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夜のお散歩、五分前③
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ハタケダと居酒屋の前で別れた後、
観念してコシミチさんに電話をかけ直した。
「もしもし」
「やってくれたね」
「いや、違うんです」
「何が違うの?どうせ僕たちの事も言ったんだろうね」
「言ってません」
「あー困ったなー。今から話せる?」
誤解は解かなければいけない。
「分かりました」
「今どこ?車で迎えに行くよ」
30分ほどしてコシミチさんの白いセダンがやってきた。
「乗って」
「え、でも、、、」
「乗れよ」
「はい」
僕は観念して助手席に乗り込んだ。
車内は静かだった。オーディオはオフで、僕もコシミチさんも無言だった。車がどこに向かっているか分からない。市街からやがて田園の景色に移り変わると、着いたのはコシミチさんの家の前だった。
「降りて」
「え、でも、、、」
「降りろ」
「はい」
コシミチさんは僕の肩をがっしりと掴んで玄関の方に歩いて行く。僕は抵抗しようと思ったが、コシミチさんから感じる怒気に怯え、なすがままに自宅に連れ込まれた。
玄関を入ると、左手に二間続きの和室がある。
そこに放り投げられた。畳の上に倒れ込んだ。
この人、細身なのに何でこんなに力が強いのだろう。
「いや、ええっとどこから説明すれば良いのやら」
畳に倒れた僕と、それを仁王立ちで見下すコシミチさん。暫くそのまま時間が過ぎた。
「まずは謝って」
「ど、どれに対してですか?」
「僕の電話に出なかった事、メールに返信しなかった事に対して」
「えっと、すみませんでした。ちょっとそんな気分でなくて」
「何で寝そべりながら謝ってんの?ちゃんと謝りなさい」
「ちゃんとって、、、どうすれば」
「誠心誠意謝るなら土下座だろう」
「土下座?嫌ですよそんなの」
「はあ。じゃあ謝る気ないって事でいいよね?分かりました」
「いや申し訳ないって気持ちはありますよ。だけど一方的にこっちが悪いという話でもないような、、、」
「言い訳ばっかりだね。こっちの気持ちを踏み躙って友達とバカにしてたんだろう」
「いや、そんな事ないですって。僕とコシミチさんの話はハタケダにはしてません」
「信用しないね。土下座するまでは」
しつこい、この人。このままだと延々と朝まで繰り返される。暫く睨み合いが続いた。
「、、、分かりました。土下座すれば許してもらえるんですね」
「許すよ。けど僕がいいっていうまで頭を畳につけておくんだ、分かったね」
「はい、、、」
僕は仁王立ちになっているコシミチさんの前に正座した。スラックス越しではあるが少し怒張していると思われるコシミチさんの股間が目の前にあり、思わず目を背けた。
「ゆっくりと頭を下げて」
言われた通りに頭を下げた。
「この度は色々ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした」
暫しの静寂。
「あっ!」
後頭部に重みを感じた。コシミチさんが足を乗せてきた。靴下の感触を後頭部に感じる。嫌だ、気持ち悪い。
「畳に額をつけろ。そしてもう一度謝れ」
「も、申し訳ございませんでした」
屈辱感で体がガクガクと震え出した。頭に血が上りきっと顔は真っ赤になっていて、目には涙が溢れていた。
「そのままの体勢でちょっと待っていなさい」
コシミチさんが和室を離れた。
僕は土下座のままを維持し続ける。
暫しの静寂。
すぐに戻ってくるのかと思ったが、全然戻ってこない。
足が痺れてきた。
暫しの静寂。
え?マジで戻ってこない。
どうしよう。姿勢を解いても良いかな。
足も痺れてきたし、十分謝ったからもういいか。
頭を上げ、膝を崩したタイミングで、コシミチさんが戻ってきた。
「誰が止めていいって言った!」
鬼の形相のコシミチさんの右手には麻縄が握られていた。
観念してコシミチさんに電話をかけ直した。
「もしもし」
「やってくれたね」
「いや、違うんです」
「何が違うの?どうせ僕たちの事も言ったんだろうね」
「言ってません」
「あー困ったなー。今から話せる?」
誤解は解かなければいけない。
「分かりました」
「今どこ?車で迎えに行くよ」
30分ほどしてコシミチさんの白いセダンがやってきた。
「乗って」
「え、でも、、、」
「乗れよ」
「はい」
僕は観念して助手席に乗り込んだ。
車内は静かだった。オーディオはオフで、僕もコシミチさんも無言だった。車がどこに向かっているか分からない。市街からやがて田園の景色に移り変わると、着いたのはコシミチさんの家の前だった。
「降りて」
「え、でも、、、」
「降りろ」
「はい」
コシミチさんは僕の肩をがっしりと掴んで玄関の方に歩いて行く。僕は抵抗しようと思ったが、コシミチさんから感じる怒気に怯え、なすがままに自宅に連れ込まれた。
玄関を入ると、左手に二間続きの和室がある。
そこに放り投げられた。畳の上に倒れ込んだ。
この人、細身なのに何でこんなに力が強いのだろう。
「いや、ええっとどこから説明すれば良いのやら」
畳に倒れた僕と、それを仁王立ちで見下すコシミチさん。暫くそのまま時間が過ぎた。
「まずは謝って」
「ど、どれに対してですか?」
「僕の電話に出なかった事、メールに返信しなかった事に対して」
「えっと、すみませんでした。ちょっとそんな気分でなくて」
「何で寝そべりながら謝ってんの?ちゃんと謝りなさい」
「ちゃんとって、、、どうすれば」
「誠心誠意謝るなら土下座だろう」
「土下座?嫌ですよそんなの」
「はあ。じゃあ謝る気ないって事でいいよね?分かりました」
「いや申し訳ないって気持ちはありますよ。だけど一方的にこっちが悪いという話でもないような、、、」
「言い訳ばっかりだね。こっちの気持ちを踏み躙って友達とバカにしてたんだろう」
「いや、そんな事ないですって。僕とコシミチさんの話はハタケダにはしてません」
「信用しないね。土下座するまでは」
しつこい、この人。このままだと延々と朝まで繰り返される。暫く睨み合いが続いた。
「、、、分かりました。土下座すれば許してもらえるんですね」
「許すよ。けど僕がいいっていうまで頭を畳につけておくんだ、分かったね」
「はい、、、」
僕は仁王立ちになっているコシミチさんの前に正座した。スラックス越しではあるが少し怒張していると思われるコシミチさんの股間が目の前にあり、思わず目を背けた。
「ゆっくりと頭を下げて」
言われた通りに頭を下げた。
「この度は色々ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした」
暫しの静寂。
「あっ!」
後頭部に重みを感じた。コシミチさんが足を乗せてきた。靴下の感触を後頭部に感じる。嫌だ、気持ち悪い。
「畳に額をつけろ。そしてもう一度謝れ」
「も、申し訳ございませんでした」
屈辱感で体がガクガクと震え出した。頭に血が上りきっと顔は真っ赤になっていて、目には涙が溢れていた。
「そのままの体勢でちょっと待っていなさい」
コシミチさんが和室を離れた。
僕は土下座のままを維持し続ける。
暫しの静寂。
すぐに戻ってくるのかと思ったが、全然戻ってこない。
足が痺れてきた。
暫しの静寂。
え?マジで戻ってこない。
どうしよう。姿勢を解いても良いかな。
足も痺れてきたし、十分謝ったからもういいか。
頭を上げ、膝を崩したタイミングで、コシミチさんが戻ってきた。
「誰が止めていいって言った!」
鬼の形相のコシミチさんの右手には麻縄が握られていた。
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