178 / 313
第二十四章-聖羅学院転入-
第155話「新たなクラスメイト」
しおりを挟む
優月たちが編入することになったクラスには、惟月・穂高・怜唯がいたので、彼らが座っている席の周辺に集まった。
真哉は早々に怜唯の従者となることが決まり、新しい人間関係が生まれている。
「ふふっ。みなさん、試験に無事合格されたようで何よりです」
惟月が、こちらに向かって微笑みかけてくれる。
「優月の奴が危なかったけどな」
人間界にいた頃から優等生だった涼太と違い、優月は数学や理科といった科目がほとんどできないので、ほぼ戦闘能力の高さで合格させてもらったようなものだ。
なお、一人だけ違うクラスにするのもなんなので、本来は学年の違う涼太も一緒のクラスに入れてもらっている。いわば飛び級のようなものか。
「怜唯様、惟月様、俺が編入してきたからには、学校で困りごとなどございましたら、なんなりとお任せください」
真哉はうやうやしい態度で、どちらが転校生だか分からないようなことを言う。
「ありがとうございます。でも、惟月様はともかく、私にまでそんなにかしこまらなくても構いませんよ」
謙遜している怜唯に後ろから、Tシャツにジーンズというラフな格好の男子生徒が抱きついてきた。
「怜唯ちゃんの従者ならオレとも友達だな。よろしく真哉くん」
「ずいぶん怜唯様と親しげだが、お前は?」
「桜庭千尋。怜唯ちゃんの幼馴染なんだ。気軽に千尋って呼んでくれ」
「そうか」
怜唯も羅仙界においてかなり偉いようだが、幼い頃から一緒の者は少々なれなれしくしていても仕方がないだろう。
優月としては、誰がどの程度偉いのか判別できないので、羅刹の間では様付けで呼ばれているのに、さん付けで呼んでしまっている相手がいる。
「わたしも、ちーちゃんとレイちゃんのお友達だよ~」
のんびりほわほわした調子で穂高が会話に加わってきた。
話の流れで分かる通り『ちーちゃん』は、穂高が千尋につけたあだ名だ。
「わたしとちーちゃんは小学一年生の時から一緒なの。それでね、中学で怜唯ちゃんとも一緒になったんだよ」
「それは幼馴染なのか?」
真哉が首をかしげる。
「むしろ穂高さんと幼馴染なんじゃ……」
世間とずれている優月でもつっこまざるをえない。
「幼馴染は時間じゃないんだよ。魂だ魂」
千尋は自身の胸を叩く。
(……時間だと思うけどなあ)
怜唯・千尋・穂高の関係が分かったところで、真哉は涼太の顔を見て、次に優月の顔をじっと見つめた。
一瞬ドキッとしてしまうが、美男子に対してはいつもこうなので平常運転だ。
「お前たちは姉弟だったか」
「は、はい」
「ふむ……。確かに弟がいそうな面構えだな」
「どんな顔だよ」
真哉のどこかおかしな発言に涼太がつっこみを入れる。
むしろ姉らしい威厳がなくて、家に遊びにきた涼太の友達が『お前の妹デカいな』とか言っていたぐらいだ。
「…………」
今度は、穂高が千秋の顔を見つめている。
「どうしたの?」
「千秋ちゃん……ちーちゃん?」
「それはもういるから」
あだ名を考えていたようだが、被ってしまった。穂高の頭に千尋の手刀が軽く入る。
「千尋さんは、私とも親交がありますね」
沙菜は、穂高経由で既に千尋と知り合っていた。
「お前の持ってくるゲーム面白いからな」
「なんのゲームやるんですか?」
普段なかなか人に声をかけられない優月だが、同じゲーム好きとして気になってしまった。
「色々やるけど、一番はギャルゲーだな」
予想外の答えに驚かされた。てっきりモテる男子はやらないものなのかと。
まさか美形で社交的な千尋がモテないなどということはあるまい。
「ねえねえ、千尋がよく言ってる、そのぎゃるげーってどんなの?」
