4 / 11
【4話】 条件
しおりを挟む
「…お邪魔します」
「あ、やっと来た!ほらおいで!ご飯を作ってくれたのよ!」
「あぁ。なんか申し訳ないけどな」
「いえいえ。昔からお世話になっておりますので」
お父さんもいるなんて珍しい…。そんな和やかな雰囲気が漂っているけれど、私だけそんな気分にはなれなかった。
きっとこの世の終わりのような顔をしている事だろう。すると、グーとお腹がなった。久々に動いたからか、今日はとてもお腹が空いていたようだ。
「わぁ、オムライスだわ!料理も上手なのね!」
「それ程でもないですよ。これくらい誰でも作れます」
にこやかな表情のまま、私に視線を向ける。何もわざわざこっち見なくても…!!私だってそれくらい作れますー!調理実習でしかやった事ないけど…
でも本当に良い匂い…料理人みたいだな…何でも出来て、そこは本当に羨ましい。
「そんな事より、咲は今日帰りが遅かったね」
「あぁ、"友達と"遊びに行ったのよね!」
「…へぇ」
突如、空気がピリッとした。
お、お母さんのばかぁ~!!なんでもかんでもポンポン言わないで!お母さんとお父さんは、今の快人の雰囲気には気付かないのか、私すらもお構いなしに、私の話題で盛り上がっている。ご飯が喉を通らない。この感じからして、きっと怒ってるよね…
「咲」
「ひっ…」
「後でじっくり話そっか」
目の奥が笑ってない…!私は有無を言わさない口調で圧された。誰か助けて…!
─────
「で、お前俺の許可なくどこ行ってたわけ?」
ぐ…と口をつぐむ。なんで遊ぶ事すら許されないの?快人に迷惑はかけてないし、気にさわるような事もしていないはずだ。こんな風に言われるのも今に始まった事じゃないけれど…。
「動物園にしか行ってないよ…!」
「男もいたんだろ?誤魔化せると思うなよ」
「ふ、2人だけだよ…あと、凛ちゃん」
答える度にますます不機嫌になる快人。何がいけないんだろう。皆、良い人なのに。
「俺言ったけど?“人と関わんな”って」
覚えてる。あの、小4くらいから、唐突に言い始めたのだ。隣の子と話すの禁止、遊ぶの禁止、私は次第に一人で遊ぶ事の方が多くなっていった。
それもそのはず。関わり合いがないのだから。
クラス内で昼休みにオリエンテーションがあった事もあった。小学生だから大体はドッジボールで遊ぶ事が多かった。たまたま、快人と同じチームになると、
『お前みたいに運動出来ねー奴が居たら足手まとい』
と、初めから外野扱いされていた。
そんなこんなで、快人からの私への扱いは殆どそんな感じだった。
唯一話せたりする時間は集団宿泊や、修学旅行の時だけ。でも、いざその時が来ても今まで人と話すなんて経験が殆ど無かった私がまともに話せるはずもなく、ただただ気まずいだけの時間だった。
でも、凛ちゃんや須藤君、そして宮原君は口数の少ない私に沢山話しかけてくれた。私はそんな雰囲気に救われたのだ。
「でも!初めて友達になれそうな子が出来たの…」
もっと強く言われる事を承知で、私はありったけの声を振り絞って申し出た。
少しの沈黙が流れた後、盛大に溜息をつかれ
「…じゃあそいつとの関わりは許す」
「本当!?」
思ってもみない返答に思わず声が弾む。
「無条件で許すわけねぇだろ」
淡々とした声色でそう言う。やっぱり…あの快人が簡単に承諾してくれる訳がなかった。まさか、またあんな事されるんじゃ…と、脳内フラッシュバグを起こし、身震いする。
何かを考えた後、悪巧みを考えていそうな表情で、
「来週の土曜、デートしろ」
そう、突拍子のない事を告げた。
「…で?デート!?」
な、何言って…え!?デートって…いわゆる恋人同士がするものじゃなかった!?しかも私が…快人と!?一人混乱していると、
「そ、お前に拒否権とかねぇから」
と恐ろしい事を満面の笑みで言ってくる。ありえない…そんなの数分前の私ならお断りしていたけれど、私には“友達”という弱みがある。ここでNOなんて言おうものならたちまちぼっちへと逆戻りする事だろう。
「わ、分かった…」
「ちなみに言っとくけど今みたいなダッセー服着てきたら…分かってるな?」
そう、釘を刺して出ていった。
それにしてもだ、ださい…!?これでもちゃんと外出用の服なのに…!どうして私が快人なんかの為に着飾らなきゃいけないの…!
