異世界真百鬼夜行物語

楠本リュート

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第一章

第三話 引越し

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先ずは昼間のうちに少数で王都に来た。
全員での引っ越しは夜にするので先に屋敷の状態を見に来たのだ。
屋敷?何でそんなものがあるの?と言う感じだったのだが、どうやら120年ほど前に魔王軍の侵攻を止めた報酬として屋敷を貰っていたらしいのだがあまり憶えていない。

メンバーは俺と今も尚背中にくっついているマナ、それともう一人はシルフ。

シルフ。シルフィードという風の大精霊である。キョウヤが10の時に召喚され、それ以来はキョウヤの世話は全てお任せあれ!といった感じである。

以上の三人で向かって到着したのだが屋敷はまさに幽霊屋敷といった感じで敷地内に草木が荒々しく乱雑に生えており、屋敷自体には蔦がビッシリと絡みついている状態だ。

この屋敷の守護はレイスという幽霊のような魔物に任せていたので外見も中身もまさしく正真正銘の幽霊屋敷だ。

どうしたものか……と思ったものの正直この外見を俺は気に入っていた。
沢山の妖や魔物が仲間にいるのだと思うとむしろ少々どんよりとした感じの方が趣があるというものだ。

とりあえず中に入る。

「キョウヤ様!お久しぶりです!!」
「久しぶり、レイ。変わりないか」
「はい!」

レイはこの屋敷の管理をずっとしてくれているのだが見た目はレイスという点さえ除けばただの少女だ。
人間とさほど見た目は変わらない。宙に浮いている時あるけどね…….。

魔物は契約をしたら契約者に対して尽くし力になる事に喜びを感じるのだがレイスの場合はその度合いが強い。
だから大丈夫だと思っていたのだが寂しい思いをさせちゃったな。

これからは長期間離れないようにしようと思う。

「さて、問題はなさそうだな。これから山に残っている組に通信で確認して向こうの準備ができ次第、こちらへ召喚する。マナは外からじゃこの屋敷が今までと変わらないで見えるように結界を張ってくれ」

キョウヤは”通信で確認”と言っているがこの世界に通信技術など存在しない。
では何なのかとなるのだが、それは召喚術というスキルにより可能となっている。

召喚術とは、人以外のあらゆる生命体を召喚し契約をする事を可能にするスキルで、召喚や契約は全て魔力量に依存し、使用魔力量が多ければ多いほど召喚されるものの強さや希少度が上がる。
契約者が経験値を獲得した際には、召喚主に獲得した経験値の2割が入る。
召喚術によって可能なことは、主に召喚・契約・通信・送還の四つ。
召喚術のスキル保持者はそれぞれ別空間を所持しており、総魔力量によって大きさは変わる。
この別空間に契約者を送還するため、別空間の大きさによって契約できる数が変わる。

キョウヤはこのスキルでマナやシルフなどの沢山の仲間を召喚しており、キョウヤの別空間は広大過ぎるためもはや別世界を所持していると言っていい。

このスキルを使って山に残っている組をこの屋敷に召喚しようという魂胆だ。

「キョウちゃん、結界張れたよー!」
「ああ、ありがとう。ちょっと庭に行ってくる。」

さすが屋敷、というべくか庭がでかいのだ。
これだけの広さなら召喚するのに問題ないだろう。

「おいで、みんな」

そう口にした途端にあらゆる種族が目の前に現れる。
スライムやゴブリンといったメジャーなものからフェニックスという伝説のものまでいた。

「今日からここが家だ。外からは見えないようになっているから絶対に敷地から出ないように」

大体の者は”絶対にやるな”と言われると逆にやりたくなる、という心理が働くがここにいる者にその心理が働かない。何故ならキョウヤが絶対でキョウヤが言うことを守らないなんて事はありえないからだ。
これはキョウヤと契約しているからではなくキョウヤの体質故で、キョウヤは前世から人以外に異常に好かれるという体質なのだ。勿論それだけでという訳ではないがキョウヤと契約した者は皆キョウヤのことを愛してやまない。

「引越し完了。明日から情報収集だ。」
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