近くにいた、千尋の友達と思しき女子が尋ねる。
「たくさん美少女が出てきて、デートしたりイチャイチャしたりするゲームだな」
「なにそれ、千尋にピッタリじゃん!」
「だろー?」
周りにいた女子たちも含めて笑い出す。全員、千尋の友達だと思われる。
「絶対お前はターゲットに入ってないぞ」
涼太が業界に詳しい訳ではないが、人間界のクリエイターも、異世界の美男子に遊ばれることは想像もしていまい。
もっとも、女友達をたくさん作るぐらい女好きだから、ゲームでも女性キャラクターが多いものを選ぶということで矛盾はしていないといえるか。
「独特のユーモアがあって面白いぞ。用事があって女子寮訪ねていっただけなのに、主人公ボコボコにされたり」
「なにそれ、だったら千尋とっくに死んでんじゃん!」
「他にも、共学化されたのに男子が主人公一人しかいない元女子校とかな」
千尋と女子たちは、まだ笑い合っている。
話の流れからすると、千尋は頻繁に女子寮を出入りしているのだろう。
「それで? 優月は龍次くんと付き合ってんの?」
ギャルゲーの話題に一区切りついたところで、千尋がいたずらっぽく尋ねてくる。いかにもこの手の話題が好きそうだ。
しかし、真哉や龍次は、くん付けなのに、なぜ優月は呼び捨てなのだろう。
「…………」
龍次と涼太が無言で見つめてくる。
これはかなりのプレッシャーだ。
先日とんでもないことをしてしまったのは優月なので自業自得だが。
「はい……そうなんです……けど……」
「けど?」
千尋が興味深そうに続きを促す。
さすがにこれだけ言って終わりにする訳にはいかない。
「涼太とも……似たような関係……だったり……?」
お茶を濁すような回答をしていると、すねに涼太の蹴りが入った。痛い。
「涼太とも付き合ってるんです。恋人なんです、はい」
はっきり言うほかなくなった。
真哉は早々に怜唯の従者となることが決まり、新しい人間関係が生まれている。
「ふふっ。みなさん、試験に無事合格されたようで何よりです」
惟月が、こちらに向かって微笑みかけてくれる。
「優月の奴が危なかったけどな」
人間界にいた頃から優等生だった涼太と違い、優月は数学や理科といった科目がほとんどできないので、ほぼ戦闘能力の高さで合格させてもらったようなものだ。
なお、一人だけ違うクラスにするのもなんなので、本来は学年の違う涼太も一緒のクラスに入れてもらっている。いわば飛び級のようなものか。
「怜唯様、惟月様、俺が編入してきたからには、学校で困りごとなどございましたら、なんなりとお任せください」
真哉はうやうやしい態度で、どちらが転校生だか分からないようなことを言う。
「ありがとうございます。でも、惟月様はともかく、私にまでそんなにかしこまらなくても構いませんよ」
謙遜している怜唯に後ろから、Tシャツにジーンズというラフな格好の男子生徒が抱きついてきた。
「怜唯ちゃんの従者ならオレとも友達だな。よろしく真哉くん」
「ずいぶん怜唯様と親しげだが、お前は?」
「桜庭千尋。怜唯ちゃんの幼馴染なんだ。気軽に千尋って呼んでくれ」
「そうか」
怜唯も羅仙界においてかなり偉いようだが、幼い頃から一緒の者は少々なれなれしくしていても仕方がないだろう。
優月としては、誰がどの程度偉いのか判別できないので、羅刹の間では様付けで呼ばれているのに、さん付けで呼んでしまっている相手がいる。
「わたしも、ちーちゃんとレイちゃんのお友達だよ~」
のんびりほわほわした調子で穂高が会話に加わってきた。
話の流れで分かる通り『ちーちゃん』は、穂高が千尋につけたあだ名だ。
