羅刹伝 雪華

こうた

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第二十四章-聖羅学院転入-

第155話「新たなクラスメイト」

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 優月たちが編入することになったクラスには、惟月・穂高ほだか・怜唯がいたので、彼らが座っている席の周辺に集まった。
 真哉は早々に怜唯の従者となることが決まり、新しい人間関係が生まれている。
「ふふっ。みなさん、試験に無事合格されたようで何よりです」
 惟月が、こちらに向かって微笑みかけてくれる。
「優月の奴が危なかったけどな」
 人間界にいた頃から優等生だった涼太と違い、優月は数学や理科といった科目がほとんどできないので、ほぼ戦闘能力の高さで合格させてもらったようなものだ。
 なお、一人だけ違うクラスにするのもなんなので、本来は学年の違う涼太も一緒のクラスに入れてもらっている。いわば飛び級のようなものか。
「怜唯様、惟月様、俺が編入してきたからには、学校で困りごとなどございましたら、なんなりとお任せください」
 真哉はうやうやしい態度で、どちらが転校生だか分からないようなことを言う。
「ありがとうございます。でも、惟月様はともかく、私にまでそんなにかしこまらなくても構いませんよ」
 謙遜している怜唯に後ろから、Tシャツにジーンズというラフな格好の男子生徒が抱きついてきた。
「怜唯ちゃんの従者ならオレとも友達だな。よろしく真哉くん」
「ずいぶん怜唯様と親しげだが、お前は?」
桜庭さくらば千尋ちひろ。怜唯ちゃんの幼馴染なんだ。気軽に千尋って呼んでくれ」
「そうか」
 怜唯も羅仙界においてかなり偉いようだが、幼い頃から一緒の者は少々なれなれしくしていても仕方がないだろう。
 優月としては、誰がどの程度偉いのか判別できないので、羅刹の間では様付けで呼ばれているのに、さん付けで呼んでしまっている相手がいる。
「わたしも、ちーちゃんとレイちゃんのお友達だよ~」
 のんびりほわほわした調子で穂高が会話に加わってきた。
 話の流れで分かる通り『ちーちゃん』は、穂高が千尋につけたあだ名だ。
「わたしとちーちゃんは小学一年生の時から一緒なの。それでね、中学で怜唯ちゃんとも一緒になったんだよ」
「それは幼馴染なのか?」
 真哉が首をかしげる。
「むしろ穂高さんと幼馴染なんじゃ……」
 世間とずれている優月でもつっこまざるをえない。
「幼馴染は時間じゃないんだよ。魂だ魂」
 千尋は自身の胸を叩く。
(……時間だと思うけどなあ)
 怜唯・千尋・穂高の関係が分かったところで、真哉は涼太の顔を見て、次に優月の顔をじっと見つめた。
 一瞬ドキッとしてしまうが、美男子に対してはいつもこうなので平常運転だ。
「お前たちは姉弟だったか」
「は、はい」
「ふむ……。確かに弟がいそうな面構つらがまえだな」
「どんな顔だよ」
 真哉のどこかおかしな発言に涼太がつっこみを入れる。
 むしろ姉らしい威厳がなくて、家に遊びにきた涼太の友達が『お前の妹デカいな』とか言っていたぐらいだ。
「…………」
 今度は、穂高が千秋の顔を見つめている。
「どうしたの?」
「千秋ちゃん……ちーちゃん?」
「それはもういるから」
 あだ名を考えていたようだが、被ってしまった。穂高の頭に千尋の手刀が軽く入る。
「千尋さんは、私とも親交がありますね」
 沙菜は、穂高経由で既に千尋と知り合っていた。
「お前の持ってくるゲーム面白いからな」
「なんのゲームやるんですか?」
 普段なかなか人に声をかけられない優月だが、同じゲーム好きとして気になってしまった。
「色々やるけど、一番はギャルゲーだな」
 予想外の答えに驚かされた。てっきりモテる男子はやらないものなのかと。
 まさか美形で社交的な千尋がモテないなどということはあるまい。
「ねえねえ、千尋がよく言ってる、そのぎゃるげーってどんなの?」
 近くにいた、千尋の友達と思しき女子が尋ねる。
「たくさん美少女が出てきて、デートしたりイチャイチャしたりするゲームだな」
「なにそれ、千尋にピッタリじゃん!」
「だろー?」
 周りにいた女子たちも含めて笑い出す。全員、千尋の友達だと思われる。
「絶対お前はターゲットに入ってないぞ」
 涼太が業界に詳しい訳ではないが、人間界のクリエイターも、異世界の美男子に遊ばれることは想像もしていまい。
 もっとも、女友達をたくさん作るぐらい女好きだから、ゲームでも女性キャラクターが多いものを選ぶということで矛盾はしていないといえるか。
「独特のユーモアがあって面白いぞ。用事があって女子寮訪ねていっただけなのに、主人公ボコボコにされたり」
「なにそれ、だったら千尋とっくに死んでんじゃん!」
「他にも、共学化されたのに男子が主人公一人しかいない元女子校とかな」
 千尋と女子たちは、まだ笑い合っている。
 話の流れからすると、千尋は頻繁に女子寮を出入りしているのだろう。
「それで? 優月は龍次くんと付き合ってんの?」
 ギャルゲーの話題に一区切りついたところで、千尋がいたずらっぽく尋ねてくる。いかにもこの手の話題が好きそうだ。
 しかし、真哉や龍次は、くん付けなのに、なぜ優月は呼び捨てなのだろう。
「…………」
 龍次と涼太が無言で見つめてくる。
 これはかなりのプレッシャーだ。
 先日とんでもないことをしてしまったのは優月なので自業自得だが。
「はい……そうなんです……けど……」
「けど?」
 千尋が興味深そうに続きを促す。
 さすがにこれだけ言って終わりにする訳にはいかない。
「涼太とも……似たような関係……だったり……?」
 お茶を濁すような回答をしていると、すねに涼太の蹴りが入った。痛い。
「涼太とも付き合ってるんです。恋人なんです、はい」
 はっきり言うほかなくなった。
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