どうか100億年目の魔法使いをよろしく

周(あまね)克(まり)

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0章

転生

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私はこの世界で消滅や死を繰り返してきた。そしてその後、特に何事もなかったかのようにこの世界に復活する。そしてこの世界は私を初めから存在していたように振る舞った。私もそれに合わせていた。

しかし、この転生という概念の誕生を機に、私は消滅や死を迎えるたびに、人類としての生を受けるようになった。味覚、触覚、視覚、聴覚、嗅覚、全てが私にとって初めて味わう感覚であった。

飢え以外に私は新たな感覚を得ることが出来たのだ。

そしてまた時を同じくして人類にも、転生するものが現れた。

この世界の最初期の転生は強大な力も持ったまま死した者が新たな生を受けるという仕組みであった。それも時代の流れにつれて、生に対する強い思いなど本人の肉体的強さだけでなくその感情の強さによって転生できるようになっていった。転生によって人類は私と同じく悠久の時を生きることが可能な存在となった。しかし、人類の多くは一度の生を終えればそれ以降転生することはなく長い者でも10回目の転生を迎えずに完全なる死を受け入れてしまうもの達がほとんどであった。

しかし、私にはそれが許されていなかった。必ず新たな人類として転生を繰り返し続けていた。始めのうちはいずれ私も人類であるゆえに完全な死を迎える日が来るのだと疑っていなかった。

しかし、数百、数千、数万と回数を重ねるごとにそのような日は訪れないのだと悟った。

私は転生を繰り返すうちに、時には転生していない人類として生活したり、幾度も転生を繰り返す魔法使いとして、大賢者と言われる地位を人類から得た時もあった。

人類という生命体は実に様々なことを考え、様々な事を起こす。どれほどの年月をかけようと私が退屈という感情に苛まれることはなかった。私が死を求めるのに理由などなかったのもその一因なのだろう。単純な興味の域でしかなかったのだ。

そして、そんな平穏な時代が長く続いたある時、死を受け入れない人類の存在を知ることとなった。

私自身この広大な世界全てを魔法の力で見渡すことが出来るようになっていたが、その遊びは、とうの昔にやめていた。それ故、彼らの存在を知ったのは彼ら自身がその存在を世界に知らしめた時であった。

彼らは魔神王、かつての私を悪行を崇拝し、魔法が生み出した転生という概念は、私が滅びる時に、いつか私の後継者となるものが私と同等の存在へと昇華する為に、私自身がこの世界を呪ったことで生まれた力であると信じている者達の集団であった。

そして、彼らは私が、何万という回数の転生を繰り返すのと時を同じく、より強くなるため幾度も転生を繰り返し、その身に宿る魔法の力、魔力を極限まで高めていった存在であった。

そんな彼らが存在を世界に知らしめたのは、当然かつての私の悪行と同じく、人類の殲滅を実行するためであった。

幾万と転生を繰り返した得たその力は、人類の英雄、天使、神すらをも凌駕し、かつての私が振るったその力と遜色ないと言って良かっただろう。

だが常に魔法は人類を滅びの危機から救う。一時的とはいえ圧倒的な力を与えるのだ。当時の私ですら消滅させられた力である。私は彼らの悪行はその魔法の圧倒的な力の前に敗北する日が来るのだと勘違いしていた。

しかし、彼らもまた人類であった。故にどちらの勝利に終わろうとも人類は滅びず存続する。であれば、魔法そのものが人類を救うことはない。そう結論付けていた。

私は彼らによって人類は一度数を大きく減らすのだろうと予測していたが、ここでまた私は大きな思い違いをしていた。そもそも魔法という概念を生みだしたのが人類であるということを忘れてしまっていたのだ。それによって今回の人類が持っている底力を見誤っていた。

彼らの侵攻が人類の領域のおよそ半分を越えたころ、人類最古の国家がある魔法を完成させた。

異世界人召喚魔法であった。
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