「わたしとちーちゃんは小学一年生の時から一緒なの。それでね、中学で怜唯ちゃんとも一緒になったんだよ」
「それは幼馴染なのか?」
真哉が首をかしげる。
「むしろ穂高さんと幼馴染なんじゃ……」
世間とずれている優月でもつっこまざるをえない。
「幼馴染は時間じゃないんだよ。魂だ魂」
千尋は自身の胸を叩く。
(……時間だと思うけどなあ)
怜唯・千尋・穂高の関係が分かったところで、真哉は涼太の顔を見て、次に優月の顔をじっと見つめた。
一瞬ドキッとしてしまうが、美男子に対してはいつもこうなので平常運転だ。
「お前たちは姉弟だったか」
「は、はい」
「ふむ……。確かに弟がいそうな面構えだな」
「どんな顔だよ」
真哉のどこかおかしな発言に涼太がつっこみを入れる。
むしろ姉らしい威厳がなくて、家に遊びにきた涼太の友達が『お前の妹デカいな』とか言っていたぐらいだ。
「…………」
今度は、穂高が千秋の顔を見つめている。
「どうしたの?」
「千秋ちゃん……ちーちゃん?」
「それはもういるから」
あだ名を考えていたようだが、被ってしまった。穂高の頭に千尋の手刀が軽く入る。
「千尋さんは、私とも親交がありますね」
沙菜は、穂高経由で既に千尋と知り合っていた。
「お前の持ってくるゲーム面白いからな」
「なんのゲームやるんですか?」
普段なかなか人に声をかけられない優月だが、同じゲーム好きとして気になってしまった。
「色々やるけど、一番はギャルゲーだな」
予想外の答えに驚かされた。てっきりモテる男子はやらないものなのかと。
まさか美形で社交的な千尋がモテないなどということはあるまい。
「ねえねえ、千尋がよく言ってる、そのぎゃるげーってどんなの?」
近くにいた、千尋の友達と思しき女子が尋ねる。
「たくさん美少女が出てきて、デートしたりイチャイチャしたりするゲームだな」
「なにそれ、千尋にピッタリじゃん!」
「だろー?」
周りにいた女子たちも含めて笑い出す。全員、千尋の友達だと思われる。
「絶対お前はターゲットに入ってないぞ」
涼太が業界に詳しい訳ではないが、人間界のクリエイターも、異世界の美男子に遊ばれることは想像もしていまい。
もっとも、女友達をたくさん作るぐらい女好きだから、ゲームでも女性キャラクターが多いものを選ぶということで矛盾はしていないといえるか。
「独特のユーモアがあって面白いぞ。用事があって女子寮訪ねていっただけなのに、主人公ボコボコにされたり」
「なにそれ、だったら千尋とっくに死んでんじゃん!」
「他にも、共学化されたのに男子が主人公一人しかいない元女子校とかな」
千尋と女子たちは、まだ笑い合っている。
話の流れからすると、千尋は頻繁に女子寮を出入りしているのだろう。
「それで? 優月は龍次くんと付き合ってんの?」
ギャルゲーの話題に一区切りついたところで、千尋がいたずらっぽく尋ねてくる。いかにもこの手の話題が好きそうだ。
しかし、真哉や龍次は、くん付けなのに、なぜ優月は呼び捨てなのだろう。
「…………」
龍次と涼太が無言で見つめてくる。
これはかなりのプレッシャーだ。
先日とんでもないことをしてしまったのは優月なので自業自得だが。
「はい……そうなんです……けど……」
「けど?」
千尋が興味深そうに続きを促す。
さすがにこれだけ言って終わりにする訳にはいかない。
「涼太とも……似たような関係……だったり……?」
お茶を濁すような回答をしていると、すねに涼太の蹴りが入った。痛い。
「涼太とも付き合ってるんです。恋人なんです、はい」
はっきり言うほかなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる