魔王を倒して故郷に帰ったら、ハーレム生活が始まった

スタジオ.T

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第38話 一応、密室ではある

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 身体の熱は呼吸を繰り返すごとに強くなっていく。だんだんと正常な思考が働かなくなっていくのは分かっていたが、肝心の身体が言うことを聞いてくれない。
 パトレシアが作った強烈な媚薬びやくは、この狭い土の空間の中に充満仕切っている。倉庫の時よりもスペースがせまくなったおかげか、濃度が高い媚薬が宙を舞っているようだ。

「ナツ……」

 高ぶる魔力が抑えきれない。心臓が鼓動を早めるに連れて、魔力炉もだんだんと活性化していた。
 
「来て……」

 物欲しげに俺のことを見るナツの魔力炉に手を置く。優しく撫でると、ほんのりとオレンジ色に光るナツの魔力が湧き上がった。

「あ、う……」

 魔力炉に触れ続けると、彼女の魔力はまばゆく輝いた。宙に浮かんだ自分の魔力を見ながら、ナツは気持ち良さそうに身体をよがらせた。

「や、う……きもち、良い」

 急に魔力が回り始めて、感覚が鋭敏びんかんになっている。媚薬の効果も相まって、ナツの反応の仕方は尋常じんじょうではなかった。

 耐えきれずに床に崩れ落ちたナツは、びっしょりと汗をかいていた。指を肌に這わせるごとに、ピクリピクリと小刻みに身体を震わせるナツは、ストーブのように熱かった。

「熱いな」

「うん……アンクも……」

 ナツが手を伸ばして、俺の服に触れる。シャツのボタンを外して、彼女は俺の衣服を取り払った。

 小さな彼女の手が、俺の魔力炉に触れた。
 
「すごい、こんなに強い魔力を見たの始めて……。アンクの魔力ってやっぱりこんなに白いんだ」

「……特別性だからな」

「純白で……汚れのない……」

 うわごとのように言って、ナツは魔力炉に置いた手を動かした。肌静かに上下に動かされると、肌の方からじわじわと快感が魔力炉に向かって流し込まれているように感じた。

 張り詰めた糸をゆるめるように、ナツの手は俺の魔力炉を丹念に撫でていた。

「ナ……ツ……」

 せり上がってきた快楽が、意識をさらっていく。互いの2人でその快感を共有するように、手を動かし身体を温める。

 ナツの身体を抱きしめて、首の近くを優しく噛む。

「あ、ぁ……」

 狭い空間の中でエコーする彼女のあえぎは、湿った土の壁に静かに吸い込まれていた。ナツが作り出した土の球体は、隙間の1つもなく外界の音すらも通さなかった。

 ……今、少なくともこの空間には俺たちしかいなかった。
 得体のしれない何かに突き動かされながらも、結局のところそれを望んでいるのは自分自身でしかなかった。媚薬なんか無くても、最初からこうしていたのかもしれない。そんな風に思えるほど、強い感情の高ぶりが意識を覆っていた。

「も、っと……」

「あぁ」

「頭が熱くて、どうしようも……なくて。何かが違っているのは分かっているけれど……」

 止められなくて。
 ナツが喉の奥で呑み下したその言葉を、舌で絡め取る。唇と唇と触れ合わせて、彼女の中に侵入する。呼吸と呼吸が触れ合う。

 ナツの唇は柔らかくて、心地が良かった。互いに手を動かすたびに、荒く呼吸が弾んで、肺の中身が入れ替わっていくように思えた。

「ねぇ……」

 俺の腕の中でナツはささやくように言った。

「大丈夫……、ねぇ、お願い」

 火照った顔で彼女は俺のことを見た。もう1度「お願い」とでも言うように、俺に向かって身体を捧げていた。

「…………あぁ、そうだな」

 彼女の求めに頷く。
 ピリピリと肌の内側を走る感覚。これを本能と呼ぶのなら、俺はそれに従うしかなかった。肉体でもって、誰かと繋がることは決して悪なんかではないはずだ。

「あ……」

 それはほんのちょっとのタッチの差だった。
 彼女の身体を抱くことで頭がいっぱいで、覆っていた土の殻がパラパラと崩れていることに気がついていなかった。ハッと後ろを振り返った時には、すでに土の球体に穴が空き、俺たちのいる空間に大量の光が入り込んできた。

「や」

「ば」

 フッと我に帰って、俺たちは同じ言葉を呟いた。土の球体がガラガラと崩れていく。

 2つの影がゆっくりと近づいてくる。外にナーガの気配はすでになく、天の魔法によって放たれた煌々こうこうとした光に納屋の中が照らされていた。

 冷や汗がドッとあふれ出てくる。

「あっちゃー……間違った。悪い悪い、私ともあろうものが。邪魔しちゃったね」

 そこには俺たちの姿を見てペロッと舌を出して謝るサティと、抗議の叫びをあげるチャリがいた。
 球体の中で情事を繰り広げていた俺たちを発見して、サティはその場によっこいしょと座り込んで横になった。

「良いよ、続けて。ここで待ってるからさ」

「…………いや」

「そう? 良いのに」
 
 こっちが良くない。
 気がつくとナツの方は、恥ずかしさからか顔をリンゴのように真っ赤にして、喉の奥で「キュウ」と変な音を出すとそのまま気を失ってしまった。

 俺はパンツをあげて、ナツに服を着せて、納屋の外へと降り立った。
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