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第一章
第一話 奴隷少女
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「ふあぁ~昨日も派手にやったな~」
こちらの世界に転生してきてから150年が経過した。こちらに来てから30年程は仲間探しの旅をした後、残りの年月は今の山奥生活を満喫していた。特別何かある訳ではないがそれでいて何でもあるこの山奥生活は仲間がいるだけで飽きる事無く、中々に楽しい日々を送っている。
仲間と言いつつも実際は家族みたいなものなので、言うなれば龍崎組と言ったところだろうか。
ここで俺はふと気づいてしまう。
……あれ?俺、人間らしい生活全然してなくね?、と。
確かに山奥生活は楽しい。皆で昼寝をした時なんかは最高に気分がいい。
それに人間は転生前から苦手だ、上手く馴染めない。
でもこれでいいかと言われたら、正直微妙なところだ。
この世界の人間の生活にも興味あるし一度体験してみるのも一興かもしれない。
「あー!キョウちゃんもう起きてるー!おはよー!」
元気な声の主の方を見てみると、そこには一人の少女 (?)が立って……いや、浮いていた。
彼女はウォル・マナフ。筆頭天使といわれる最上位天使の一人だ。
キョウヤの召喚術で呼ばれたものの一人で、キョウヤからはマナと呼ばれている。
先程まで考えていた事を頭の隅に置いといてキョウヤはマナへ返事をする。
「あぁ、マナ。おはよう」
そう返事をすると嬉しそうな顔をしながら俺の後ろに回り、首に腕を回すようにして抱きついてくる。彼女の顔がすぐ横に来ると目が合い彼女はニコッと笑う。
彼女はこうするのがお気に入りなのか風呂と寝る時以外はこの状態でいることが殆どだ。
キョウヤはマナと共にもう用意されているであろう朝食に胸を踊らせながら部屋を出て行くとすぐそこに一人の人間の少女がいた。
「ご主人様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
……って、うん?待て待ておかしいぞ。何で人間がいる?
俺の家族には確かに沢山の種族がいる。だが、人間は一人もいなかったはずだ。
おかしいと思い少女を改めて見直す。
首輪をつけているってことは奴隷か?
でも俺には奴隷を購入した記憶はない。というか購入する金もない。
だけど首輪以外に目立って特徴がある訳でもない。
わからないなら聞くのが一番か。
「なあマナ、何で人間がいるんだ?」
「あら?キョウちゃん忘れちゃった?」
俺が忘れているとは思わなかったのか人間少女はショックを受けた表情をしている。
いや、ほんとゴメン……
「この子は昨日キョウちゃんが拾って来た子だよー」
!?
え?拾った?ひ・ろ・っ・た?人間を?俺が?そんな馬鹿な!
でも昨日か、昨日という事は王都……
……おや?おやや?そういやそんな事があったような?
***
午前二時。
流石の王都も真っ暗闇に包まれていた。
「はは、相変わらず王都は凄いな、他の街と規模が全然違う。闇夜の中に華やかさがある。」
王都に対して感心していると家族の一人に話しかけられる。
「マスター、そこの路地に入った先で生命反応を感知致しました。怪我をしているかもしれません、いかがなさいますか」
「ふむ、あの細さだと全員は無理だろうから数人で様子を見てこよう。適当についてきてくれ」
そう言って一人先に路地へ進んでいくと、一番近くにいた三人がついてきた。
少し進むと例の生命反応とやらであろう影が見えた。
更に近づいて見えてきたのは首輪をつけた人間の女の子だった。
ボロボロの服を着て膝を抱えるようにして丸くなっており、所々に傷も見える。
ふむ、首輪をつけている所からも明らかなように、この子は奴隷なのであろう。
ということは何処かから逃げ出してきたのか、または捨てられたのか。
流石にこのまま放置という訳にもいかない。
「やあ、お嬢さん。こんな夜更けにそんな所丸まっていたら風邪ひいちゃうよ」
「ひっ……い、いや……近づか……ない……で……」
完全に顔が怯えきっているな。恐らく逃げ出してきた口なのだろう。
「大丈夫だ、君に危害を加えるどころか何処かへ突き出す気もない。」
そう言うと怯えがほんの少し緩和した気がするがそこまで信じているようには見えない。
今まで培ってけきた恐怖が言葉の一つや二つで拭えるとは思えない。
けどこのままずっと顔色を伺っていく訳にもいくまい。
ここは言いたい事だけ言わせて貰おう。
「君の様子を見てある程度状況を察することはできる。そこで聞きたいのだが、行く当てはあるのか?」
少女は少々困惑の混ざった怯えた顔をしながらで首を振った。
「ふむ、ならば丁度良い。我が百鬼夜行に加わる気はないか?俺と家族になろう」
少女は困惑していた。突然言われた言葉に対しての理解が追いついていないのだ。
そんなことを知ってか知らずかキョウヤは手を差し伸べる。
不意に差し出された手を少女は反射的に取ってしまう。
少女も自分が手を取ったことに驚いた様子だったが今までずっと気を張っていたのだろう、手を取った瞬間に気失ってしまった。
気を失った少女を担いで皆の元へ戻り、そのまま家へ帰った。
それから皆へ少女が新しい家族になる予定だと伝え解散した。
***
思い出した!!
