デンエンサンポ 〜女装子とおじさんの小冒険〜

錯乱テリア

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田園散歩

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「話って何?」
 夜の田んぼの畦道を僕とコシミチさんは歩いている。
遠くの方に国道があって、そこは車の往来と街灯の灯りがあるが、僕たちが歩く道に照明はない。手に持った懐中電灯だけが足元を照らす。

 何度ここを散歩しただろうか。
 時には体操服で、時にはレオタードで、犬の首輪を嵌められてリードを繋がれながら、壊れかけの小屋やバス停で四つん這いで片足上げてオシッコしたり、河川敷の公園のベンチでコシミチさんにご奉仕したり。今となってはいい思い出、なんて思わない。なにをしていたんだろうという気持ちの方が大きい。

「最近、わたしたちってどうなんだろうと思って」
「どうって?」
「なんかケンカばかりしてませんか」
「そう?」
 コシミチさんは薄々わたしの言いたい事を感じながら牽制しているようだ。
「わたし的には雰囲気良くないと思ってます」
「そうなんだ。じゃあ仲直りしよう」
 わたしの手を取った。強引に恋人繋ぎにしようとする。わたしはその手を払い除けた。
「今日はそういう感じじゃないです」
 わたしの強気な態度に少し悲しそうな表情を浮かべた。
「どうしたいと思ってる?」
「一度距離を取れれば良いなと思っています」
 僕はキッパリと意思表明した。
「僕はそうは思わない」
 意見が真っ二つ。どうしよう。
僕たちは立ち止まった。ぬるい風が頬を撫でる。
「そうは思わないけど、君がそう思っているならしょうがないとも思う」
「、、、じゃあ一度距離を取りましょう」
 ここで一気にカタを着ける勢いで行かないとダメだ。
「分かった」
 コシミチさんは少し震えているようだ。

「じゃあここで」
 僕たちは田んぼが広がるど真ん中で、
 コシミチさんは今来た道を戻っていく。
 僕はそのまま歩いていく。
 コシミチさんは1人自宅に帰り、僕は次の一歩を進む。
 これで終わり。もう二度とここで会う事はないだろう。
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