかし、王はすぐに要領を得た。
王は、飛びかかって来た野生動物を
捕らえるかのように、レジーを確保すると
慣れた手つきでゆっくりと、自分が
キスしやすい体勢へと持って行く…。
そしてレジーの背に手を回し、レジーに
立つように促すと、自分の体に
ぴったりと身を預けさせる。
すると二人は、数分後には情事に縺れ込んで
しまうのでは…と思わせるほどの勢いで
キスをし始めた。
「……んっ…んんっ…王……。」
声をもらしながらレジーは夢中でキスをする。
王はそんなレジーの唇を、一瞬離すと
ふっと笑って言った。
「………私はそなたとの戦いは…好きだ。
ああ…怪我しない方の…な…?」
いつの間にか、レジーを取り囲んでいた
ピリついた空気は消えていた…。
──王は、レジーの頭にすっと手をかざす。
するとその瞬間、レジーはガクリッと気を失い
体がだらりと崩れ落ちる。
背後で、二人を静かに見ていたルドンが
ポツリと呟く。
「………芸は身を助ける…。」
王は芝生の上に、レジーをそっと横に
寝かせながら、笑って言った。
「……芸…だと?芸のつもりは…ないが…。
褒め言葉として…受け取っておく…。」
「あなたは息をするように女とキスをしますね。
……私はあなたのキスシーンを、一体、何度
見せられてきたのか…。」
王は、ずれた右肩の包帯を直しながら
ルドンにからかうように言った。
「欲情するか…?」
「───いえ。」
ルドンは顔色を変えず、瞬時に否定した。
しばらくの沈黙の後、泣いているスピナに
やっと視線を向けたルドンはため息をついて言った。
「……王、本気を出しさえすれば何でも完璧に
こなすあなたを…さすがと褒めて
差し上げたいのですが…。
回復した途端に…女のところへ…しかも
私の妻の元にとは……。」
──ルドンは自分を取り戻したのか
先程の王への殺気は、消えていた。
異なる状況にまごついた。
王の真意を見極めようと、目の前にあった
青い瞳をレジーは深紅の瞳でじっと見つめた…。
瞳を、間近で見てはいけないと最初の逢瀬で
王に教えられていたにもかかわらず……。
次の瞬間、魔力の引力に引っ張られたレジーは
王の唇を、むさぼり始めた。
それを静観していたルドンは、スピナと王の
裏切りを思い出したのか、スピナを
抱きしめていた腕をふっと離す…。
そして、素早く立ち上がって歩き出すと
スピナから離れた場所で、腕を組んで
王を見守り始めた。
身を包んでいたルドンの香りと体温が
急に消え、スピナの瞳から再び涙が
静かに溢れ出す…。
一方で、王は、魔力が強いせいで
惹きつけられる力が極端に強いレジーに
手こずっていた。
前回の時に、レジーに目隠しをしたのは
正解だったと痛感するほど……。
──しかし、王はすぐに要領を得た。
王は、飛びかかって来た野生動物を
捕らえるかのように、レジーを確保すると
慣れた手つきでゆっくりと、自分が
キスしやすい体勢へと持って行く…。
そしてレジーの背に手を回し、レジーに
立つように促すと、自分の体に
ぴったりと身を預けさせる。
すると二人は、数分後には情事に縺れ込んで
しまうのでは…と思わせるほどの勢いで
キスをし始めた。
「……んっ…んんっ…王……。」
声をもらしながらレジーは夢中でキスをする。
王はそんなレジーの唇を、一瞬離すと
ふっと笑って言った。
「………私はそなたとの戦いは…好きだ。
ああ…怪我しない方の…な…?」
いつの間にか、レジーを取り囲んでいた
ピリついた空気は消えていた…。
──王は、レジーの頭にすっと手をかざす。
するとその瞬間、レジーはガクリッと気を失い
体がだらりと崩れ落ちる。
背後で、二人を静かに見ていたルドンが
ポツリと呟く。
「………芸は身を助ける…。」
王は芝生の上に、レジーをそっと横に
寝かせながら、笑って言った。
「……芸…だと?芸のつもりは…ないが…。
褒め言葉として…受け取っておく…。」
「あなたは息をするように女とキスをしますね。
……私はあなたのキスシーンを、一体、何度
見せられてきたのか…。」
王は、ずれた右肩の包帯を直しながら
ルドンにからかうように言った。
「欲情するか…?」
「───いえ。」
ルドンは顔色を変えず、瞬時に否定した。
しばらくの沈黙の後、泣いているスピナに
やっと視線を向けたルドンはため息をついて言った。
「……王、本気を出しさえすれば何でも完璧に
こなすあなたを…さすがと褒めて
差し上げたいのですが…。
回復した途端に…女のところへ…しかも
私の妻の元にとは……。」
──ルドンは自分を取り戻したのか
先程の王への殺気は、消えていた。
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