彼女は昨日の姿とは打って変わって元気そうだ。
彼女が元気を取り戻すまではそれなりの日数がかかるかと思っていたが、どうやら杞憂に終わったようだな。
こちらの世界に転生してきてから150年が経過した。こちらに来てから30年程は仲間探しの旅をした後、残りの年月は今の山奥生活を満喫していた。特別何かある訳ではないがそれでいて何でもあるこの山奥生活は仲間がいるだけで飽きる事無く、中々に楽しい日々を送っている。
仲間と言いつつも実際は家族みたいなものなので、言うなれば龍崎組と言ったところだろうか。
ここで俺はふと気づいてしまう。
……あれ?俺、人間らしい生活全然してなくね?、と。
確かに山奥生活は楽しい。皆で昼寝をした時なんかは最高に気分がいい。
それに人間は転生前から苦手だ、上手く馴染めない。
でもこれでいいかと言われたら、正直微妙なところだ。
この世界の人間の生活にも興味あるし一度体験してみるのも一興かもしれない。
「あー!キョウちゃんもう起きてるー!おはよー!」
元気な声の主の方を見てみると、そこには一人の少女 (?)が立って……いや、浮いていた。
彼女はウォル・マナフ。筆頭天使といわれる最上位天使の一人だ。
キョウヤの召喚術で呼ばれたものの一人で、キョウヤからはマナと呼ばれている。
先程まで考えていた事を頭の隅に置いといてキョウヤはマナへ返事をする。
「あぁ、マナ。おはよう」
そう返事をすると嬉しそうな顔をしながら俺の後ろに回り、首に腕を回すようにして抱きついてくる。彼女の顔がすぐ横に来ると目が合い彼女はニコッと笑う。
彼女はこうするのがお気に入りなのか風呂と寝る時以外はこの状態でいることが殆どだ。
キョウヤはマナと共にもう用意されているであろう朝食に胸を踊らせながら部屋を出て行くとすぐそこに一人の人間の少女がいた。
「ご主人様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
……って、うん?待て待ておかしいぞ。何で人間がいる?
俺の家族には確かに沢山の種族がいる。だが、人間は一人もいなかったはずだ。
おかしいと思い少女を改めて見直す。
首輪をつけているってことは奴隷か?
でも俺には奴隷を購入した記憶はない。というか購入する金もない。
だけど首輪以外に目立って特徴がある訳でもない。
わからないなら聞くのが一番か。
「なあマナ、何で人間がいるんだ?」
「あら?キョウちゃん忘れちゃった?」
俺が忘れているとは思わなかったのか人間少女はショックを受けた表情をしている。
いや、ほんとゴメン……
「この子は昨日キョウちゃんが拾って来た子だよー」
!?
え?拾った?ひ・ろ・っ・た?人間を?俺が?そんな馬鹿な!
でも昨日か、昨日という事は王都……
……おや?おやや?そういやそんな事があったような?
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午前二時。
流石の王都も真っ暗闇に包まれていた。
「はは、相変わらず王都は凄いな、他の街と規模が全然違う。闇夜の中に華やかさがある。」
王都に対して感心していると家族の一人に話しかけられる。
「マスター、そこの路地に入った先で生命反応を感知致しました。怪我をしているかもしれません、いかがなさいますか」
「ふむ、あの細さだと全員は無理だろうから数人で様子を見てこよう。適当についてきてくれ」
そう言って一人先に路地へ進んでいくと、一番近くにいた三人がついてきた。
少し進むと例の生命反応とやらであろう影が見えた。
更に近づいて見えてきたのは首輪をつけた人間の女の子だった。
ボロボロの服を着て膝を抱えるようにして丸くなっており、所々に傷も見える。
ふむ、首輪をつけている所からも明らかなように、この子は奴隷なのであろう。
ということは何処かから逃げ出してきたのか、または捨てられたのか。
流石にこのまま放置という訳にもいかない。
「やあ、お嬢さん。こんな夜更けにそんな所丸まっていたら風邪ひいちゃうよ」
「ひっ……い、いや……近づか……ない……で……」
完全に顔が怯えきっているな。恐らく逃げ出してきた口なのだろう。
「大丈夫だ、君に危害を加えるどころか何処かへ突き出す気もない。」
そう言うと怯えがほんの少し緩和した気がするがそこまで信じているようには見えない。
今まで培ってけきた恐怖が言葉の一つや二つで拭えるとは思えない。
けどこのままずっと顔色を伺っていく訳にもいくまい。
ここは言いたい事だけ言わせて貰おう。
「君の様子を見てある程度状況を察することはできる。そこで聞きたいのだが、行く当てはあるのか?」
少女は少々困惑の混ざった怯えた顔をしながらで首を振った。
「ふむ、ならば丁度良い。我が百鬼夜行に加わる気はないか?俺と家族になろう」
少女は困惑していた。突然言われた言葉に対しての理解が追いついていないのだ。
そんなことを知ってか知らずかキョウヤは手を差し伸べる。
不意に差し出された手を少女は反射的に取ってしまう。
少女も自分が手を取ったことに驚いた様子だったが今までずっと気を張っていたのだろう、手を取った瞬間に気失ってしまった。
気を失った少女を担いで皆の元へ戻り、そのまま家へ帰った。
それから皆へ少女が新しい家族になる予定だと伝え解散した。
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彼女は昨日の姿とは打って変わって元気そうだ。
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