「あ、やっと来た!ほらおいで!ご飯を作ってくれたのよ!」
「あぁ。なんか申し訳ないけどな」
「いえいえ。昔からお世話になっておりますので」
お父さんもいるなんて珍しい…。そんな和やかな雰囲気が漂っているけれど、私だけそんな気分にはなれなかった。
きっとこの世の終わりのような顔をしている事だろう。すると、グーとお腹がなった。久々に動いたからか、今日はとてもお腹が空いていたようだ。
「わぁ、オムライスだわ!料理も上手なのね!」
「それ程でもないですよ。これくらい誰でも作れます」
にこやかな表情のまま、私に視線を向ける。何もわざわざこっち見なくても…!!私だってそれくらい作れますー!調理実習でしかやった事ないけど…
でも本当に良い匂い…料理人みたいだな…何でも出来て、そこは本当に羨ましい。
「そんな事より、咲は今日帰りが遅かったね」
「あぁ、"友達と"遊びに行ったのよね!」
「…へぇ」
突如、空気がピリッとした。
お、お母さんのばかぁ~!!なんでもかんでもポンポン言わないで!お母さんとお父さんは、今の快人の雰囲気には気付かないのか、私すらもお構いなしに、私の話題で盛り上がっている。ご飯が喉を通らない。この感じからして、きっと怒ってるよね…
「咲」
「ひっ…」
「後でじっくり話そっか」
目の奥が笑ってない…!私は有無を言わさない口調で圧された。誰か助けて…!
─────
「で、お前俺の許可なくどこ行ってたわけ?」
ぐ…と口をつぐむ。なんで遊ぶ事すら許されないの?快人に迷惑はかけてないし、気にさわるような事もしていないはずだ。こんな風に言われるのも今に始まった事じゃないけれど…。
「動物園にしか行ってないよ…!」
「男もいたんだろ?誤魔化せると思うなよ」
「ふ、2人だけだよ…あと、凛ちゃん」
答える度にますます不機嫌になる快人。何がいけないんだろう。皆、良い人なのに。
「俺言ったけど?“人と関わんな”って」
覚えてる。あの、小4くらいから、唐突に言い始めたのだ。隣の子と話すの禁止、遊ぶの禁止、私は次第に一人で遊ぶ事の方が多くなっていった。
それもそのはず。関わり合いがないのだから。
クラス内で昼休みにオリエンテーションがあった事もあった。小学生だから大体はドッジボールで遊ぶ事が多かった。たまたま、快人と同じチームになると、
『お前みたいに運動出来ねー奴が居たら足手まとい』
と、初めから外野扱いされていた。
そんなこんなで、快人からの私への扱いは殆どそんな感じだった。
唯一話せたりする時間は集団宿泊や、修学旅行の時だけ。でも、いざその時が来ても今まで人と話すなんて経験が殆ど無かった私がまともに話せるはずもなく、ただただ気まずいだけの時間だった。
でも、凛ちゃんや須藤君、そして宮原君は口数の少ない私に沢山話しかけてくれた。私はそんな雰囲気に救われたのだ。
「でも!初めて友達になれそうな子が出来たの…」
もっと強く言われる事を承知で、私はありったけの声を振り絞って申し出た。
少しの沈黙が流れた後、盛大に溜息をつかれ
「…じゃあそいつとの関わりは許す」
「本当!?」
思ってもみない返答に思わず声が弾む。
「無条件で許すわけねぇだろ」
淡々とした声色でそう言う。やっぱり…あの快人が簡単に承諾してくれる訳がなかった。まさか、またあんな事されるんじゃ…と、脳内フラッシュバグを起こし、身震いする。
何かを考えた後、悪巧みを考えていそうな表情で、
「来週の土曜、デートしろ」
そう、突拍子のない事を告げた。
「…で?デート!?」
な、何言って…え!?デートって…いわゆる恋人同士がするものじゃなかった!?しかも私が…快人と!?一人混乱していると、
「そ、お前に拒否権とかねぇから」
と恐ろしい事を満面の笑みで言ってくる。ありえない…そんなの数分前の私ならお断りしていたけれど、私には“友達”という弱みがある。ここでNOなんて言おうものならたちまちぼっちへと逆戻りする事だろう。
「わ、分かった…」
「ちなみに言っとくけど今みたいなダッセー服着てきたら…分かってるな?」
そう、釘を刺して出ていった。
それにしてもだ、ださい…!?これでもちゃんと外出用の服なのに…!どうして私が快人なんかの為に着飾らなきゃいけないの…!
1
あなたにおすすめの小説
田舎に帰ったら従妹が驚くほど積極的になってた話
神谷 愛
恋愛
久しぶりに帰った田舎には暫くあっていない従妹がいるはずだった。数年ぶりに帰るとそこにいたのは驚くほど可愛く、そして積極的に成長した従妹の姿だった。昔の従妹では考えられないほどの色気で迫ってくる従妹との数日の話。
二話毎六話完結。だいたい10時か22時更新、たぶん。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
鬼より強い桃太郎(性的な意味で)
久保 ちはろ
恋愛
桃太郎の幼馴染の千夏は、彼に淡い恋心を抱きつつも、普段から女癖の悪い彼に辟易している。さらに、彼が鬼退治に行かないと言い放った日には、千夏の堪忍袋の緒も切れ、彼女は一人鬼ヶ島に向かう。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
田舎の幼馴染に囲い込まれた
兎角
恋愛
25.10/21 殴り書きの続き更新
都会に飛び出した田舎娘が渋々帰郷した田舎のムチムチ幼馴染に囲い込まれてズブズブになる予定 ※殴り書きなので改行などない状態です…そのうち直します。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる